ネットで有名な怖い話・都市伝説・不思議な話 ランキング

怖いお話.net【厳選まとめ】

「n+2025」 一覧

数が揃っていた理由 nw+368-0202

中部の山奥で育った。 集落は杉林に囲まれ、家々は互いの屋根を確かめ合うように斜面に貼りついていた。夕暮れになると、獣の声が山に反響して、近いのか遠いのか分からなくなる。音の距離感が狂うあの感じは、今で ...

ごめんねを言いに来た nw+399-0105

義姉が死んで、二年が経つ。 それでも私は、いまだにその事実を生活の中に収めきれずにいる。悲しいとか寂しいとか、そういう言葉では足りない。あの人は、私の人生の中で初めて現れた「奪われなかった家族」だった ...

私を覚えているのは誰か ncw+658-0107

私は自分のことを、自分で説明できない。 記憶というものは、私の中では粗末な布切れに似ている。少し力をかけるだけで縫い目が裂け、縫い留められていたはずの中身が、音もなく零れ落ちていく。 小学校の記憶は、 ...

呼んだのはどちらか nw+318-0217

平成が始まった翌日、塾へ向かう夕暮れの新宿で、私は一人の幼子を見た。 二歳ほどの男の子だった。母親に手を引かれ、こちらを見上げていた。 その黒い瞳だけが妙に澄んでいた。 私は胸の奥が熱くなり、勝手に名 ...

□□は最初から一人だった nw+

大学二年の春、ひとり暮らしを始めた。 街の中心から少し外れた、古びた鉄筋コンクリートのマンション。共用廊下には雨水の黒い筋が残り、夜になると蛍光灯は半分しか点かない。窓からは線路が見える。終電後もしば ...

裂け目の夜道 nc+

あの日のことは、どうしても頭の隅から離れてくれない。 五年前の十二月、残業が珍しく長引いて、終電でようやく帰ることになった夜のことだ。 当時の住まいは、最寄り駅から徒歩二十五分もかかる古びたアパート。 ...

指しているのは誰か nw+410-0214

正月になると、九州の奥の集落に一族が集まる。 山と藪に囲まれた古い家だ。舗装の剥げた坂を上がり、竹を押し分けるようにして辿り着く。縁側から差す年始の陽射しはやわらかいが、外気は骨に染みるほど冷たい。座 ...

一番小さい電車 nw+450-0120

大学一年の春になると、決まって思い出す出来事がある。 思い出す、というより、向こうから浮かび上がってくる感覚に近い。 あれを錯覚だと断定できれば、今も両親と同じ布団で眠ることに、ここまで神経を使わずに ...

母にいない妹 nw+

『そういえば叔母さんは元気?』 その一言を口にするたび、家の空気が変わる。 きっかけは、三歳か四歳の頃の記憶だ。夏の夜、母方の祖父母の家。縁側の奥で、母の妹と、その婚約者が並んでいた。蚊取り線香の煙が ...

救われたのはどちらか nw+

あれは、先月の、まだ寒さが地面に残っている頃だった。 曇天の下、次男を連れて河原へ蕗の薹を探しに行った。春の匂いを拾うつもりが、足もとには枯れ草と小石ばかりが続く。袋は軽いまま、私たちは下流へ流される ...

内鍵 ncrw+412-0121

今年の黄金週間、家族は二泊三日の旅行に出た。俺ひとりを家に残して。 二階建ての家は、古びているくせに無駄に広い。もとは他人の家だったものを親父が安く買い取り、最低限の補修だけで住み始めた。柱や壁には、 ...

霧の向こうの客 nw+462-0121

あれは、もう何年も前のことだ。 馴染みの客に引っ張られて、場末のスナックに入った。白すぎる蛍光灯の光が、酒で濁った空気をむき出しにしていて、氷が溶ける音だけが妙に大きく響く夜だった。 カウンターに立っ ...

