短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

海からあがってくる巨大なナニか…

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小さい頃、祖父に聞いた話で不思議なのがいくつかある。

824:本当にあった怖い名無し :2009/10/24(土)12:04:43ID:AwFSaYW60

今は亡くなってるから記憶を頼りに書く。

祖父は若い頃、北海道のトンネル掘りの出稼ぎに行っていた。

トンネルは半分くらい出来上がっていて、中では掘る作業が進められていた。

祖父はかつぎ棒を使って土を外に運ぶ係。

ふと入口の方を見ると兵隊の時の中尉が立っている。

「幸さん、幸さん、ちょっと一服しませんか」

そう祖父の名前を呼びながらタバコを差し出した。

九州にいるはずの中尉が当時の格好のまま立っている。

不思議だと考えるヒマもなく、当時のくせで

「はい。分かりました」と大きく返事をして駆け出した。

その直後、メキメキと入口を支えていた柱が鳴り、上から土や石が落ちてきてトンネルが塞がってしまった。

犠牲者がたくさんでた大事故だったらしい。

それ以来トンネル掘りはやめたと言っていた。

またまた祖父の話を思い出した。

大型漁船に乗っていた時の話。

千葉から出港するサンマ漁船だったか、北洋で鮭をとる船だったか忘れてしまった。

一度出港したら三か月は海の上。

獲れた魚は母船と呼ばれる大きな船へ運び、そこから食料を定期的に補給していた。

船には料理人や彫り師が乗っていたり、麻雀や花札をしていたらしいから、ささやかな娯楽もあったようだ。

交代で休憩をとるが、個人の寝床は決まっていない。

ともあれ肉体的にも精神的にも、現代の私たちには想像もつかない苦労があったと思う。

朝起きると仲間が減っている……そんなことはもはや普通になっていた。

閉鎖された環境で、精神に異常をきたし自殺する者もいた。

いざこざで人を殺す者もいた。

だけど誰も騒ぎ立てたりはしない、証言する者もいなければ証拠もない、沈黙を続ける海の上では人殺しが罪に問われることはない。

そんなストレスからくる幻影かもしれない。

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夜明けの早朝に作業をしていると、大海原のド真ん中に巨大な島が現れた。

機械に人が巻き込まれても、UFOが出ても手を止めなかった作業員たちが手を止めた。

休憩中の者も叩き起し、みんなで島に向かって手を合わせた。

極寒のさなか、青々と生い茂る草木。

見たこともない白い大きな鳥が光をこぼしながら羽ばたく。

祖父はそこに神様がいると思ったらしい。

島は船の目の前を通り過ぎ、みるみる遠ざかっていった。

……ちなみに先に書いたUFOの話。

当時UFOなどという言葉もなかっただろうがUFOっぽい。

日が暮れてから大型漁船での作業中に突然海の中から丸い派手なものが出てきた。

丸いフチにそって強烈な電飾をつけた超巨大な何かが、海から少しづつ出てきたらしい。

忙しくて見てる暇が無かったらしくその後どうなったかは分からない、絶対に他の大型船等船の電飾ではなかったと言っていた。

ちなみに、島もUFOもレーダーに反応はなかったらしい。

大事なこと書き忘れた。

当時合法だったヒロポン(覚せい剤)はやっていない。

酒は一滴たりとも飲まず、タバコは付き合いで吸う程度の祖父でした。

(了)

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