中編 カルト宗教 定番・名作怖い話

【18禁!!】カルト狂信者の性奴隷【底知れないカルト宗教の恐怖】【ゆっくり朗読】6963-0110

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孤独だった俺の話を暇つぶしに聞いてください。

780 本当にあった怖い名無し 2011/06/26(日) 20:01:41.28 ID:TXVIrBId0

小学校五年生の時、交通事故で両親を亡くして祖父に引き取られた。

その時から俺の時間は止まってしまったようになって何も考えられなかった。

事故の前のことは何も思い出せなくなり、何もかも楽しくなくなった。

転校した先の小学校でも何もしゃべれず、全く友達もできなかったし友達を作りたいとも思わなかった。

ただ朝になったら学校に行き、自分の席に座って授業にのみ集中し、学校が終わればすぐに家に帰った。

先生は気を使っていたようだが、みんな気味悪がっていたと思う。

いつもステテコと腹巻姿の祖父は優しく、慣れない手つきで家事をしつつ俺の好物の鶏の唐揚げを良く作ってくれた。

今でも感謝しているがその頃は会話もほとんどなく、自分の部屋でゲームを延々としていた。

クラスでの俺は誰の眼中にも入らない透明人間のような存在になっていったと思う。

そんな生活を続けていて、いつの間にか六年生になった。

クラス替えもないのでほとんど環境も変わらなかった。

六年生になってからしばらくして、休み時間にいつもいじめられている女の子がいることに気が付いた。

茶色くて長い髪の大人びた綺麗な女の子だった。

近くにいる奴とかの、ひそひそ話を注意深く聞いていると、彼女は白人の祖母を持つクォーターで父親を早くに亡くしており、母親が一年程前から新興宗教に入信し、熱心な勧誘活動をしているようだった。

