短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

時空のおっさん1989【ゆっくり朗読】6000

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二十年近く前の話になります。当時、私は小学四年生でした。

228 :本当にあった怖い名無し :2009/04/25(土) 00:26:33 ID:e3Tq9gQp0

近所にすり鉢状の滑り台がある公園があり、とても変っているので小学生には大人気だった。

学校終わってすぐ行かないと取り合いや順番待ち、横暴なジャイアン的上級生の圧政など、面倒なことが増えるので、その日も学校が終わったら親友の大地郎君とその公園で会う約束をして走って帰りました。

家に帰るとランドセルを放り投げ、自転車に乗り猛烈に漕ぎました。

最初は何も考えてなかったのですが、何か変だと思い停まったのです。

するとさっき渡ったはずの信号が遠くの方にみえました。

と、いうより今自分が停まってる所はさっき通った所なんです。

どこから同じ道だったのかわかりません。

ただ、その公園へは毎日のように行ってたので、道を間違えるはずもなく、景色も覚えています。

なのに、「はい、今からさっき通ったとこ」という瞬間がわかりませんでした。

いつのまにか同じ道だったのです。

そして、おかしいのが、全く人気がないのです。

何の変哲もない住宅街ですが、いつもなら立ち話する主婦、道路で遊ぶ子供、大きい道に抜ける車、なにかしら人の動きがある道です。

それが全くない。

家の中は見えませんが、家自体に人の気配がないのは子供ながらに感じました。

騒音も全くありませんでした。

とにかく数百メートル先の信号まで行くことにしました。

でも、漕いでも漕いでも何故か近づけないのです。

はっきりとは見えませんが、信号がだいぶ先に固定されていて、信号のちょっと手前の風景だけが流れている感覚。

どんだけ漕いでも着かないので遂に疲れ果て、漕ぐのを止めました。

そしてだんだん心細くなって泣き出したのです。

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わんわん泣いていると先の角から、年の頃四〇ぐらいのおっちゃんが歩いてきたのです。

今思うと携帯電話で話しながら歩いてきました。

当時は携帯電話はなくトランシーバーだと思った。

そして泣いてる私を見つけると「いた、いたわ」と言いながら近づいてきて

「よしよし、怖かったな、お家に帰ろうな」と言い、頭をなでられた瞬間、後ろから車が、いつの間にか騒音もいつも通りに。

なんかよくわからん内に何もかも元に戻ってました。

その後、なんかよくわからなくなったけど、とにかく公園へいくと大地郎君はまだいない。

十分ぐらい経って大地郎君が来ると「お前早いなー」と言われ「いつ着いた?」と聞かれ「十分ぐらい前」と言うと「嘘つくな!俺めっちゃ飛ばして来たって、十分前ってまだ学校帰りやんけ」と言われたのです。

そう、公園の時計を見ると学校を出た時間から考えて十五分しか経ってないことになってたんです。

学校→家→公園は最低でも二十分かかるコース。

もう、何がなんやらわけわからんくなってまた泣き出して大地郎君は自分のせいで私が泣いたと思いオロオロ。

とりあえず全てを説明して二人で「なんやろなー」と言ってました。

あれは一体何が起こったのでしょうか……

 

追申

すみません、書き忘れてました。

おっさんはもういなかったです。

身長はそんな高くなく、細いけどガッチリした感じで作業服でした。

電柱に登って工事してる人かな?って思ったのを覚えてます。

(了)

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