戻されていないもの nw+

夜があれほど重く沈むとは、あのときまで知らなかった。 中学二年の冬、京都への修学旅行。古い木造旅館に泊まり、軋む廊下の音にいちいち騒いでいた。二日目の夜、夕食と風呂を終えたあとの自由時間、隣室の連中と ...

《知っていた人》nw+

義両親に呼び出された日のことを、私は忘れられない。 春だった。花粉で目がかゆいはずなのに、それよりも先に、玄関の空気が喉を締めつけた。 応接間のテーブルに封筒が三つ並んでいた。 ひとつは、私のメールの ...

先に呼んだのは誰か nw+

あれは、湿り気を帯びた夜だった。 雨は降っていないのに、空気だけが濡れていた。息を吸うたび、肺の奥で水が鳴るような錯覚があった。 友人の田代と、部屋で飲み直そうという話になり、コンビニ袋をぶら下げてマ ...

西はこちら側 nc+404-0201

危険人物扱いされるのが怖くて、誰にも言えずにいた。でも、そろそろ限界かもしれない。 五年前から始まったんだ。きっかけは、テレビで野球を見ていた夜。気がついたら目の前のテーブルに、一枚の紙切れがあった。 ...

空白はいつも隣にいる nw+449-0116

あの男から話を聞いたのは、深夜の喫茶店だった。 照明は弱く、空調の効きが悪いのか、店内には湿った空気が溜まっていた。 彼はグラスの縁を指でなぞりながら、思い出すように、途切れ途切れに語り始めた。顔色は ...

橋の下に埋めた名前 nw+

両親が営んでいたのは、町で三代続く文具店だった。 ノートや鉛筆のほか、小中学校への納品も請け負っていたから、うちは自然と町の内側にいた。役場の職員、地元議員、消防団、葬式帰りの親戚連中。レジ越しに交わ ...

弟と行くから nw+455-0206

その日の朝も、夏の湿気が肌にまとわりついていた。 中学二年だった俺は、陸上部の朝練のため、夜明け前に家を出るのが日課だった。階下を通ると、弟の布団は空だった。珍しいことではない。弟は昔から、机の下やタ ...

黒い画面の余地 nw+333-0217

テレビを買ったのは、寮に移って四か月ほど経った頃だった。 部屋には何もなく、夜になるとやけに静かで、物音が自分の呼吸だけになるのが嫌だった。だから深夜、眠れないときに流しっぱなしにしておける安物のテレ ...

三人目の記憶 nw+

七月の終わり、土曜日の午前中。 Aから連絡が来る。十年前から変わらない文面で、「今年も行くぞ」とだけ書かれている。 年に一度しか会わない友人が二人いる。 AとB。高校の同級生だった……はずの二人だ。 ...

覚えていてね nw+402-0217

わたしには、男だった頃の記憶と、女だった頃の記憶がある。 どちらが先だったのかは思い出せない。思い出そうとすると、必ずどちらかの季節が崩れる。夏のはずなのに、窓から入る風は冷たく、白いレースのカーテン ...

止まらない手 nw+

大学三年の夏だった。 蝉の声が空に張り付いて離れないころ、俺はジェンベのサークルにいた。手のひらの皮が剥け、豆が潰れても叩き続けた。音を出すというより、何かを叩き起こしている感覚があった。リズムを合わ ...

一歩ずれる nw+

たぶん、あれは中学のときだ。 友人のTのことを、今でもふと思い出す。 当時は変なヤツだな、で済ませていた。今ならもう少し、ちゃんと怖がってよかったんじゃないかと思っている。 最初にTを変だと思ったのは ...

行けと言った夜 nw+

私はいま、夫と子どもと一緒に地元の集落に暮らしている。 山と田畑に囲まれた、夜になると蛙と風の音しか残らない土地だ。都会から移住してきた人は口をそろえて「星がすごい」と言う。でも私は、もっと別のものの ...

