短編 家系にまつわる怖い話

ミヤウチ様【ゆっくり朗読】3500

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別に怖くもないんだが不思議だった話。

488 本当にあった怖い名無し2009/06/08(月) 05:23:34 ID:d0Md1CfE0

うちの家では神様を祭ってあるんだが(別に神社とかではない)
そこはちょっとした神棚じゃなくて、8畳の部屋をでかでかと占領する祭壇?なんだ。

小振りな米俵を積んだり、縄張ったり、酒瓶が並んでいたり、なぜかビールとかスナック菓子とか塩が袋ごと置いてあったりする。

なんでもどこかの神社から分けてもらった(神様分けてもらうってどーよ)格の高い神様らしく、うちでは「ミヤウチ様」って呼んでる。

で、むかし小さかった頃、そのミヤウチ様に供えているお菓子を俺は食べちまったんだ。
子供のすることなんで、隠ぺい工作とか高度なことはできず、お菓子の袋をテレビの後ろに隠していたらそっこーでばれた。

当然オヤジがブチ切れて、かなり長時間こっぴどく怒られた。

それで最後にミヤウチ様に謝ってこいということになり、俺は泣きながら離れに向かった。

ミヤウチ様が祭ってあるのは昔の母屋で、現在住んでいる住居と渡り廊下で繋がっている。

旧母屋は16畳の和室で、襖で8畳ずつに区切られるような作りになっている。

ミヤウチ様の祭壇があるのは、入って襖に仕切られた奥の8畳だ。

俺はミヤウチ様に謝ろうと、いつものように襖を開けた。すると、開けた先に何故かでっかいひげ面のおっさんの顔があった。

あまりのことに俺が固まっていると、そのおっさんはジッとおれの眼を見て、一言だけ

「泣くな」って言った。

声は結構若い感じだったように思う。

まあ当然、俺はさらに泣いて両親のもとに逃げ帰った。

話を聞いたじーちゃんは「ミヤウチ様見たのか」と嬉しそうだったが、当時の俺はビビりまくってほとんどそこには近づかなくなった。

別に祟ったりしたわけではないので、いま思い出すと、怖がりすぎて悪いことをしたように思う。

補足すると、ミヤウチ様には正式名称があるはずです。

が、俺は忘れましたw
なんか難しい漢字が並んでいる感じの名前でした。

昔、一番詳しいであろうじーちゃんに来歴を聞いたのですが、「貰ってきた。貰ってきた」としか言わないので(ジジイ…)、叔父さんに詳しい話を聞いた覚えがあります。

なんでも、曾々祖父がどこかの神社(天神系列?)の建て替えに多額のお金を出したらしく、その折に、うちでも祭るようになったとか(さすが長男)。

曾祖母の葬式の時にそこの神主の方が来て、叔父はその時に話を聞いたそうです。

祭るにあたり、格式ばった儀式のようなものはしません。精々正月に餅を供えるぐらいです。

ですが毎食、膳は1つ多めに用意してお供えしています(カレーなどを祭壇の前に置くと素晴らしくシュールですが)
うちを継ぐのは従兄(32歳毒男)なのですが、すでに「俺はミヤウチ様の嫁になる」とか言ってます。

我が家でミヤウチ様を見たのは曾祖母(故人)と俺だけです。

曾祖母のほうは少し怖い話になります。

あとはじーちゃんが明け方に地鳴りのような足音を聞いたことがあるらしく、以来、ミヤウチ様は夜中に散歩していると信じて疑いません。

そのため、家の門はいつも開けてあります。

あと少し前に、自分と同じサイズのスニーカーをお供えしてました(ほんと残念だ)
まあ、家族のだれもが認める我が家の家長みたいなもんなんで、これからも大事に祭っていきたいと思います。