「おい!外人!」

とか

「たたりがあるから触るな」

とかバカにされていて、いつも仲間はずれにされたりモノを隠されたりしてからかわれていた。

先生も絶対に気付いていたが、黙認しているようだった。

ある日の昼休み、いつものようにクラスの代表格の体の大きないじめっ子が彼女が大事にしていたお守りを取り上げた。

周りのみんなはそれを見て笑い囃し立てた。

そんな場面を今まで何度も見たが、俺は何にも感じなかった。

普段、どんなに苛められても平気そうだった彼女が、この日だけは必死に取り返そうとしていた。

「それはだめ。お父さんの……」

小さくて泣きそうな彼女の声が聞こえたとたん、俺の中の何かが切れた。

俺は腹の底から「やめろ!」と怒鳴り、机を倒し、いじめっ子に殴りかかっていった。

喧嘩が強いはずのいじめっ子は不意をつかれたようで椅子につまずいて倒れた。

馬乗りになって彼女のお守りを取り返した。

それでも俺の怒りの爆発は収まらなかった。

その後も俺は机を倒したり椅子を投げたり、張り紙を破ったりして教室の中を狂ったように暴れまわった。

何故かこの教室の全てが憎らしかった。

いつも全くしゃべらない俺が暴れたので、周りのみんなは呆然と見ているか悲鳴を上げて逃げているだけだった。

騒ぎを聞きつけた先生が止めに入りその場は収まった。

すぐに学校に祖父が呼ばれ、祖父は一生懸命謝っていた。

俺はただ黙ってそれを見ていた。

次の日から彼女はいじめられなくなった。

俺はさらに孤立したが何とも思わなかった。

ある日の帰り、校門に彼女が待っていた。

「マサヤ君。あの時はありがとう……一緒に帰ってもいい?」

彼女は少し恥ずかしそうに俺に聞いた。俺は頷いて一緒に歩いた。

彼女は黙って少し後ろを歩いていた。

そして彼女の家と俺の家との分かれ道に着くと彼女は

「じゃ、また明日」

と笑って手を振って帰っていった。

次の日の朝、分かれ道に彼女は待っていて一緒に学校に行った。

こうして毎日、俺と彼女は一緒に登下校した。

休み時間も彼女がそばにいるようになった。

最初は何も話さなかった彼女は段々打ち解けてきて、家族の事とかをぽつりぽつりと俺に話してくれた。

彼女が幼い頃、おばあさんに作ってもらったお菓子がとても美味しくて、いつか作れるようになって食べさせてみたいとか言っていた。

たまに俺の家にも遊びに来るようになった。

俺は彼女専用のゲームのセーブデータを作って、夜の間に彼女の為にレベルを上げておいたりした。

俺も徐々に一人でいるよりも彼女といるほうが楽しく思えてきていた。

周りはいろいろと囃し立て、ことあるごとにからかわれたが、俺は危ない奴と思われているようで誰も執拗には言ってこなかった。

俺も彼女も周りに何を言われても全く気にならなかった。

彼女にだけは俺も話ができるようになって、たまには笑うこともできるようになった。

俺が笑うと彼女は

「マサヤ君の笑ったところ大好き!」

と赤くなって言ってくれた。

彼女は幼い頃のおばあさんとの楽しい思い出をたまに聞かせてくれ、俺も何か思い出を話したかったが、どうしても事故の前の小さい頃のことが思い出せなかった。

それ以外は彼女には何でも話せるようになった。

中学生になってからもこの関係は変わらなかった。

中二のとき彼女が俺の家で遊んでいて、ふと俺に聞いた。

「どうして……あの時、助けてくれたの?」

俺は彼女が言った『それはだめ。お父さんの……』と言う言葉を思い出し

「俺のお父さんとお母さんも……」

口に出したとたん、目から涙がぼろぼろ零れて止らなくなった。

俺の心の奥から後から後から事故の前の楽しかった思い出が涙と一緒に溢れ出し、泣きながら、彼女にその思い出をひとつひとつ話した。

彼女も泣きながら辛抱強く聞いてくれ、俺を優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。

俺は彼女の優しさが嬉しくて強く抱きしめて初めてのキスをした。

キスをやめると彼女は

「……マサヤ君、大好き。ずっと一緒にいさせて……」

と言った。

高校も同じところに行った。

彼女との電車通学は本当に楽しかった。

彼女のおかげで俺は少しずつだが自分を取り戻せている気がした。

彼女がお母さんと住んでいるのは狭いアパートだったので、勉強もゲームもキスも、だだっ広い俺の祖父の家でしていた。

ただ、毎週金曜日は彼女の家の宗教の集まりがあり、会えなかった。

彼女は昔から、行きたくないけど行かないとお母さんに怒られる、と言っていた。

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高校三年生になったある日の帰り道

彼女が青い顔をして「大事な相談がある」と言った。

俺たちは駅前の喫茶店に寄った。

「私、教団をやめたいのに……大変なことになっちゃった……」

彼女はゆっくりと少し震えながら話し始めた。

彼女の話によると、教祖のお世話係(特殊な名称)に選ばれてしまったらしい。

教団では名誉ある役目とのことだが、要は教祖が信者の中から気に入った女性を選抜し、十八歳の誕生日に本部に出家させ、一ヶ月間厳しいと言われている修行をさせて身を清め、その後は教祖のそばで身のまわりの世話をする役目だと言う。

聖人の世話係は穢れない女性に限られるらしい。

穢れない女性とは男性経験のない女性とのことだった。

それを聞いても実感がわかず、俺は少しだけ笑った。

「そんなこと、ほんとに? それにユリカは教団が言うところの穢れある女性なんじゃない?」

俺と彼女はついこの間、自然な流れで初めて一線を越えてしまってもいた。

彼女は少し赤くなったが、真剣な顔で言った。

「笑い事じゃないんだって、ほんとなんだよ。お母さんも本気なんだよ。マサヤ君としたなんてわかったら、すっごい怒られるよ。どうしたらいい?」

「断れないの?」

「私……絶対、やだっ! て言ったんだけど、ダメだって……すごいお金も、もらえるって……出家したら会えなくなるんだよ。来月、本部から迎えが来るんだって……私はいつかマサヤ君のお嫁さんにしてほしいのに……」

