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隠れ里伝説 r+4,090
今でも、あの時の湿った空気を思い出す。 鼻の奥にこびりついた、土と苔の匂い。 夏でもないのに、首筋に貼りついたTシャツの感触が、いまだに離れない。 あの日、俺たちは“隠れ里”と呼ばれる山間の集落跡を探 ...
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ヒダル神 #5,000
昔、ゲゲゲの鬼太郎の実写版みたいので見た…… 山を歩いてるとき急に腹が減って、動けなくなることがあって、妖怪の仕業なんだけど、何か少し食べるとすぐ治るのね。 目に見えない餓鬼の仕業だって。 159 : ...
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女人禁制の山 r+4,659
これは、親戚のお姉さんから聞いた話だ。 数年前、彼女は友人のAとBと一緒に「パワースポット巡り」に熱中していた時期があった。観光ガイドに載っている名所はほとんど回り尽くし、次第にネットや口コミで見つけ ...
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おかげ犬(犬のお伊勢参り)r+2,850
【ゆっくり朗読】おかげ犬(犬のお伊勢参り) 知り合いの話。 とある鄙びた峠道を歩いていると、いつの間にか犬が一頭、後をついてくる。 痩せた白い体毛の犬で、首には大きな風呂敷包みを提げている。 彼の方を ...
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ヤマノタミ r+4,975
俺の父方の祖先は、九州の山奥に住む領主の一族だったらしい。 そんな話を父が曽祖父(俺の曽祖父)から聞いたそうだ。曽祖父は子供の頃、ずいぶん厳しい両親に育てられたらしい。田舎の名家では、しつけという名の ...
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森守り r+6,036
俺の田舎は四国の高知県の山奥にある小さな集落だ。 もっとも、そこは祖母の故郷であり、親父の代から家族は関西で暮らしている。親類もほとんど村を離れていて、長らく疎遠な状態だった。俺自身も幼いころに一度行 ...
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奥多摩の白丸ダム r+3,923-4,450
これは、数年前に友人の田端と釣りに出かけたときの話だ。 場所は奥多摩にある白丸ダム。地元の釣り好きが「隠れた名所」と囁く場所で、夜釣りにはもってこいの静けさが広がる場所だった。 暗闇の中、ヘッドランプ ...
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娘が連れて行かれそうになった話 r+5,329-5,857
あらすじ 主人公の男性が、家族で田舎の実家を訪れた際、小学生の娘が犬と共に散歩に出て行方不明になる。捜索後、娘は森の入り口で無事発見されたが、犬は見つからず、娘は「猿に連れて行かれた」と語る。これに実 ...
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雨の岩場に立つもの r+2,971
高校二年の頃、よく友達と埼玉県飯能の岩場に通った。 首都圏から近く、岩質もしっかりしていて、昔から人工登攀の練習場として知られていた場所だ。きっと六〇年代にはすでに開かれていたのだろう。僕たちは当然の ...
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【厳選名作】山祭り r+5,083
久しぶりに休みが取れた。たった二日だけど、携帯で探される事もたぶんないだろう。 ボーナスも出た事だし、母に何か旨いものでも食わせてやろう。 そう思って、京都・貴船の旅館へ電話を掛けてみた。 川床(かわ ...
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初心者の登山 r+4,803
【ゆっくり怪談】初心者の登山【山にまつわる怖い話】 2007年、5月頃。 俺は静岡にある高ドッキョウ(たかどっきょう)という山を登ろうと考えた。 まだ山に登るようになって一年程度で、1,000m以下の ...
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霧に消えたベンツ r+4,169-4,764
今でもあの夜の霧の濃さを思い出すと、胸の奥がざわつく。 夏とはいえ標高が高いせいか、窓を閉めていてもじわじわと湿気が染み込んでくる。ワイパーが絶え間なく曇りを拭っても、視界は白い膜に覆われ、数メートル ...
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犬と父の影が交わる夜に r+4,685-5,129
2025/11/22 -短編, r+, 山にまつわる怖い話, ほんとにあった怖い話
今でも、あの夜の湿った風を思い出すと胸の奥がざわめく。 仕事で通夜に参列した帰り道のことだ。ホテルのプランナーをしていた頃、十月に挙式を控えた新郎の父が亡くなった。長い闘病の末だったという。通夜の席で ...
