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岩手黒森山の心霊スポット r+3958

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二年前、二十歳のときの話。大学の先輩に誘われて岩手旅行に行った。

参加メンバーは、先輩の鏑木さん、瀬長さん、田勢さん、首藤さん、同期の久間木と俺。東京から車で何度かパーキングエリアに泊まりながら岩手のホテルに泊まった。

先輩の鏑木さんは警察のHPにハッキングしたり高校時代リンチを傍観しながら笑ってたような基地外な人で、サービスエリアから車に戻る際、ダッシュを強要し一番遅れて乗ったやつを車のトランクに入れるように指示していた。

俺は雑談があまり好きじゃなく長旅で疲れていたうえ、わざと遅れてトランクに乗って寝ていた。三日間、そんな感じで車で岩手各地を巡っていたのだが、地元じゃないし正直飽きていた。そこで俺は適当に先輩に「心霊スポット行きましょう!」と提案してみた。

鏑木さんも乗り気だったので鏑木さん、久間木、俺の三人で夜八時くらいに行くことになった。日本一やばいといわれている心霊スポットの慰霊の森ではなく、大ヶ生というところにある黒森山に行くことになった。

黒森山に近づくにつれ雰囲気が変わっていくのが明らかになり、基地外の鏑木さんも「さすがにこれはやべーだろ……」とつぶやいていた。

当時、二月だったため途中道が凍結していて車での侵入が難しくなった。

そこで三人全員降りて徒歩で黒森山を目指すこととなった。

鏑木が「忘れ物をした」と言い出したのは、しばらく進んでからのことだった。俺と久間木はその場で待機することになったんだが、どれだけ待っても彼は戻ってこない。さすがに変だと思って、二人で車のあった場所に戻ってみると、そこに鏑木の姿はなかった。

「やりかねないやつだと思ってたけど……」と内心呆れながらも、つい口に出たのは「鏑木、死ね」という一言だった。本来ならその日中に新幹線で帰る予定だったんだ。翌日のバイトに間に合わせるために。ところがこの調子では、朝方になんとか帰り着いて、疲労困憊のまま仕事に向かう羽目になる。

周囲は真っ暗。見渡す限り山と林ばかりで、近くに民家らしき建物があっても古びていて明かりが灯っていない。耳に届くのは川のせせらぎだけだ。ここから都市部の盛岡までは十数キロ以上も離れているという状況。

俺は久間木に「仕方ない、一緒に徒歩で戻ろう」と提案した。だが、久間木は予想通りというか、ひとクセあるやつで、「いや、こんなおもしろいことはないだろ? ここからは別行動だ。幽霊出るかもしれないしな(笑)」と言い残して、一人で走り去ってしまった。

20年間生きてきて、こんなに恐怖を感じたことはなかった。だが、ここで立ち止まっていても状況は好転しない。遠くに微かに見える民家の光を頼りに、俺は歩き始めた。どれだけ歩いても周囲は山と林ばかり。「ここで殺されて埋められたら、たぶん一生誰にも見つからないだろうな……」なんて、余計なことまで考えてしまった。

そんな時、不意に山の中から「ぎゃあああああ!」という叫び声が響いた。女性の悲鳴のように聞こえたが、俺は必死で「いや、きっと動物の鳴き声だ」と自分に言い聞かせ、なんとか平静を保とうとした。それでも恐怖心は限界に近く、本当に失禁しそうだった。

尿意も限界だったので、近くの林に入って用を足すことにした。しかし、その林もどこか異様だった。風が全く吹いていないのに、俺の周りの草木だけが不自然に揺れている。「動物か?」と身構えたが、周囲には何もいない。急いで用を済ませ、その場を離れようとした。

するとまた、さっきのような叫び声が聞こえてきた。振り返った俺は、そこで目を疑うような光景を目にする。視力が悪くて細かい特徴までは分からなかったが、遠くの山の中に髪の長い女性らしき何かが顔を出し、こちらに向かって叫んでいるのが見えた。

それを見た瞬間、俺の恐怖は臨界点を超えた。誰もいない真っ暗な山道を、人気のありそうな場所を目指して全力で走り抜けた。命からがら逃げ切ったような気持ちだった。

……これが俺の人生で一番の恐怖体験だ。あれが何だったのか、今でも全く分からない。

後日談

後から聞いた話だが、あの日鏑木は車に戻った直後にエンジンがかからず難儀していたらしい。それだけならともかく、誰もいないはずのトランクからゴソゴソと物音がしたという。

一方、久間木も俺と同じく叫び声を耳にしたそうだが、結局びびってスマホでタクシーを呼び、悠々と帰宅したらしい。俺のことを黒森山に置き去りにした鏑木と一緒になって、「あの状況はウケた」と笑い話にしていた。

ちなみに、あの日俺が帰るのを前提にしていたため、宿泊予定だったホテルからは追い出され、翌朝まで盛岡のネットカフェで時間を潰す羽目になった。朝一の新幹線で帰宅し、不眠不休のままバイトに向かった。地獄だったよ(笑)。

唯一の救いは、盛岡に戻る途中で立ち寄った「びって」というレストランだ。ここで食べた料理は、ご飯も味噌汁もおかわり自由で、めちゃくちゃ美味しかった。興味があったらぜひ行ってみてくれ(笑)。

263 :本当にあった怖い名無し:2017/03/20(月) 16:00:18.60 ID:ogX7ZmR80.net

(了)

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1481887428/]

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