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中編 都市伝説

後悔と恐怖の記憶【ゆっくり朗読】3000

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私が九年前から苦しめられつづけている、後悔と恐怖の記憶。

429 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/04/11(水) 06:03

この話を見た人に、ほんの少しづつ持っていってもらえればいいなと思い、今日ここにこうして書かしてもらいます。

実際になにかが憑くわけではありませんが、そう記述する事で、私自身の記憶の影がほんの少しだけ明るくなるので……

九年前の体験。それは私が某保険会社に入社し、三年目に突入した矢先のでき事でした。

私は係長になり、四人の部下が居て、その中の三人(飯島君・高橋君・姫川さん)は、一週に二回、欠かさず飲みに行くくらいの中でした。

残りの一人は、この物語には関係無いので、省略させてもらいます。

その日も、私達は四人で行き付けの居酒屋で食べた後、割り勘で支払いを済ませ、帰る途中でした。

いきなり、飯島君が、りんご一個がちょうど入るくらいの大きさの、見るからにぼろぼろな木箱を取り出して見せました。

それは変なしかけのある箱で、以前流行ったルービックキューブのように、色(木目)がきちんと合うようにそろえると、あくと言う箱でした。

彼が言うには、父からもらったもので、ずいぶん昔のものらしいです。

なんでも、戦争前からあったそうです。

「父はあけれないし、どうせ戦後の焼け跡で拾ったものだから、と僕に譲ってくれました」と言ってました。

その箱を彼は二世代隔てた今でもいまだに開けられずにいるそうです。

僕は、その箱を見たときから、なんとなく言いようの無い悪寒を感じていました。

僕は霊感があるほうなのでしょうか、時々、上半身と下半身のつりあいがとれてない人とか、足の足りない(もしくは無い)小動物等を見かけることがあるのです。

なので、僕は、高橋君と姫川さんがかわりばんこにその木箱の節目をずらしたり、引っ張ってみたりしているのを見ていて、なぜかひやひやしていました。

開け放ってしまうことを、僕の霊感が恐れていたんだと思います。

結局、その日はその木箱はあきませんでした。

店を出て、帰りのタクシーがつかまるまでの五分間くらいしか時間が無かったので、さすがに無理でした。

その後、その日は全員何事も無く帰宅しました。

次の日、飯島君が前日私以外の二人に好評だった木箱を会社に持ってきて、昼休みにデスクワークをしていた私の元へ、姫川さん、高橋君を連れてやってきました。

私は、その途端、付き合いが悪いと思われるのを覚悟で、彼らに忠告しました。

「その箱は、開けないほうがいいと思う」と。

彼は、いぶかしげな顔をしながら、僕に、「兄と同じことを言うんですね」と返しながらも、得意げに、「きっと近いうちに開けて見せますよ」と言って、デスクワークをしている私に気を使い、それきり昼休みは話しませんでした。

そしてその日の仕事が終わった後、四人で、桜見をしようと言うことになり、近くの公園で姫川さんのお母さんの差し入れで、筑紫のお吸い物をすすりながら、桜を堪能していました。

そんなときに、高橋君が、「この素晴らしい風景を、四人一緒に写真に収めておこう!」と言って、ポラロイドカメラを出し、それでひときわ幹の太い立派な桜をバックに写真を撮りました。

見事なな写真が撮れました。

でも、変なのです。

夜だから、余計な光が入る心配も無し、開けた場所だから、フラッシュが反射して変色する心配も無いんですけど、写真が、なんとなく薄い赤色を全体的に帯びているのです。

高橋君は、こういうこともあるさ、と言って、もう一回全員で写真を撮りました。

しかし、またも、同じ現象が起こったのです。

高橋君は、「広い範囲で撮るから、余計なものが入るのかもしれない。

フィルムに余裕はあるし、一人づつ撮ろう」と言って、私、姫川さん、飯島君、高橋君の順番で撮ることになりました。

まず、私の撮影です。

コレはうまく行きました。

つぎの姫川さん、うまく行きました。

問題はそのつぎの飯島君でした。

一度目で撮れた写真は、さっき撮ったのより、なんとなく赤みが強くなっているようにみえる写真でした。

そこでもう一回。

今度はなんだか飯島君の周りに赤ではなく、黄色に近い色の薄いビニールのようなものが写っている写真でした。

気味悪がりながらも、飯島君はもう一回撮るように高橋君にお願いしました。

そして出てきた写真を見て、高橋君は「なんだあ、なんか変だ!」と言って、私達のほうに駆け寄ってきて、その写真を見せました。

その内容はかなり凄惨なもので、飯島君の手や顔はほとんど隠されるほどに、数え切れないほどの黄色い手が飯島君の体に四方八方から絡んできて、さらに、飯島君の体の黄色の手に絡まれていない部分(下半身)も、鮮烈な赤色に染まっていました。