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杉林の中腹にて r+3,391-3,779
お盆休みを利用して、私は岐阜と長野の県境付近へ車を走らせていた。 山肌を縫うような狭い道は、地図を広げても自分がどの位置にいるのか判然とせず、見知らぬ谷間に迷い込んだ気分になった。湿った杉の香りが車内 ...
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恐山に響く子守唄 r+4,591-4,966
青森県の恐山。この地は「死者と再会できる」という伝承が古くから受け継がれてきた場所である。 恐山は、日本有数の霊場として知られている。江戸時代には、伊勢参りのように「恐山参り」が広く流行し、遠方からの ...
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消えぬ焔 r+3,626-4,000
これは、仲間数人と山中でキャンプをした時の体験談である。 夜も更けて、皆がテントに潜り込み寝静まった後、焚き火のそばで火を見つめていたのは彼一人だった。炎の光が揺らめき、静寂の中で火のはぜる音が微かに ...
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祖父と山神の記憶 r+5,900-6,928
小学生時代に遡る、三十数年前の記憶である。 それは、冬の日に祖父の家を訪れたときの出来事だ。 寒さが訪れる季節になると、その出来事がまるで昨日のことのように鮮明に蘇る。 夏休みや冬休みになると、私は毎 ...
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山道の怪談 n+
2025/11/16 -短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚, 山にまつわる怖い話, n+2025
大学時代の深夜、俺と山根は、夜更けにラーメンを食いに行った帰りだった。 思いつきで隣の市まで行ったせいで、戻りは真夜中をとうに過ぎていた。 街灯の切れた峠道は、昼間と違って肌に貼りつくような匂いを放っ ...
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闇夜に消えたサーチライト r+4,358-4,671
これは、あるバイク好きの男性が体験した、十五年経っても忘れられない奇妙な話だ。 バイクの免許を取ったばかりの若者だった彼は、林道を駆け巡ることに胸を踊らせ、地図を頼りに未踏のルートを探し求めていた。 ...
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庚申原に笑うもの r+5,118-5,541
今でも、春の宵に吹き抜ける風を耳にすると、あの時の声を思い出してしまう。 それはただの風のざわめきなのか、それとも山中を歩き回る何者かの囁きなのか。判別がつかぬまま、私はこの町に生まれ、この町で年を重 ...
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謎の歌声 r+3,229-3,639
2025/11/12 -中編, r+, 山にまつわる怖い話
ネットで有名な怖い話, 中国地方とある夏のキャンプでの話。 1年前、大学の夏休み直前、高校時代からの友人・江崎から電話があった。「久々に集まって何かしようぜ」ってことで、高校時代の仲間4人、俺、江崎、小林、青山で、江崎のアパートに集 ...
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赤犬ヒサル r+2,862-3,266
2025/11/11 -短編, r+, 山にまつわる怖い話
ネットで有名な怖い話この話を耳にしたのは、山深い長野の集落に暮らす知人の口からだった。 彼の声色は冗談めかすことなく、むしろ吐き出すたびに肺の奥から冷たい風が漏れ出すような調子で、私は黙って頷くしかなかった。 彼がまだ小 ...
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顔の抜け落ちた登山者 r+3,504-3,755
2025/11/09 -短編, r+, 山にまつわる怖い話
ネットで有名な怖い話学生時代でも社会人になってからでも、俺には胸を張って言える趣味なんてものがなかった。 あるのは、好奇心に駆られては何かに手を出し、すぐに飽きてやめる、その繰り返しばかり。要するに「続けること」そのもの ...
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フタモノの夏 r+6,644
忘れもしない。小学三年の夏休みのことだった。 盆が近づいたある晩、父が母に「明日連れて行くことにした」と言った。寝る前の居間、父の声は低く、母はため息をひとつついて私の分の着替えを鞄に詰めていた。 「 ...
