短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

本当の墓【ゆっくり朗読】

投稿日:

Sponsord Link

石じじいの話です。

572 :本当にあった怖い名無し:2019/04/20(土) 23:45:19.09 ID:U2a37Ebm0.net

これもじじいが山の中で見つけたものですが、山の上にまとまった墓地があったそうです。
まわりの集落からはかなり離れた場所だったので、そのような場所に墓をつくる(しかも集団の)理由が理解できなかったと。
しかも、その墓地への道が通っていない。獣道のようなものも見当たりませんでした。
比較的新しい墓石もあり、お供え物もあったのですが、その墓石は小さく簡素なものだったそうです。
まあ、大きなものは、こんな山の上まで運び上げられないでしょう。
山からおりて村の人に尋ねたところ、それは「村の本当の墓」だったそうです。
「本当の墓?」
その村には、かなり立派な墓があちこちにありましたから、別の墓を建てることの意味がない。
しかし、村の人がいうに、
この村にある墓は、単に「故人をいのるための墓」だ。そこにお骨は入っていない。
お骨は、山の上にあったあの墓におさめてあるのだ。
ここいらでは、死んだ人間が墓の中から出てきて、自分の家に帰ってくるのだ。
昔の土葬の時代はもちろん、火葬になってからも戻ってくる。
そこで、墓を遠くの山に作って、そこへの道なども作らず、人の通った跡も残さず、死人が帰ってこないようにするのだ。
「あんた(じじい)が、死人に道を教えとらんかったらええんやがのう」とも。
「心配やけん、これからお寺に行って、村の入り口で拝んでもらわんといけない」
と行って、その人は途中の寺までじじいと同行したそうです。

じじいによると、これとは別に、死人を呼ぶ村もあったそうです。
その話は、また別の機会に。

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 奇妙な話・不思議な話・怪異譚
-

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.