「洒落にならない怖い話」 一覧

持ち帰ったのは誰か rw+4,784-365

十年ほど前のことだ。高校を卒業する直前で、進路はすでに決まり、進学でも浪人でもなく、ただ地元の工場に就職するだけの未来が待っていた。 教師も親も安心しきっていて、俺自身ももう何も選ばなくていい立場にな ...

縫い目はほどけない rw+5,472

あの夜、伯父は俺の部屋の後ろに立っていた。 三月の終わり、まだ肌寒い夜だった。両親は旅行で不在、家には俺と伯父だけ。俺はいつものように洒落怖まとめサイトを開き、ランキングを下へ下へとスクロールしていた ...

封印の二打 rw+4,801

関西の港で働いていたのは、今から十三年ほど前のことだ。 まともな職に就けず、日雇いに近い形でコンテナの荷降ろしをしていた。 海を渡ってくる鉄の箱。外側は無機質な塊だが、中身は国も言葉も違う土地の気配を ...

温泉宿で聞いた一言が、三年追いかけてくる話 rw+4,749

三年前のことを、いまでもはっきり覚えている。 あれは、妻と三歳になる長男を連れて、温泉宿へ一泊した時のことだ。仕事の疲れを癒やすための、ごくありふれた家族旅行だった。 夕食前に大浴場で汗を流し、のぼせ ...

郵便受けの女 rw+7,425

二週間前に今の部屋へ移った。 鍵も新しく、郵便受けも内側からしか触れない構造だ。深夜三時を過ぎても、何の音もしない。静かすぎるほどだ。だが静寂は安心にはならない。前の部屋で起きたことが、まだ身体のどこ ...

口元が緩む rw+5,754

中学時代の同級生から聞いた話だ。 小さな町にある、築年数だけが取り柄のようなコンクリート校舎での出来事だという。雨上がりの午後になると、教室の奥に黒板拭きの湿った匂いが残る。そんな時代の話だ。 最初は ...

二本目の指 rw+6,174

心の整理がついてきたから、こうして文字にしている。 俺には二人の大切な友達がいた。 原田と大場。 小学校からの付き合いで、社会人になってからも、三人でよく酒を飲んでいた。 去年のちょうど今頃も、いつも ...

写り込んだ未来の屍体 rc+4,470

宮城県の八木山橋って知ってるだろ。 自殺の名所としては割と有名で、地元じゃ洒落にならないくらいの数が飛び降りてるって噂がある。 ただ、俺にとってはあの橋の下に広がる竜ノ口渓谷の方がずっと魅力的だったん ...

リゾートバイト【完全版】#5,533

約40,000文字リゾートバイト【完全版】 ネット史上最高レベルの怖い話 【作業用・睡眠導入】【ゆっくり怪談】 これは俺が大学三年の時の話。 夏休みも間近にせまり、大学の仲間五人で海に旅行に行こうって ...

開けてはいけないドア rcw+5,435

自分が育ったのは、四国の瀬戸内海沿いにある小さな村だった。 港には古い木造船が並び、昼間でも潮と油の匂いが重く漂っていた。夜になると外灯は途切れ途切れになり、闇が地面からせり上がってくる。虫の声だけが ...

見てはいけない花 rw+5,022

四、五年前のことだ。 取引先の藤木さんから、酒の席で聞かされた話がある。 酔って笑い話にするには、どうにも生々しすぎた。聞いている途中から、場の空気だけが妙に冷えていくのを感じていた。私は相槌を打ちな ...

R山の丘 rw+2,180

Mとは、小一の頃からのつきあいだった。 頭は良かった。けれど身体はひょろく、動きも鈍かった。授業中に漏らしたことが何度もあった。みかん畑で野糞をして、葉で尻を拭いたという噂が広まった時、誰かがそれを歌 ...