曾祖母の話がリクエストにあるので知っている限り書いてみます。

ちなみに曾祖母は俺が生まれた時には故人だったので、完全な又聞きになります。

聞く親戚によって要領を得ない部分があったりするので、ちょっと大まかな話になるかもしれません。

あと、跡継ぎに関してですが、従兄が継ぐのは確定です。長男の長男ですから。

もし子供が出来なければ俺の子(いませんが)か、それとも妹の子供(こちらもいません)が養子として?継ぐことにはなるかもしれません。

まあ、もともとその辺は肩書きだけで、だれも重要視してませんが。

べつに宮司の家系だったりしないので、ミヤウチ様を見たことはあまり関係ないかと。

付け足すと、俺には幽霊などを見る力はありません。

虫の知らせや金縛りすら経験したことは皆無です。

いわゆる心霊スポットに行っても、どーということは起こりませんでした。

ミヤウチ様を見たのが唯一の不思議体験ですね。

ミヤウチ様の顔についてはあまりにも大きな目の印象が強すぎて、全体像はぼんやりとしか覚えていません。

髪は生えていましたが、具体的な髪型まではわかりませんし(ロン毛ではない)、鼻などの形も曖昧です。

ただ、そこそこ長い髭は生えてました。口のイメージがないのはそのためかも。

パニック状態で長時間見たわけではなく、しかも小さいころの記憶なので○○に似てるとすら言えなくて申し訳ないです。

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では以下に曾祖母の話を書きます。

主観として書けないので、悪文だったならご容赦を。

曾祖母は恋愛の末にうちの家に嫁いできました。

それは当時としては中々珍しかったらしく、また、我が家は地元では有名な家柄だったそうで、誰もがうらやむような結婚だったとか。

家の人間も曾祖母の人柄が気に入り(とても穏やかな人だったらしい)、大きな問題もなく輿入れとその後の結婚生活が続いたそうです。

しかし、結婚して1、2年ほどが経ったある日、曾祖母の様子がおかしくなりました。

暴れたり奇声を発するようなことはなかったのですが、いきなり倒れるようになり、食事をしているのに体重が激減し、夜な夜な外を徘徊して、しかも本人はそのことを覚えていなかったそうです。

さすがにこれは尋常じゃないということになり、いわゆる霊能力者?に見てもらうことになりました。

ここから話が一貫しなくなるのですが、依頼した相手は、

・件の神社の神主さん(多分これが本命)
・曾々祖父の知り合いの拝み屋さん
・お寺の人

と安定しません。その診断結果も同じで、

・昔先祖が迷惑をかけた相手に憑かれた。
・犬神憑きの家に妬まれた。
・狐に憑かれた。
・山の神様に気に入られた。

とバラバラの状態です。

ただ、曾祖母の様子がおかしくなって、誰かに見てもらったのは本当だと思います。

ちなみに、俺の実家は日本有数の過疎県にあるんですが、犬神家系というのは結構あります。

一種の差別用語なのかもしれませんね。

そんなわけでお祓いを受けたのですが、様子は一向によくなりません。

そこで藁にもすがる思いで、当時はまだ神棚に祭っていたミヤウチ様の部屋に、曾祖母を寝かすようにしたそうです。

それから何日かした深夜、曾祖母は物凄い悪臭で深夜に目を覚ましたそうです。

いったい何事かと体を起こし、隣で寝ていた曾祖父を起こそうとしたのですが起きません。

どうしようかと考えていると、中庭でなにかがうろついているのが見えたそうです(夏か何かで襖を開けていたのでしょう)
それは猿のような奴で時々四つん這いになりながら、庭の中心にある岩の周りを歩いていたそうです。

鈍い曾祖母も今までの経緯もあってようやく状況が分かったらしく、震えながら息を殺していました。

そいつはしばらく、同じようなリズムで一定方向に岩の周りを回っていたのですが、突然岩の後ろに隠れたところから出てこなくなりました。

そして、少ししてから入ったほうから出て、つまり逆向きに歩き出すと、まっすぐに曾祖母の方に歩いてきたそうです。

曾祖母は、必死に曾祖父を起こそうとしたそうですがやっぱり起きません。

そのうちにそいつは軒下近くまで近づいてきました。

もう駄目だと思ったとき、屋根の上?から大きな手が伸びてきて(物凄い毛むくじゃらだったらしい)
そいつをキュッと掴むと、あっという間に引っ込んでしまったそうです。

それっきりそいつは居なくなり、曾祖母は恐怖から気絶してしまいました。

次の日の朝

曾祖母の目が覚めると、かなり無茶な体勢で意識を失ったのにもかかわらず、きちんと布団に入った状態になっており、代わりにミヤウチ様の神棚はむちゃくちゃになっていたそうです。

曾祖父と曾々祖父はミヤウチ様が守ってくれたんだと言い、それ以来、曾祖母の体調も元に戻りました。

それからミヤウチ様の祭壇は巨大なものに変わったそうです。

曾祖母は生前はよくこの話をしていたそうで、「あの時、本当に○○(我が家)の人間として認めてもらったんだ」としきりに口にしてたとか。

以上です。

まあ、俺を怖がらせようと脚色されていた部分もあったと思うので、出来るだけ聞いた話の中から共通する部分で組み立てました。

色々と凄いことになっている話もあるのですが、それはさすがにウソでしょう(笑)

(了)

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