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晴海の棺 r+7,609
法事で実家に戻ったのは、たしか、去年の夏だったと思う。 久しぶりの帰省だったから、何となく落ち着かなくて、法要が終わった夜、親戚一同が帰ったあと、私は居間で叔父とふたり、ビールを開けた。 酔いがまわっ ...
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山宿の怪 r+6,813
山宿の怪【山にまつわる怖い話・ゆっくり朗読】 祖母の法事があり、先日、十数年ぶりに故郷の山奥の町に帰ってみました。 法事の後宴会があり、そこで遠縁の爺さんに面白い話を聞いたので書いてみます。 爺さんは ...
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白帽の後ろ影 r+10,449
先週のことだ。あれが何だったのか、ようやく少し冷静に考えられるようになったので、書いてみる。 登山、というほど大げさなものじゃないが、ウルトラライトの装備で山道を歩くのが最近の趣味になっていた。地元の ...
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井戸の目 r+10,813
オフロードバイクに乗るようになってから、ひとりで遠くへ行くのが癖になっていた。 泥と埃まみれになる林道、誰も通らない尾根道、そういう「地図にない道」を走ることで、自分の輪郭がはっきりするような気がする ...
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山岳救助隊 r+7,650
十一月の終わり、山が雪と氷に封じられる直前の、あの独特の静けさが好きだった。 空気が肌を裂くように冷たく、吐く息の音さえも雪に吸われてしまうような、そんな感覚が。 おれの名は伏せておこう。ただ、おれに ...
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おちるよぉ…… r+7,338
俺の祖父が体験した話だ。 もう三〇年近く前、九〇年代の終わり頃のことらしい。祖父は今でも九州の片田舎に住んでいて、家の周りには茶畑と、ひなびた温泉宿くらいしかない。冬になると山の霧が濃く、野良犬の鳴き ...
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山の怪(やまのけ)・ヨウコウ r+8,463
福井の山奥に、もう地図にも載らない村がある。 オレの母方の実家は、そこからさらに山を登った先の外れにあって、冬なんかは雪に埋もれて人が来るのも困難な場所だった。 小学校の夏休みになると、必ずそこに預け ...
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アガリビト #49,493
山は怖い。何が怖いって幽霊とか動物とか天候とか色々あるけど、一番怖いのは人間。 お前ら山とかいって開放的になるだろ?すがすがしいな~ってなるだろ? あれは一種のボーダーラインを越えそうになってるから。 ...
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二つ枕の儀 r+6,927
地元は山の奥にある集落だった。 舗装の剥げた一車線の山道を登った先にある、小さな盆地のような場所で、いまではもう、墓石と崩れかけた蔵が残るだけだ。 中学を出てすぐ県外の高校に進学し、そのまま地元から離 ...
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ジンカン~人間をついばむカラスはすぐ殺せ《ホラーテラーさん》#18k
「人間をついばむカラスはすぐ殺せ」 「でも、そんなカラス見たことないよ。カラスは、人間が近づくと逃げて行くよ?」 「見たことがないなら、いい。だけど、見つけたらすぐ殺せ」 「……なんで?」 「……」 ...
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婿神 r+13,707
話しても、たぶん誰も信じてくれないと思う。だから、話半分で読んでくれたらいい。 二年前の秋口、臨時職員として配属された町の役場で、俺の時間は止まったように感じていた。周囲は自分より一〇歳以上年上ばかり ...
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呻く首 r+9,882
今から十年前。世間がマツケンサンバのヒットで浮かれてた時代、チョっと危ない系のアルバイトをした時の話。 64 :本当にあった怖い名無し:2014/06/27(金) 01:12:32.89 ID:YZI ...
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黄泉戸喫(ヨモツヘグリ)#10,779
【ゆっくり怪談】黄泉戸喫(ヨモツヘグリ) 昨日、裏高尾まで紅葉を見につうか、軽いハイキング気分で出かけてきたんだが、そこの山道で、キノコ取りに来ているおっさんと出会ったんですよ。 2008/10/14 ...