戻された席 nw+

あの夏の入道雲は、逃げ場のない白さで空を塞いでいた。 二〇二五年六月、私はほとんど食べられなくなった。食欲がないのではない。喉が拒んだ。水すら通らない。検査は増え、数値は並び、結果は「異常なし」か「経 ...

葬式のあとに来たもの nw+

あれが見えるようになったのが、いつからなのかは思い出せない。 はっきりと輪郭が浮かぶことはほとんどない。四十九日を迎えるまでのあいだ、亡くなった人は時折、こちら側に薄く残る。その名残が、ふとした瞬間に ...

六人目は誰 nw+

十二月の半ば、吐く息が白く固まるような寒さだった。 地元の古い公共施設を貸し切ったコスプレイベントに参加していた。天井の高いホールと、四方を壁に囲まれた中庭のある建物で、屋内は撮影用のセットや小道具で ...

時空のおじさん nw+

あれは昨日の晩だったと思う。いや、もう正確な時間は思い出せない。 思い出せないというより、あの時間帯だけが、最初から存在しなかったみたいに抜け落ちている。 仕事が早く終わった日だった。まだ空が青さを残 ...

水道カメラが拾った《目》nw+

もう五年以上前の話だ。 あの現場の記録番号はいまでも覚えている。だが番号より先に浮かぶのは、あの“目”だ。 当時、俺は下水道の調査を請け負う設備保全会社にいた。暗く、臭く、酸素濃度を気にしながら作業す ...

扉のない店 ncw+870-0131

十年ほど前の話になる。 当時はまだ高速道路の整備も今ほど進んでおらず、県境を越えるだけでも時間がかかった。私は同じ部署の先輩に誘われ、兵庫県の山間部まで車で出かけた。 目的は、知る人ぞ知る巻きずし屋だ ...

外でお弁当 nw+

今日は外で食え。 社長がそう言ったとき、冗談だと思った。だが本気だった。十一月とは思えない陽気で、窓越しの光がやけに白く、社内の蛍光灯よりも強く感じられた。 「今日は温かい。昼は外で食え。全員だ」 外 ...

赤いスカートの子 nw+560-0211

あれは、小学六年の春先だった。 教室の空気は重く、窓を開けても湿気が逃げなかった。黒板のチョークの粉まで、肌に貼りつくような午後だった。 ナツミが「こっくりさんやろう」と言い出したとき、わたしはすぐに ...

出られなかった電話 nw+

父は、生きているあいだ、霊だの呪いだのといった話を本気で軽蔑していた。 占い番組が流れていれば舌打ちをし、心霊特集が始まれば無言でチャンネルを変える。 「見えた」とか「感じた」とかいう言葉を、感情の弱 ...

透けているのはどちら nw+616-0216

あの夜のことを、わたしはまだ思い出せない。 思い出せないというより、思い出そうとすると、どこかが先に思い出してしまう。 二週間、ほとんど眠っていなかった。眠ったのかもしれないが、起きている時間との境目 ...

食べなきゃだめ ncw+659-0129

小学校五年の春、私にはとても太っている友達がいた。 太っている、という言葉では足りなかった。子どもの目で見ても現実味がなく、どこか作り物のような大きさだった。机に腹が当たって前に寄れない。体育の時間は ...

無臭のあとに残るもの nw+

父が死んでから、うちのトイレには二種類の匂いが棲みついた。 ひとつは煙草の匂い。 もうひとつは、うまく言葉にできない、鼻が本能的に拒むような悪臭だった。 煙草なんて私は吸わない。灰皿もない。来客もほと ...

死者の愛 nw+

祖母が亡くなったのは、十年以上前のことだ。 私は大学の課題に追われ、コンビニでカップ麺を選んでいた。帰り道、母からの電話に出た瞬間、言葉より先に異様な静けさが耳に残った。声が震えていたのではない。向こ ...

