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中編 不動産・物件の怖い話 ほんとにあった怖い話

埼玉のいわくつき敷延物件 r+6744

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これは、不動産業のSさん(仮名)から聞いた話である。

彼が担当したのは埼玉県の住宅地。20棟の新築分譲住宅地で、すでに販売から三年が経っても売れ残りが続いていた。売れない区画は特に「N」「Q」「R」と呼ばれる区域、なぜかこの場所だけは買い手がつかず、関係者たちを悩ませていた。

不動産の営業という仕事柄、いわくつきの物件に縁があるのは珍しいことではない。それでもこの住宅地は、Sさんの会社の間でも妙な噂が絶えなかった。なにしろこの場所は“出る”のだという。

販売当初から“敷延(しきえん)物件”といって不整形な区画を割安で提供していたが、最初に売れた「M区画」では、購入後半年で一家の主が首を吊って亡くなり、さらにはL宅での火事やI宅の離婚、J宅の交通事故と、連続する不幸が続出していた。

そんな経緯がありながら、住宅地の販売委託は次々と他社に渡り、ついにSさんの会社にも「G」「N」「Q」「R」区画の委託が舞い込んだ。それからさらに半年後、整骨院の先生が自宅で急死する事件があり、彼の会社で担当していたSさんも、さすがにこの一帯に不吉な気配を感じざるを得なくなったという。

数カ月後、「M区画」も再び売りに出されることになり、Sさんも物件の確認に向かった。営業の佐藤君(仮名)も同行したが、二人で「M区画」に足を踏み入れた途端、佐藤君は「ここは本当にやばい」と呟きながら玄関先で立ちすくんでしまった。

彼が「M区画」に足を踏み入れた瞬間、不意に「キン」という音が響いた。Sさんはその音に「なんだ?」と振り向いたが、佐藤君は「これ以上無理です」と青ざめて引き返してしまったという。

音の正体を確かめようと、Sさんは一人でさらに中を進んだ。M宅は3LDKの間取りで、二階にはかつての納戸があった。この納戸こそが、M宅の主人が亡くなった場所だった。階段を上がり始めると、再び「キン」という音が耳に響いた。金属のような響きで、音源がどこからかも分からない。

やがてSさんは二階の納戸にたどり着くと、そこにはスーツ姿の男が佇んでいた。驚きつつも「田中さん?」と声をかけると、その男は「お疲れ様です、清掃に来ていました」と静かに笑った。不審に思いながらも、Sさんは田中さんと名乗る男と短い会話を交わし、内覧を終えて一階に戻った。

だが、玄関に待機していた佐藤君が「さっき、二階で誰と話してました?」と尋ねてきた時、Sさんの背筋に寒気が走った。Sさんは「田中さんがいたから話していた」と返すと、佐藤君は「清水さん、入った時、玄関に靴も無かったじゃないですか!」と顔を引きつらせた。

その時、再び「キン」と音が鳴り響き、Sさんも外へ飛び出した。車内に逃げ込んでから、佐藤君が語った内容はさらに奇妙だった。彼によれば、二階の踊り場から浮かぶように何人もの影が移動し、Sさんの頭上で壁の中へ消えていったという。そして「キン」という音が彼らの消え際に響いたのだ、と。

帰社後、Sさんはすぐに売主に連絡を取った。そこで知ったのは、田中さんが八月に交通事故で亡くなっていたという事実だった。

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