短編 怪談

赤い握り飯【ゆっくり朗読】

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かつての学生時代、親友から聞いた不気味な話があります。彼は愛知出身で、おじいさんの若い時の体験談を私に語ってくれました。おじいさんは山歩きや釣りが趣味のアウトドア好きで、よく仲間を集めて山へ行っていたそうです。

ある日、彼らは軽い山登りを計画し、装備を整え出発しました。しかし、山は天気が変わりやすく、彼らが登り始めると急に雲が流れ、雨が降り始めました。雨宿りする場所を探していたところ、壊れかけた小さな小屋を見つけました。中は暗く、雨が板の隙間から激しく降り注いでいました。

寒さに震えながら、彼らは持参したおにぎりを食べ始めました。突然、稲光が走り、小屋の中が一瞬明るくなりました。その光の中、一人の友人のおにぎりが異様にピンク色に染まっているのが見えました。彼らはそれが血に染まっていることに気づいていませんでした。

その後、友人の一人が何かに頭をぶつけたと訴え、上を見上げると、白い足が浮かんでいるのが見えました。ライターの光でよく見ると、ボロボロの着物を着た年寄りの女性の顔があり、その口から血が滴り、友人のおにぎりに落ちていました。

恐怖でみんな小屋を飛び出し、警察に通報しました。警察と共に戻ると、そこには地元の行方不明になっていた老女の首吊り死体がありました。彼らはその下で食事をしていたのです。友人はこの話が新聞にも載ったと教えてくれました。まさに恐ろしい経験だったのです。

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