短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

神様をよぶ石【ゆっくり朗読】

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石じじいの話です。

567 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/08/17(水) 14:54:38.21 ID:RiEdFfmP0.net

以前、「話しかけてくる石」の話を紹介しましたが、それに似た話です。
朝鮮での話です。
ある朝鮮人の知り合いの家に行くと、みたこともない石が奥の間(「男性の部屋」)に絹織物を敷かれて鎮座していたそうです。
全体に淡青色で真っ黒な筋模様が入った石でした。
これは何か?と尋ねると、その朝鮮人主人は「これはね、神様をよぶ石だよ。たいじなものだよ」と答えました。
どうやってよぶのか?と再び尋ねたら、
五日ほど後にその神様を下ろす儀式をするので、途中まで見せてやるから家に来い、と言います。

じじいは酒を持って家を訪れると、主人は真っ赤な着物を着用していました。
数日前から肉類を食べるのをやめて身体を清めており、
(当時は、朝鮮ではそれほど肉を食べなかったそうで、プルコギなどもなかったそうです)
心も平安に落ち着いていて、もってきた酒も飲むことを丁重に断ったそうです。
奥の間の中央部にその石が置かれていて、四隅に灯明が立てられていました。
それは、「バター」を使ったものだったそうです。
普通のろうそくの明かりは赤黄色っぽいのですが、バターの明かりは白色に輝いていました。
主人は石の前に座っていましたが、座っているその側には、石の前にどんぐりとおそらくリスと思われる小動物の死体が「供えて」あったそうです。
じじいはちょっと引きましたが、主人は以下のように説明したそうです。
これから、この石の前に座って祈るのだ。それは三日三晩不眠不休で行う。その間、飲食をしてはならない。
それが満願となったとき(三日目の明け方時)に「神様」が目の前に現れて、希望をなんでもかなえてくださる。
この方法は成功することがほとんどない難しいものだ。
まず、この石はそう多くないし(しかし朝鮮や中国にはいくつかある、という口ぶりだったそうです)、
三日間も飲まず食わずで居眠りもしないで祈り続ける、ということできないからだそうです。
その日はその家でご飯をご馳走になって、じじいは帰りました。

三日目の朝に、じじいはわくわくしながらその家を訪れました。

そこはえらいことになっていたそうです。家人が皆けがをしており、家が荒らされていました。
どうした?と尋ねると、三日目の朝に心配していたので奥の間に行ってみると、主人は床に突っ伏していたとのこと。
「ああ、途中で眠ってしまったのだな」と思って主人を起こすと、彼は青い顔をして急に暴れ出したそうです。
それでこのていたらくだと。
じじいが身構えて行くと、主人は奥の間に座り込んでいましたが、襲いかかってはいませんでした。
しかし、敵意のある目つきでじじいを睨んだそうです。人が変わったようでした。
それからその主人は、家人に対しても、近所の人々に対しても(だれにでも)残酷に、狡猾に悪意をもって接し始めたそうです。
それで人々は恐れて、その家を敬遠するようになり邑で孤立しました。
そしてある日、主人は家を出て行って行方不明になってしまったそうです。
死んだという話は聞かれなかったので、どこか別のところで住み着いたのだろう、ということでした。

じじいはほうじ茶を飲みながら、落雁をもらって食っていた私に言いました。
「そうよ、神様はほんとうに降りてきなさったんかもしれない。しかしのう。
その神さんは、悪い神やったんやねぇ。
降りてきたんやが、あの朝鮮人の目の前やのうて、あの人の心のなかに現れたんや。こわいのう」

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