オヤジから聞いた話。
583:本当にあった怖い名無し:2008/06/14(土) 13:12:20 ID:IYU3TMnUO
オヤジが子供の頃住んでた家に、開かずの土蔵が在ったらしい。
なんでも、土蔵の中には誰の物だか判らない首塚があり、中に入ると首を斬られて死ぬ、なんて言い伝えが残ってたそうだ。
当時オヤジは、その言い伝えを全く信じて無かったそうだ。
「ホントかよ?」
「誰に首斬られんだよ?」
「土蔵に武士でも住んでんのか?」
などと完全に馬鹿にしていたらしい。
そんなオヤジが十歳の時、学校で肝試しが流行った事があったそうだ。
学校では、
「昨日の晩は、何処の墓場に行き幽霊を見た」
「何処のトンネルで、おかしな声を聞いた」
そんな話しばかり。
肝試しから帰ってきた奴等は、ヒーローとして皆から崇められていたそうだ。
オヤジも幾つかに参加し、それなりに楽しんでいたのだが、狭い田舎の肝試しスポットなど限りがある。
次第にネタ切れ状態になったらしい。
そんな時にオヤジは、自宅に在るじゃん!と、開かずの土蔵を思い出したそうだ。
早速学校でオドロオドロしい言い伝えを友達に言い振らし、パーティーを集めたそうだ。
決行日……
オヤジと仲間達は深夜二時過ぎに、それぞれ担当の道具を装備して、開かずの土蔵に集まったそうだ。
灯り担当、閂破壊用の大工道具担当、塩や酒担当など。
変わった物だと、パーティーに神主の息子が居て、そいつが持ってきたのはいろんな御札セット。
交通安全とか豊作祈願も混ざってたらしい(笑)
とにかく、当時のオヤジ達に出来る最高の装備で臨んだそうだ。
そしていよいよ閂をノコギリで切断して、土蔵の扉を少し開け中の様子を伺う。
真っ暗で何も見えなかったそうだ。
そこでオヤジの家で飼ってた鶏(オヤジの装備品だったらしい)を土蔵の中に投入し、様子を見ていると……
「ケッー!コケッ!ゲキョッ!!」
シーン……
突然、鶏が騒ぎ、断末魔の叫びを残して静かになった!
オヤジと仲間達はそりゃあもうパニクったらしい。
神主の息子があわてて御札乱舞を繰り出し、閂の切れ端を皆で扉にハメてオヤジの家に逃げ込み、大騒ぎしながら全員で塩を浴びたそうだ。
そこで、オヤジのオヤジ(つまり俺のじいちゃんだ)に見つかり終了。
オヤジと仲間達は怒られるのを覚悟して、じいちゃんに事情を話しそうだ。
予想通りじいちゃん大激怒!全員布団叩きで尻をひっぱたかれたそうだ。
腫れがひくまで痛くて椅子に座れなかったらしい。
次の日の朝、じいちゃんとオヤジは土蔵に行き、中を覗いて見たそうだ。
中には大きな石碑の様な物と、首の無くなった鶏が……
オヤジはそれを見て、恐ろしさと鶏に申し訳無い事をした自責の念で、その場で泣き崩れたそうだ。
その後、土蔵は厳重に封印されて誰も入らぬまま、現在は新幹線の線路に……
もし今も残っていたら、俺はやっただろうか?
オヤジの話しを聞いていなければやったかもなぁ。
……ちなみに、じいちゃんも子供の時にやって怖い目にあったそうだ。
(了)