《代わり》nw+

祖母の家の物置には、古いセルロイドのフィギュアが並んでいる棚がある。 昭和の初めに輸入されたという外国製の人形たちだ。白黒テレビの時代のキャラクターらしく、丸い目と大きな口をしている。ネズミと猫。いつ ...

記録に残らない当番 nw+612-0108

工場での仕事は好きだった。 正確には、慣れていた。 同じ時間に起き、同じ服を着て、同じバスに乗り、同じ匂いの中で同じ動きを繰り返す。小麦粉と蒸気と油脂の混ざった空気は、最初こそ鼻についたが、数年もすれ ...

消えたのは、どちら nw+

真夜中に帰宅して、襖を開けた瞬間、自分が自分と目を合わせた。 群馬県に住む吉野さんが大学生だった頃の話だ。猛暑の夜、終電を逃し、郊外の実家まで一時間以上歩いて帰ったという。古い瓦屋根の平屋で、庭の向こ ...

弁当箱が増える子 nw+

秋山さんは、今でも昼休みの匂いだけは忘れられないと言う。 埼玉の山あいにあった県立高校。冬になると霧が廊下を流れ、杉林の影が教室の窓に貼りついたまま動かないような場所だった。 二年のとき、クラスに前後 ...

青葉台ガーデンヒルズの影:元刑事作家が暴く閉ざされた住宅地の秘密【中編ミステリー】#745-0220

■登場人物 神崎陽一(かんざき よういち) - 45歳、元刑事、現在はミステリー作家 身長180cm、やや痩せ型だが筋肉質。短く刈り込んだ黒髪に少し白髪が混じる。鋭い眼差しと穏やかな表情のギャップが特 ...

アルバムから消えた女 nw+

大学二年の春、駅のホームで電車を待っていると、見知らぬ女性に声をかけられた。 「久しぶり。覚えてる?」 名前を聞くと、高校の同級生だという。確かに聞き覚えはあった。同じクラスだったらしい。だが顔が思い ...

沈黙の方程式【短編ミステリー】#544-0220

2025/06/04   -中編, ミステリー, n+2025

第一章:名もなき死 雨が窓を叩いていた。 東京の西端にある古びたアパート。その一室で、刑事・榊原哲也はカーテンの隙間から煙る街を見下ろしていた。片手には一枚の写真。柔らかな笑顔を浮かべる男が写っている ...

根を下ろす女 nw+

離島に嫁いだ知人の話だ。 島は山の稜線を境にふたつの集落に分かれている。北は畑を耕す者たち、南は海に出る者たち。南の者たちは、凪が続いても、嵐が来ても、必ず同じ言葉を口にするという。 「神が決めたこと ...

十一階のまま nw+

中学一年の春、自分は朝刊の配達をしていた。 小遣いが欲しかっただけだ。任されたのは、地域でも一番高い団地だった。十数階建ての棟が一本、周囲の建物を見下ろしている。朝の霧のなかでは、建物の上半分だけが浮 ...

魔界遊びの手順書 nw+

小学生の頃、ふざけてやったことが大事になった経験が一度だけある。 十二歳。ランドセルの重さよりも、自分の影の長さが気になり始める年頃だった。 あの頃の男子は、なぜか「向こう側」に触れたがる。心霊写真、 ...

水を吸わない石 nw+

中学一年の夏、家族で実家の墓参りに行った。 祖父母の墓石の隣に、小さな無縁仏がある。背丈は膝ほどで、角が丸く削れ、文字も読めない。ただ、その上にだけ、白い塩が山のように盛られていた。 盛り塩というより ...

人狼の電話 nw+

中学時代の同級生が、ある夜、酒の席で妙な話をした。 祖父は昔、朝鮮半島で交易をしていたという。ロシア人やタタール人とつながりがあり、その中に、ひとりだけ特別に親しかったロシア人商人がいた。 その商人が ...

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