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中編 r+ 洒落にならない怖い話 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

二人の少女 r+75541

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思い返すたび、あれは本当に人間だったのか、疑いが湧いてくる。年月が経つにつれ、記憶はますます曖昧になるが、あの夜の異様な感覚だけは今も鮮明だ。

俺が19歳の頃の話だ。

高校を卒業したものの定職にはつかず、気が向いたときに日雇いのバイトをしては、ぶらぶらと過ごしていた。遊び相手は高校時代の友人たち。中でも地元では悪名高い不良グループとつるむことが多かった。俺自身はケンカも弱く、バイクも持っていなかったが、幼馴染の間宮がそのグループのリーダーで家も近所だったため、自然と顔を出すようになっていた。

その日も間宮の家に集まり、夜遅くまでだらだらと遊んでいた。やがて話題が尽きると、ふと誰かが肝試しに行こうと言い出した。幽霊を信じているわけでもなければ、怖がっているわけでもない。ただ夜の墓地に行けば、運が良ければ女の子でもナンパできるんじゃないか、そんな軽いノリだった。

一人がバンを持っていたので、六人全員でそれに乗り込み、近場の肝試しスポットへと向かった。目的地は山中にある墓地。坂を登るようにして広がる墓地の頂上を目指した。

車を降りて墓地の入り口に立ったとき、頂上付近に白い影が見えた。それは人影のようだった。近づいてみると、それは二人の少女だった。まだ中学生くらいに見える。夏服のセーラー服を着ており、長い髪はパサついていて手入れの跡はない。髪が顔にかかり、表情はほとんど読み取れなかった。だが、不思議なことに二人はまるで双子のようにそっくりだった。

「こんな山奥に、なんで……」
違和感を覚えたのは俺だけではなかった。墓地まで来るには、車がなければとても歩ける距離ではない。それに、もし不良グループとこんな場所で鉢合わせたら、普通なら怯えて逃げ出すだろう。だが、彼女たちは違った。無表情のまま、静かに俺たちの前までやって来て立ち止まった。

間宮が声をかけた。「おまえら、どっから来たん?」
少女たちは何も言わず、ゆっくりと山の頂上を指さした。その動作にぞっとしたのは俺だけではなかった。

そのとき、突然白内障のように目の濁った犬が現れた。思わず声を上げそうになったが、すぐに後ろから老人がやって来た。老人は犬の飼い主らしく、この辺りを散歩コースにしているという。彼は土の盛り上がった場所を蹴りながら、「ここ、無縁仏の墓や」と言った。そして少女たちに何か話しかけると、俺たちには目もくれず去って行った。

少女たちが突然話し出した。「いま、おじいさんに聞いたんやけど、この先にもっと怖い場所があるんやって。呪いのわら人形がぎょうさん見つかるところ。行ってみいへん?」

正直、俺は行きたくなかった。だが、中学生の少女たちが行くというのに、「怖いからやめとこう」とは言えない。結局、彼女たちを車に乗せて案内させることになった。

車内では彼女たちにいくつか質問をした。どうしてこんな場所にいたのか、何かあったのか。だが、彼女たちはうつむいたまま、ほとんど口を利かない。ただ、案内役として淡々と指示を出すだけだった。

目的地は、杉の林に囲まれた神社だった。薄暗い中、少女たちは迷いなくその奥へ進んでいった。林の中で俺たちは釘の穴だらけの木々を目にし、そこには本当に呪いのわら人形があった。ぞっとする光景だった。

「もう帰ろうぜ」
間宮が言うと、少女たちは首を振った。「ここじゃダメや。もっといい場所がある。」俺たちの中にはすでに恐怖の限界に達した者もいたが、少女たちの強引さに押され、再び車を走らせることになった。

最後に着いたのは、左右に分かれた階段が続く丘の上の神社だった。少女たちは何の打ち合わせもないまま、それぞれ別々の階段を登り始めた。俺たちも分かれて後を追った。

途中、俺は前を行く少女に問いかけた。「お前ら、一体何者や? なんであんな場所におったんや?」
彼女は一度だけ振り返り、つぶやいた。「私ら……死ぬ場所探してんねん……」

頂上に着くと、もう一人の少女も反対側から現れていた。俺たちは震えながら彼女たちを車に乗せ、元の場所へ戻ることを提案した。しかし、帰り道で少女たちが告げた「ここ」という場所は、どこにも家がない神社の裏だった。

少女たちは車を降りると、林の中の穴に向かって歩き出した。間宮がクラクションを鳴らしたとき、二人はゆっくり振り返った。左右対称に首を傾け、微かに笑っているように見えた。

その顔に、俺は再び見たのだ。あの口元のよだれを。

「逃げろ!」
叫ぶと同時に車を急発進させた。背後で木村がつぶやいていた。「あの神社じゃダメだったんだ。あいつらの身長じゃ、首吊りには届かへんからな……」

その夜、俺たちは沈黙の中で震えながら朝を迎えた。以降、誰もその出来事について語ろうとはしなかった。木村もそれ以来、俺たちの前から姿を消した。彼の最後の言葉が、今も頭を離れない。

「罠や。これ、俺たちを連れていく罠なんや……」

(了)

[出典:417 名前:あなたのうしろに名無しさんが 投稿日:2001/02/20(火) 20:09]

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