飯島君はこれを見せられた後、一つの事実を告白しました。

 

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その内容は次のようなものでした。

「今日、昼休みの後、印刷室でコピー気を回してる間、木箱をいじっていたら、ついに木箱が開いたんですよ。
だけど、中からはぼろぼろの布袋が出てきて、それに『天皇ノタメ名誉の死ヲタタエテ』って書いてました。開けてみたら、大量に爪と髪の毛の束が出てきて、不気味だから焼却炉に捨ててしまいました」

私達はすぐにそれをお寺に持っていって、その話をして、写真を供養してもらえるように頼んだんですけど、お寺の住職さんは、

「あなたのしたことは、とても危険なことです。あなたがたの持ってきたその写真を供養しても、霊の怒りは静まりません。その木箱を持っていらっしゃい。それを供養してあげれば、中に閉じ込められていた魂も救われます。ぜひ持ってきてください」

と言って、寺の住職はひとまず今日は帰るように促しました。

しかし結局、飯島君と会うのはその日が最後になりました。

次の日の朝

飯島君が昨日の帰宅途中、自宅近くで自動車に衝突され、胴体が切断され、下半身は炎上する車のタイヤに巻き込まれたまま一緒に焼け焦げ、上半身はそこから20メートルくらい離れたところにあり、即死だったとのことです。

その日、私と高橋君と姫川さんは、彼の母親から木箱を譲ってもらい、それを寺の住職さんのところに持っていきました。

しかし寺の住職さんは、

「この箱は怨念そのものです。それも、もはや人のものではなくなっています。この霊たちの怒りを静めるのは難しいです。供養して差し上げたいですが、時間がかかります。それでもよろしいですか?」

と言いました。

飯島君が霊に憑かれる行いをしてから、たったの半日で命を落としたのを見ている私達は、それではいけないと思い、自分達で読経を覚えることにしました。

その年の十二月

私達が霊の恐怖を忘れかけていた頃になって、姫川さんが火事で亡くなりました。

発火の原因は、ストーブの不完全燃焼だったらしいです。

残された私と高橋君は気味が悪くなり、会社に転勤を希望しました。

事が起きたこの地を離れれば、霊たちも私達のことを追って来れないのではないか、と思ったからです。

しかし、考えたくありませんが、すでに私と彼のどちらかが憑かれている可能性もあるわけなので、お互いの了解で、別々の場所に転勤させてもらうことにしました。

しかし、その考えは甘かったと、後から思い知らされることになしました。

それから九年が経過しました。

まさに悪夢のような九年間でした。

高橋君は転勤後、二年目にして結婚。

その後、一人目の子供が生まれて半月で肺炎で亡くなり、二人目の子供も流産で亡くなりました。

それと同じに、二度にわたる流産で高橋君の妻も体を悪くし、脳に腫瘍ができ、植物人間になって、次第に体力が衰えていき、最後には死に至る重い病気を患いました。

そして、六年目の秋に亡くなったといいます。

高橋君も精神的に参っていたのでしょう。翌年の春に、会社の屋上から飛び降り自殺をしてしまいました。

それから二年がたち、現在に至ります。

このごろになって、頻繁に激しい動悸に見まわれるようになりました。

さらに、夢に先に逝った三人が出てくることも度々ありました。

私はこの先どうなるのかわかりません。

今の持病の動悸も、恐怖によるストレスからくる一時的なものでありたいと思いますが、私を除いた三人がすでに他界してしまっていることから、私ももう長くないかもしれません。

この長く読みづらい素人文書を、最後まで読んでくださった人は、私に憑いている霊を鎮める手助けをすると思って、手を合わせて簡単な読経をお願いしたいと思います。

「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と。

(了)

 

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