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中編 r+ 集落・田舎の怖い話

祟りの夜:守り神との遭遇 r+5080

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祖父の家は山奥の田舎に位置しており、私は幼少期によく訪れていた。

祖父は広大な土地を所有し、それを農地として貸し出したり観光用に整備したりして生計を立てていた。祖父と祖母は静かに暮らしていたが、時折地元の暴力団と軋轢があった。

私と二歳下の弟は、毎年夏休みに祖父の家に泊まりに行くのが恒例だった。私たちはまだ幼く、悪戯が過ぎることも多かったが、祖父母は私たちを特別に可愛がってくれた。

その年も祖父の家を訪れたが、裏手には広い畑と森があり、その森の中には池があった。弟は幼少期に祖父から釣りを教わり、特に鯉を釣ることが大好きで、釣った鯉を池に放すのが楽しみだった。しかし、不思議なことに池が鯉でいっぱいになることはなかった。

ある日、私たちは「森の池で釣りをしよう」と決めた。祖父から「裏の池には一人で行くな」と言われていたので、弟について行った。私たちの家系は無益な殺生を戒めていたが、その日は私が「鯉に洗剤をかけたらどうなるか」と提案し、弟も同意してしまった。その結果、鯉は死んでしまったが、私たちは「猫が食べるだろう」とそのまま放置した。

そのとき、弟が「猫が鯉を食べるところを見たい」と言い、私たちは茂みに隠れて観察することにした。しばらくして森の奥の大きな木が揺れ、何かが木から降りてきた。それは猫にしては大きく、異様に毛深かった。その生物は池に向かい、低い声で「もの……もの……」とつぶやいていた。

その姿を見たとき、私たちは恐怖で震えた。それは赤ん坊のような顔をしており、「いきるもの……そだてるもの……かりとるもの……」と繰り返し、鯉を見て「これで……できる」と笑って森へ消えていった。

私たちは恐怖で動けなかったが、なんとか家に戻った。夕食時に弟が「ねえ兄ちゃん、あの猿……」と言いかけた瞬間、祖父の顔色が変わり、私たちは昼間の出来事を話した。祖父は心配そうに「本当に大丈夫か?」と何度も確認した。

その後、祖父はどこかに電話をかけ、私たちは祖母に酒を浴びせられ塩をまかれた。そして祖父は「もうこの家には来るな」と告げた。祖父は「昔、この土地の先祖が神に生け贄を捧げ、末代の祟りと引き換えに富を得た」と説明した。そのため、我が家では殺生が禁じられており、神を怒らせた場合には犠牲が必要だという。

その夜、私たちは仏間で過ごすことになり、「夜中に何があっても襖を開けるな」と言われた。その夜、窓を叩く音とともに「……あけてください」という声が聞こえたが、恐怖で動けなかった。

朝になり、祖父と祖母が来て、私たちは無事に家に帰ることができた。それ以来、二度と祖父の家を訪れることはなかった。

月日は流れ、私が高校一年生のとき祖父が亡くなった。死因については教えられず、母にあの「獣」について尋ねても答えてはもらえなかった。

今では、あの日の軽率な行動を深く後悔している。もしあのとき無意味な実験をしなければ、祖父母ともっと多くの時間を過ごせたかもしれない。

[出典:270: 2009/07/07(火) 00:27:42 ID:MDJEHio50]

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