サッカー部での仲の良い二人、高柳君と川島君は、まるで双子のように息がぴったりで、勉強も運動もトップ争いを繰り広げるほどの存在だった。
クラスの人気者であり、彼らが学校を休む日は教室がどこか空虚に感じられるほどだった。
私も同じサッカー部に所属し、家が近いこともあって二人とはよく遊んでいた。正直に言えば、私はそれが誇らしかった。勉強も運動も並以下の私にとって、二人と一緒にいるだけで周りに対して優越感を覚えたのだ。それは、小学三年生の私にとって小さな自尊心の支えだった。
ある日のこと、私たちは近所の小川へ釣りに出かけた。今では埋め立てられてしまったその川は、当時の私たちにとって冒険の舞台だった。私はそのとき、誕生日に父に買ってもらったインスタントカメラを持っていき、楽しそうに遊ぶ二人の姿を撮影した。
しかし、家に帰って写真を見たとき、妙なものに気づいた。川島君の右腕の下、川の水面にまるで人の目のようなものが写り込んでいたのだ。心霊写真という言葉は知っていたが、自分の写真にそんなものが写るとは思いもせず、当時の私は「気味が悪いな」と思う程度で深く考えなかった。
数日後、川島君がサッカーの試合中に右腕を骨折し、入院することになった。そのとき、私は胸騒ぎを覚え、あの写真を再び引き出しから取り出した。そしてその写真を見た瞬間、凍りついた。水面から顔を出す小さな男の子がそこにいた。彼の目は確かに水の中から覗いていたあの目であり、さらにその手が川島君の右腕をしっかりと掴んでいた。
私は恐ろしくなり、高柳君を呼び出して写真を見せた。彼は真剣な顔でこう言った。「この写真を川島には見せない方がいい。ショックを受けるだろうから」。そうして、彼は写真を持ち帰った。
ところが、その3日後、川島君は亡くなった。病室から飛び降りたのだ。お見舞いに行っていた同級生によると、川島君は何度も「あいつが来る」とつぶやいていたという。大人たちはストレスが原因だと説明していたが、私には信じられなかった。
その後、高柳君に呼び出され、写真を再び目にすることになった。しかし、そこにはもう男の子はいなかった。写真は鋏で真っ二つに切られ、高柳君だけが写っていた。「自分にもあいつが来そうだったから」と彼は言った。川島君が亡くなる直前、写真の中の男の子が彼に覆いかぶさっていたという。
私は涙ながらに彼に問い詰めた。「なんで早く切らなかったの?そうすれば川島君だって助かったかもしれないのに!」
すると高柳君は静かに言った。「だって、あいつがいると……俺は一番になれなかったから」。
そのとき、夕陽に照らされた彼の顔を見て、私は息を呑んだ。高柳君の表情は、あの男の子の顔にそっくりだった。
(了)