まだ踏み込んでいない rw+3,943

十年ほど前のことだ。 夏になると、酒の席で怪談をすることが増える。暑さとアルコールのせいなのか、普段なら黙っているようなことまで、誰かがぽろっと話し始める。 その夜もそうだった。 地元の居酒屋で飲んで ...

未送信 rw+4,961

母方の家系は、どういうわけか代々「見える」人間が多い。 祖母も、母も、妹も、兄の娘まで、何かしら感じ取るらしい。祓えるわけではない。ただ、そこにいるものが「いいか悪いか」わかるだけだという。 私は違う ...

黒経の間 rw+5,025

小学生の頃の自分を思い返すと、胸の奥がむず痒くなる。 悪ふざけと衝動だけで動いていて、今思えば自分でも距離を取りたくなるような子供だった。 あの日も、理由はなかった。 八月、夕立が過ぎた直後の午後で、 ...

間延びしたノック rw+5,012

あれから十年経つのに、部屋の空気にはまだ、誰かが息を潜めているような沈みがある。 最初におかしくなったのは、由紀子が消えて五年後だった。俺はもう別の街に移り、別の女と暮らしはじめ、前の生活とは何ひとつ ...

誰にも言うな rw+4,382

親父が死んで、今日でちょうど一年になる。 うちの教会に一周忌という習慣はない。それでも朝から、何かの区切りをつけなければならないような気がしていた。 親父は神父だった。 十字架を掲げ、聖書を読み上げる ...

返事があるうちは rw+4,505

来年、結婚する。 その前に、胸の底に沈めてきたものを吐き出しておこうと思った。厄落としだと思えば、少しは気が楽になる気もした。 あれは、小学生の夏休みのことだ。 母が少し厄介な病気を患い、遠方の病院へ ...

後ろ髪は伸ばすな rw+4,624

中学生の頃、友達を失った。 表向きは精神の病と処理されたが、私は別のものを見ている。あれ以来、あの出来事に触れないことで均衡を保ってきた。だが先日、旧友と偶然再会し、封じていた記憶が剥がれ落ちた。書く ...

葉を戻したのは誰か rw+4,559

部の奥山に、小さな集落があった。 あたしはそこで生まれたわけじゃない。幼いころ両親を亡くし、庄屋に引き取られた。二つ年上のお嬢さんの世話役として、同じ屋敷で暮らした。礼儀も読み書きも教えられたけれど、 ...

三十二の次 rw+4,946

印刷会社で校正の仕事をしている。 原稿と刷り上がりを突き合わせ、誤字脱字や行数、ページ数を確認する。神経質な仕事だが、数字が合うと気分がいい。世界が正しく閉じる感じがする。 ある日、学校教材の冊子を担 ...

立っている規則 rw+7,951

アルバイトの面接なんて、気楽な気持ちで行くものだと思っていた。 だが、その日案内されたのは、古い木造の事務所だった。雨を含んだ木の匂いが鼻にまとわりつき、床は歩くたびにわずかに沈み、低く軋んだ。机の向 ...

普通の人たち rw+3,465

先週の土曜日のことだ。 うまく話せる自信はない。ただ、あのときから胸の奥に沈んだままの何かが、少しずつ重くなっている。このまま黙っていたら、たぶん私のほうがあちらに近づいてしまう。 朝七時。灰色の空の ...

後ろ姿だけが映る rw+5,437

あれは、真夏の夜のことだった。 仕事中、机の上に伏せていた携帯が震えた。画面には「村上」と出ていた。 声を聞くのは一年ぶりだった。大学を出てからは年に何度か会う程度になり、そのうち連絡も途切れていた。 ...

足りない一人 rw+3,983

あの夜のことは、角造さん本人から聞いた。 だが語り終えたあと、彼は何度も「俺は何人だった」と呟いた。その意味だけが、今も分からない。 島の夜は暗い。海鳴りと風が混ざり合い、音の境目が消える。仕事が長引 ...