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【18禁!!!閲覧注意】山の女 #7,591
【ゆっくり怪談:18禁】山の女【山にまつわる怖い話】 高校の頃の話。 俺の実家はスッゲー山奥で、麓の高校まで通うには片道四里(約16Km)以上の山道をチャリで下って行かなきゃならない。 当然、帰りは四 ...
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松ヶ山 r+6975
2025/06/20 -短編, r+, 山にまつわる怖い話, 洒落にならない怖い話, 定番・名作怖い話
★人気ベスト300, ネットで有名な怖い話父の三周忌も過ぎたところだ。この機会に、父と山の話を書き残しておきたいと思う。すべて実際にあった出来事だ。 父が精密機械の会社を退職して2年が経ったころだった。退職金がかなり出て、年金もある。これから ...
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アベック登山者 r+7,038
これは、自分の山仲間が体験したという話だ。 舞台は北海道の大雪山。季節は厳冬。彼は単独で登っていた。朝から天気は上々、登山には理想的な日和だったらしい。が、そこは冬山の気まぐれというやつだ。数時間もし ...
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【語り継がれる山の怖い話】シシノケ #22,228
【ゆっくり怪談】シシノケ【語り継がれる山の怖い話】 先日愛犬と一緒に地元の山にキャンプに行ったんだけど、そこで変なものを見たんだ。 文才ないしこうやってスレ立てるのもはじめてだけど、長くなるかもしれな ...
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祀の穴 r+11,075
長野の山間部に残るある儀式について、民俗学者の先生から聞いた話だ。 場所はあえて伏せるが、県境に近い盆地の奥にある小さな集落で、冬には雪が二メートルも積もるようなところだという。地図には名前だけが載っ ...
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結界を破った結果…… r+6425
南関東の、木々が深く生い茂る山々に抱かれた、まるで時が止まったかのような小さな集落。 村と呼ぶのがふさわしい、そんな静けさが支配する場所で、私たちは奇妙な仕事を引き受けることになった。山中に納屋を建設 ...
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山奥の恐怖 r+7,744
長野県に住む野田さん(仮名)から聞いた話。 その年の初夏、梅雨明け直後の晴れ間を狙って、旧友の森下と渓流釣りに出かけたという。目的地は某県北部の奥深い源流地帯で、一般的な登山道もなく、野営を伴う本格的 ...
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川はすべてを映すとは限らない」 ──見えない“何か”が、そこにいる。r+6,618
これは、俺自身の体験じゃない。けど、ふと思い出したから書き留めておく。 話の主は友人だ。 当時、俺も近くにはいたけれど、現場には居合わせてない。ただ、後から話を聞いただけの傍観者だ。 学生時代、暇さえ ...
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大雪山SOS遭難事件 #12,538
【ゆっくり怪談】大雪山SOS遭難事件【山にまつわる怖い話】 平成元年7月24日午後 北海道大雪山系の黒岳(標高1984メートル)から旭岳(標高2290メートル)へ縦走中の2人の登山者が行方不明になった ...
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三毛別羆事件~史上最大の獣害事件:人喰い巨大ヒグマの恐怖! #14,864
三毛別羆事件~史上最大の獣害事件:人喰い巨大ヒグマの恐怖!【ゆっくり朗読】 三毛別羆事件~史上最大の獣害事件 【史上最大の獣害事件】三毛別羆事件 三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)とは、1915年 ...
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過疎の村 r+7,746
うちのかみさんが昔、旅行代理店でバスの添乗員の仕事をやっていたときの話。 徳島県の山奥、木屋平村。かつて妻が旅行代理店で添乗員をしていた頃、会社の慰安旅行でその村へ行ったという。 村には店らしい店もな ...
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福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件 #10,010
【ゆっくり朗読】福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ襲撃事件 【獣害】福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件 1970年(昭和45年)7月に北海道日高郡静内町(現・新ひだか町静内高見)の日高山脈のカムイエクウ ...
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某宗教団体 r+7,503
これは、知人が小学生の頃に体験した話。 彼が通っていた塾では、毎年夏になると八ヶ岳の別荘地で合宿が行われていた。とはいえ、ただ勉強をするのではなく、自然を学び、体験することが目的のものだった。小学校六 ...