短編 洒落にならない怖い話

札幌・米里の家(ヨネサトノイエ)【ゆっくり朗読】4300

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祟りって本当にあるんだなって思った前職で俺の相棒だった鍋倉さんの話。

98 :本当にあった怖い名無し:2013/12/18(水) 11:20:38.45 ID:4jtbXFj/0

鍋倉さんは俺より一回り年上の四十二歳。

一昨年の六月に俺のいた部署に入ってきた。

前職は大手の住宅メーカーでバリバリのスーバー営業マンだったが、前の年に脳の髄液が漏れる病気にかかり入院。

復帰後は内勤に移動になったが合わなくて退職、うちの社長の地元の後輩だったので俺のいた会社にスカウトした。

鍋倉さん、暴走族上がりの元ヤンキーで見た目もかなりガラが悪く態度も横柄だった。

初日にさっそく揉めて社長の前でガッツリとヤキ入れてやった。(恥ずかしい話、俺も元は武闘派ヤンキー)

しかしさすが一回り年上の大人。翌日には和解。俺も謝った。

それからは俺が仕事教えなきゃいけないので、毎日一緒に二人で客先を回りOJTする事となった。

お互いに元ヤンキー同士だった事もあり、非常に話があった。

プレゼン能力も高く、とにかく仕事の出来る人だった。

ある日二人で車で外回り中、なんか過去の悪さみたいな話になって、心霊スポットの話題になった

朝○病院とか、苫小牧の廃病院とか。車の免許取り立ての頃ってみんな行くよねって話。

「あのさ…楡井さん、米里の家って知ってる…?」

「ああ、ネットで見た事ありますよ。何か昔暴走族が燃やして無くなったって話ですよね。鍋倉さん行った事あるんスか?」

鍋倉さん意味深な顔で「楡井さん…俺何でこの話してると思う…?」

「え…まさか鍋倉さんがやったんですか?」

その通り、犯人は鍋倉さんだった…その話をします。

鍋倉さんと友人の勝山、当時の鍋倉さんの彼女と勝山の彼女と四人で、ある夜米里の家に行った時のこと。

現場に着くと、先客で大学生の数人組がいた。

花火持ってるからそいつらも一緒にやろうって事になった。

鍋倉さん達は家に向かってロケット花火をバンバン打ち込んで盛り上がってたら、みるみる火が 点いて燃え上がった。

もちろん通報もせずにすぐに退散。かなりビビりながら数日過ごしてたけど一週間ほど後に鍋倉さんはバイクで盛大に事故って大けがを負った。

同じ日の同時刻に勝山も車で大事故に逢い入院。

お互いに命は取り留めたらしいが、これはあの家燃やした呪いに違いないってかなりビビったらしい。

その数年後、勝山の彼女は発狂して自殺したらしい。

ここまで話して鍋倉さん

「俺が去年病気になったのもそのせいかも知れないですよね(笑)」

なんて話してたけどマジで洒落にならない事する人だと思ったよ。

んで鍋倉さん、去年自殺した。

もうこの世にいないからこの話書いたんだ。

発見して通報したのも俺。

前田森林公園で車で練炭焚いて逝っちまった。

 

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追申

これは紛れもない実話です。

鍋倉さん死ぬ日も同行してたけど、その頃は髪も毎日ビッチリとリーゼントでキメてたのに頭もボサボサでやつれた顔で会社来るようになったんですよね。

仕事もままならないから、俺が全部面倒見て、商談行くときは車で休ませてた。

毎日毎日死にたいって隣で話されてたから俺もかなり参ってました。

鍋倉さん、本当にいい男で見捨てる事は絶対にしなかった。

付き合いは短かったけど本当の相棒だったんだ。

この人は死ぬだろうと思ったけど、俺も俺でトラブルが続いてて精神的に参ってた。

最後の日同行の日、会社戻って俺は

「見積もりとか設計あるから残業するけど鍋倉さんもやっていかない?」って誘ったんだけど、

「今日はイイです。お先に失礼します…」って帰って行った。

「帰ったらすぐに眠剤飲んで寝てくださいね!とにかく体休ませないと!」

帰った隣の鍋倉氏のデスクのPC開いてみると前田森林公園の地図が出てきた。

嫌な予感してきた所に鍋倉さんからメール。

「今日俺は逝きます。一旦帰って死ぬ時は正装で逝くことにします。楡井さんんとは短い期間だったけどよい思い出になりました生きていれば最高のパートナーでしたよありがとう」

そんなメールが来たものだから焦って電話したよ。

「鍋倉さん。死ぬのはわかったから今日は止めて明日俺と話そう。それだけ約束してくれ」

「うーん…わかりました…」

「とにかく眠剤飲んで今日は寝て下さい!」

残業終わらせて帰ったのが十時くらい。何度も電話かけたが出ない。

仕事用の携帯にも、自宅にも出ない(奥さんは外出中だった)

もうこれはヤバいと思って夜中車ブッ飛ばして森林公園向かったよ。

途中に警察に電話して経緯説明して森林公園に白のワンボックス止まってるから調べて欲しいと。

鍋倉さんの自宅は森林公園の近くなので、自宅に車無いの確認してすぐに向かった。

パトカーやらレスキューやら大量に来て大騒ぎ。俺はパトカーに乗せられてすぐに事情聴取。

ガス濃度が下って搬出されてきたんだけどもう完全に顔は土気色で見込み無し。

病院に搬送してもすでに心肺停止で朝五時に死体袋に包まれて手稲署に行った。

その後俺も取調べすごかったよ。

搬出した後の運転席のシート下には携帯が落ちてた。

後部座席には火の消えた練炭コンロ。

薄れゆく意識の中、最後の最後まで奥さんに電話かけ続けたけど、その時奥さんは非番で温泉かなんか行ってて電話出なかったんだ。

病院に搬送されてからやっと奥さんに連絡ついて、来たよ。夜中の三時くらい。

何が何だかわからない様子だった。

俺は待合室で事情聴取。

朝四時半ころに処置室の中から

「心肺停止、蘇生できません」と聞こえてきた。

奥さんブン殴りたかったけど、悔しくて病院の柱蹴りまくって帰ったよ。

一睡もしないで出勤し、すぐに現場に行った。

いつも吸ってたタバコと缶コーヒー持って

「鍋倉さん、もう終わったから安心していよ。ここに居ちゃダメだ」

自殺の場合、検死で一週間くらいは警察署に保管されるんだよな。

その日は早退して寝た。

翌日共通の知り合いと鍋倉さんが死んだ事部屋で電話で話してたら、部屋中ビシビシとラップ音凄かった。

「ああ…来てるんだな」って思ったよ。

検死や取調べが終わって通夜の前の日に夢に出てきた。

誰もいない会社の前で、鍋倉さんの車の前で見た事も無い無表情で立ってるんだ。

話しかけたけど浮き上がって車のボンネットに吸いこまれていった。

「待ってくれ!」

って俺は頭をぐいぐい引っ張るんだけどそのまま消えちまった。

(了)

※文中の人名は全て仮名です。

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