寸法の合わない場所 rw+1,745

霊体験という言葉がある。 だが、あれは体験というより、接触に近い。 一度なにかに触れてしまうと、世界の見え方が変わる。変わったこと自体には気づけない。ただ、以前なら気にも留めなかった違和感に、立ち止ま ...

立てない場所 rw+1,612

もう何年も前のことだが、思い出すたびに喉の奥がきつく締め付けられる感覚だけは、今もはっきり残っている。 恐怖というより、息の通り道が一瞬で細くなるような、理由のない反射だ。 あのとき嗅いだ雨の匂い。湿 ...

この道に慣れている rw+2,186

大学三年の夏休み、俺たちは“逆に回る”ことにした。 四国八十八箇所。 順打ちではなく、最後の札所から最初へ戻る逆打ちだ。 言い出しっぺが誰だったかは覚えていない。 ただ、きっかけがホラー映画だったこと ...

運命だから rw+6,604

小学生のときだった。 母が勧誘を受けるようになったのは、梅雨の湿気が家の中まで入り込む午後だった。ピンポンとチャイムが鳴り、玄関に出た母は、赤い傘を持った女に声をかけられた。「心を救うお話、少しだけ聞 ...

午前二時四十九分の郵便 rw+5,211

あれは、僕が高校二年の十月に体験したことだ。 今でも、夜中に廊下で硬い足音を聞くと目が覚める。 郵便受けが鳴った気がすると、時計を見る癖もついた。 午前二時四十九分でないことを確かめてからでないと、も ...

その神棚は、娘の願いを叶えすぎた。#9,846

私は神社の家系に生まれ、霊能力者を生業としている者です。 三年前に訪れたお客様の話ですが、今でもどうしても考えてしまって胸が苦しくなる想いなので、もう時効かと思いますので吐き出させて下さい。 2015 ...

五年しか生きていない rw+4,109

私は三十一歳の女だ。 一番古い記憶は、小学校高学年の頃、階段の下で泣いている場面だ。母が怒鳴り、殴り、蹴り、「金を返せ」と叫んでいた。私は何をしたのか分からなかった。ただ、万単位の金が消えていると言わ ...

傷【祟られ屋シリーズ】#7,228

【ゆっくり怪談】傷【祟られ屋シリーズ】 以前、俺は韓国人の『祟られ屋』の所に半年ほどいた事がある。 211 傷 ◆cmuuOjbHnQ 2007/03/10(土) 00:01:52 ID:WmdfX0 ...

乗りますか~倉敷堀、空舟の影 #3,748

岡山・倉敷──あの街で、俺は見てはいけないものを見たのかもしれない。 コロナ禍真っ只中の、空気まで死んだようなある平日の午後だった。仕事で倉敷の美観地区の辺りを歩いていた。アイビースクエアの横を抜けて ...

真ん中に立つ人間 rw+3,583

あの町の名前は、いまも口にしないことにしている。 発端は、知人から聞いた「境界線」の話だった。物理的な線ではない。こちら側とあちら側を分ける、意識の裏に貼りついた薄膜のようなものだと言う。見えないが、 ...

足りない rw+4,026

あれは、小学四年の夏休みだった。 十五年経った今でも、はっきり覚えている。 本当にあった。 少なくとも、俺の中では。 当時、山中という同級生とよく一緒にいた。 クラス替えで隣の席になってからだ。ゲーム ...

見るだけで、つながる rw+5,260

あれは五年前の夏だった。 俺はまだ中学生で、日が暮れるまで裏山でエアガンを撃ち合っていた。弾が切れれば、寺の石段に座ってペットボトルの水を回し飲みする。あの頃の世界は、汗と火薬の匂いだけでできていた。 ...

四足の祖母 rw+5,180

三歳の頃の記憶が、私のいちばん古い記憶だ。 木枯らしの吹く夕暮れ、公園のブランコにひとり座っていた。鉄の鎖が軋み、耳がちぎれそうに冷たい。手も足もかじかみ、呼吸をするたび喉が痛んだ。それでも帰らなかっ ...

