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喜界島廃病院 r+11,421

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鹿児島県の奄美大島の横にある喜界島出身の先輩から聞いた話です。

先輩の実家の近くに、廃病院があるらしい。

建物自体はさほど大きくなく、かつては普通の個人病院だったという。何故廃業になったのか、先輩も詳しくは知らなかったが、地元では小さな心霊スポットとして知られていた。ただ、そこで何か特別な心霊現象が起こるわけではなく、「不可解な写真が撮れる」という噂だけが残っていた。

先輩は友人たちと興味本位でその病院へ足を運んだ。夜でもなく、特に不気味な空気が漂っているわけでもない。ただの古びた建物だった。立ち入りは禁止されており、外から眺めるしかできなかった。

何も起こらない。ただの廃病院。

「つまんないな」

誰かがそう言い出し、せっかくだから記念写真でも撮ろうという話になった。お互いを撮り合い、病院を背景に何枚かシャッターを切った。そして、何事もなく帰宅した。

数日後、撮影したフィルムを現像に出した。ところが、廃病院で撮った写真だけが全て「真っ白」になっていた。他の写真は何の問題もなく写っているのに、そこだけがまるで光に焼かれたかのように白い。不可解に思った先輩たちは、その白い写真をよく観察した。

「これ……真っ白じゃないな」

よく見ると、薄くぼやけた何かが写っている。ただの光の反射ではない。細かい影のようなものがあり、よく見るとそれは……文字だった。

「字……じゃないかこれ……?」

ピントが合わないせいか、読みにくい。だが、写真全体に大きく文字が浮かんでいるようだった。

すると、一人がぽつりとつぶやいた。

「あの病院って、首黒病院(仮名)だよね?」

「うん……」

「この字……首黒って書いてない?」

「……そうかも……ってことは……え?」

全員が息をのむ。

写真に写り込んでいたのは、白衣の影。そして、ぼやけた文字は――死んだ院長のネームプレート。

白い写真の正体。それは、ピントが合わないほど至近距離に院長が立っていたことを意味していた。

「……霊ってこと?」

誰も答えなかった。

後日、先輩は「あの写真、いつか見せてあげるよ」と言っていたが、未だに見せてもらっていない。

それが、見せられないものだからなのか、見せたくないものだからなのか……

(了)

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