短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

消えた赤い車輌の謎

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通学中に、駅で真っ赤な車輌をたまに見ることがあった。どんなに混雑しているラッシュ時でも、その車輌には誰も乗らず、乗客がいるのを見たことがない。最初は特急か何かだと思っていたけれど、行き先表示器には何も表示されていなかった。怖いというほどではないが、少しだけ気味が悪いなと思っていた。

そんなある日、寝坊して急いでいたせいか、うっかりその車輌に乗ってしまったことがある。すると、周囲の乗客や駅員が一斉に大声で「降りろ!降りろ!降りろ!」と叫びはじめた。何が起きたのか理解できず、驚いて急いで降りたが、その瞬間、叫び声はピタリと止んだ。駅員たちも、もう私を見てはいなかった。

2秒ほど経った後、背後で風を感じた。電車がホームに入ってきたのだ。それなら、今さっき乗った赤い車輌は一体どこに行ったのだろう…?未だに不思議な話だ。

ちなみにこれは実家に帰省した時、Y駅での体験だ。

その日以来、あの赤い車輌を目撃するたびに、心の中に奇妙な不安が広がる。もしかしたら、あの車輌には何か知られてはいけない秘密があるのかもしれない。あるいは、あの車輌は存在しないはずの列車、幽霊列車なのかもしれない。

いろいろと調べてみたが、赤い車輌についての情報はどこにも見つからなかった。駅の職員に聞いても、そんな列車は見たことがないと言われるばかりだった。いったい、あの日の出来事は何だったのだろうか?誰にも説明できない、謎のままの出来事だ。

自分なりに考えを巡らせた結果、ひとつの仮説にたどり着いた。あの赤い車輌は、この世のものではなく、異界からの訪問者だったのかもしれない。何かの拍子に、我々の世界と重なり合う時があるのだろう。私が誤って乗り込んだその瞬間も、異界と現世が交錯した一瞬だったのだろうか。

とはいえ、真相は闇の中だ。この話を聞いた友人は笑って信じてくれなかったが、私自身が経験したことなので、確かな記憶として残っている。ただ一つ言えるのは、次にあの赤い車輌を見かけた時は、絶対に乗らないようにするつもりだ。自分の身を守るためにも、異界との接触は避けるべきだと感じている。

それにしても、不思議な話だ。あなたももし、赤い車輌を見かけたら、くれぐれも乗らないように気をつけてほしい。何が起こるかわからないからね。

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