泣きそうな声で言った彼女の言葉にドキドキとしてきて、

「そんなところにユリカを行かせるわけないだろ。俺はユリカの為ならどんなことでもやれるんだよ。何人で迎えに来るか知らないけど、絶対守ってやる」

と俺も本気で言った。

彼女は嬉しそうに微笑んで頷いて俺の手を握った。

どうすればいいか悩んだ末、俺は祖父に相談することにした。

祖父に俺は彼女との馴れ初めから初体験、彼女の生い立ちまで包み隠さず話し新興宗教のことも分かっていることのすべてを話した。

祖父は口をへの字にまげ真剣に聞いてくれた。

「じいちゃんはいつかお前も両親の後を追って、いなくなってしまうんじゃないかと怖かった。今、お前が生きているのは全て彼女のお陰だ。じいちゃんが全身全霊をかけて彼女のお母さんを説得してやる。決裂したら彼女をかっさらってでもここに住まわせてやる。そんで、どんな宗教か知らんが誰も家には入れん!」

と言ってくれた。

次の日、彼女に会って祖父の話をすぐに伝えた。

彼女は目に涙を浮かべながら聞いてくれた。

彼女のお母さんと会う日、祖父はビシッとスーツで決め、俺にも制服を着ろと言った。

いつになく祖父が若々しく頼もしく見えた。

彼女のアパートの呼鈴を押すと彼女が出てきて部屋に通された。

中に入ったとたん、酷い耳鳴りがして、目の前に透明な幕がかかったようになり、ふわふわと夢の中で歩いているような気がした。

部屋はよく整理されていて清潔だった。

テーブルには彼女のお母さんが不機嫌そうに座っていた。

祖父はお母さんの正面に腰を下ろした。

祖父の隣に俺は座った。さらに耳鳴りが酷くなった。

俺は祖父を見た。

愕然とした俺の祖父だと思っていたら、お父さんが座っていた。

お父さんの向こう隣には知らない男の人がいて彼女を見ていた。

お父さんは俺を見て微笑んで言った。

「今まで良く頑張ったな。お前の幸せを母さんと応援してる。安心しろ」

俺の目から涙が溢れそうになり、胸が一杯になって目の前が真っ白になった。

一瞬、笑顔のお母さんが手を振っているのが見えた気がした。

どの位の時間が経ったのかわからなかったが、急に夢から覚めたように頭がはっきりとした。

透明な膜がかかったような感覚はなくなっていた。耳鳴りもしていない。

いつのまにか話し合いは終わっていた。

隣を見るとやっぱり祖父が一人で座っていた。

祖父は「良かったな。わかってもらえたみたいだ。帰ろう」と言って席を立った。

彼女と彼女のお母さんは顔を両手で覆って泣いているようだった。

俺は挨拶をして、あわてて祖父についていった。

何がなんだかわからなかった。

外に出ると祖父は

「何かあたたかい不思議なのが、俺たちのほかに二人くらい来ていたな」

と言った。

彼女からすぐに携帯に連絡があった。

「私のお父さんが来てくれた。お母さんを叱って私にマサヤ君と幸せになれって言ってくれた。昨日の夜から私、お父さんにもらったあのお守りに祈ってたんだ」

彼女は興奮して言った。

その後、彼女と彼女のお母さんは新興宗教を辞めた。

かなり揉めてしまって、祖父が知人の弁護士に相談し、しばらく俺の家に避難させた。

教団と思われる嫌がらせもあったが、俺は家族が増えたようで楽しかった。

祖父は前の言葉通り、教団関係者を誰も敷地内に入れなかった。

数年後、その教団の教祖が強制わいせつ罪で摘発された。

やはり、あの時行かせなくて良かったと俺は心底思い妻に話した。

そして、「でも怖いな。こんな悪魔みたいな奴、信じていたこともあったんだろ?」と聞いた。

「それはお母さん。私は子供の頃から、あなたしか信じてなかったよ(笑)」

妻は幼い息子を胸に抱いてあやしながら幸せそうに笑った。

妻の向こうの居間でステテコに腹巻姿の祖父が、寝転んでテレビを見ているのが見えた。

キッチンのオーブンからは妻のおばあさんレシピのクッキーが焼けてきた良い匂いがした。

幸せな今だからかもしれませんが、もしもあの時、祖父に相談せずに教団の人たちが彼女を迎えに来たとしたら、自分が何をしようとしていたのかを考えると洒落にならないくらい怖くなるんです。

(了)

 

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