三月の隣人 rw+3,901

引っ越してきたのは、何年前だったか。 駅から徒歩五分、築二〇年のマンション。二LDKにしては家賃が安かった。付き合っていた彼女には小さな子どもがいて、三人で暮らすことを前提に選んだ部屋だった。 入居し ...

更新された顔 rw+4,155

出張で長野に行ったときの話だ。 地方の話をするのに「田舎」という言葉を使うのは少し躊躇するが、やはり都市部とは空気の質が違う。呼吸をするたび、肺の奥まで冷やされるような感覚があった。音も匂いも少なく、 ...

見えない二階 rw+130

あの家のことを、私はまだ夢に見る。 長崎の、地図にも小さくしか記されていない島。祖父の家。すでに取り壊され、存在しないはずのその屋敷の中を、私は夜ごと彷徨っている。 父が生きていた頃、家系の話は一切語 ...

ラッパの鳴らない五時 rw+3,505-3,8950

予備自衛官補として入った最初の夏だった。 湿気が肌にまとわりつき、制服の内側で汗が乾かない。大学の講義を終えて電車を乗り継ぎ、郊外の駐屯地に入るたび、日常と切り離された空気に包まれた。 朝六時、スピー ...

事件はありません rw+5,747

夜は、底から静かに満ちてくる。 嫁が夜勤でいない週末だった。 車で出て、代行で帰る。それだけの話だった。 二軒目に入ったのは、顔なじみのラウンジだ。元はパチンコ屋で知り合った女がやっている。今は新しい ...

隠し念仏の村で届いた黒い手紙 rw+9,139-0813

越してきた日から、この村の空気は肺に薄く膜を張るようだった。 畑の向こうに並ぶ屋根は、どれも同じ苗字を掲げている。子どもの声も、戸を閉める音も、土に吸われて消える。笑っているはずの顔が、どこか揃いすぎ ...

成功率 rw+8,012

絶対に他言無用だと念を押されたのは、誠司だった。 それでも俺は書いている。口に出さない代わりに、文字にしているだけだと言い訳しながら。 誠司には義光という友人がいた。無口で、視線が合わない。爪を噛む癖 ...

同じ声 rw+2,884

エイジがその話をしたのは、大学三年の冬だった。 居酒屋の隅、誰も聞いていないはずの席で、やけに周囲を気にしながら語り始めた。酔っているようで、言葉だけは妙に整っていた。 二年前、祖父が死んだ。 エイジ ...

いるだけのもの rw+7,352

電車を降りた瞬間、空気が違った。 湿気を含んだ風が、皮膚に貼りつく。山の匂いというより、どこか鉄のような、乾いた血のような匂いが混じっていた。 正典は無言のまま改札を抜け、こちらを振り返らない。 自分 ...

【名作】聚落~ヤバイ集落奇譚《ホラーテラーさん》#7,775

【ゆっくり怪談】聚落~ヤバイ集落奇譚 もう二〇年以上前、少年時代の話である。 怖い話投稿:ホラーテラー 寅さん :2009/10/28 05:15 俺は名は寅、友達は雄二と弘樹と仮名をつけておく。 … ...

八の先 rw+7,397

先月、祖父が亡くなった。 長く病院に通ってはいたが、最期は静かだった。苦しむ様子もなく、眠るように息を引き取ったと聞いている。親戚も口を揃えて「大往生だ」と言った。その言葉に違和感を覚えたのは、葬儀が ...

偽物が近づく rw+967

あれは『コトリバコ』という言葉が、まだ生き物みたいにネットを徘徊していた頃の話だ。 思い出話として語るには、後味が悪すぎる。 今でも、あのとき笑っていた自分の顔を、はっきり思い出せてしまう。 最初に言 ...

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