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後悔と恐怖の記憶 r+3351

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これは、九年前にある保険会社で働いていた男性から聞いた話だ。

彼は職場での順調なキャリアを築き、部下たちと親しくしながら、少しの誇りとともに日々の仕事を楽しんでいたという。

その中でも特に信頼していたのが飯島、高橋、姫川の三人だった。気の置けない彼らとの飲み会が終わると、飯島がふと、古びた木箱を持ち出したのが始まりだった。

その箱は、戦前から家に伝わるもので、複雑な仕掛けが施されていた。飯島の兄でさえ「決して触れるな」と言われていたらしいが、彼は酒の勢いもあってか「絶対に開けてみせる」と強気に言い張った。

異様な雰囲気が漂う木箱を前に、彼は奇妙なまでに興奮していた。しかし、彼にはわからなかったのだろう。木箱の木目の不揃いに見える歪みが、まるで邪な何かを閉じ込めているかのように見えたことを。

霊感が多少ある彼は、ただならぬものを感じて開けるのをやめるよう忠告した。だが、飯島は一笑に付し、意気揚々と箱を手にして帰っていった。

それから数日後の夜、四人で花見に行き、ポラロイドカメラで記念写真を撮った。

だが、何度撮っても写真全体が不気味に赤く染まる。

光の加減でも悪いのかと、一度は気に留めなかったが、最後に飯島を一人で撮影すると、彼の肩には鮮やかな黄色い手が絡みついているように写り込んだ。その異様な写真を見つめた時、誰もが言葉を失った。

次の日、昼休みの時間に飯島は同僚たちに箱の中身を打ち明けた。

「あの中にはね、『天皇ノタメ名誉の死ヲタタエテ』と書かれた小さな袋が入ってたんだよ。気味が悪いから、中にあった大量の爪や髪の束は焼却炉に捨てた」と語る飯島の顔色は、どこか青ざめていた。

その翌日、飯島は交通事故に遭い、帰らぬ人となった。彼の死後、遺族から託された木箱を寺に持ち込んだが、住職はそれに触れるなり、険しい表情で告げた。

「この箱は強い怨念そのもの。写真を供養しても霊の怒りは収まらない。箱を完全に封じるには多くの時間がかかるでしょう」と。

不安は的中した。供養を依頼してから一年が過ぎたある日、今度は姫川が火事で命を落とし、その後、高橋も妻子を亡くし、最終的に自ら命を絶ってしまった。

彼は部下たちの最後の姿が脳裏に焼きつき、離れることがないという。時折、ふとした瞬間に背後から誰かが手を伸ばしているような錯覚に襲われ、夢の中で彼らが何度も彼を責めるように現れるのだと語った。

「どうか、この文章を読んでくださる方にお願いしたい。ただ一度でいい、『南無妙法蓮華経』と心の中で唱えてください」と彼は訴えた。それによって、少しでも、重くのしかかる記憶の影が薄れていくことを祈っている。

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