短編 ほんとにあった怖い話

遺影写真#1088

更新日:

Sponsord Link

あたしの勤めてる会社、コンピューター関係で色々やっているんですけど、業務の一環で葬儀の遺影写真も作ってます。

515 :あなたのうしろに名無しさんが:2004/06/20 21:30:00 ID:XPe3AuSx

取引先の葬儀屋さんから、メールとか、リモートで原稿写真を取り込んで、遺影写真として仕上げるんです。

もう三年位前の話。

取引先から、

『いまメールで送った写真お願い……ちょっとすごい写真なんだけど……』

と、妙に歯切れの悪い感じで連絡がありました。

嫌ぁな予感がしましたが、毎度の事で、戦前のえらい古い写真とかかなぁ位に思いました。

丁度、お昼前で、他のスタッフは部屋を出ていて、たまたま製作ルームにはあたし一人でした。

メールを受け取って、添付されて来た写真のデーターを開きました……

「ギャーッ」と叫びました。

我ながら意味不明の悲鳴をあげて、お隣の社長室へ逃げ込みました。

ここ十年位、あんな悲鳴を上げた事はないでしょう……

あたしの悲鳴を聞き付けて、社長も部屋から出てきました。

思わず社長にしがみ付きました。

とにかく、今届いたデーターを見て頂戴ッ!とお願いして、社長を製作ルームへ放り込みました。

「ウッ!!」っと言ったきり、社長も涙目で出てきました。

とてもじゃないけど、あの写真は1秒と見てられないし、ましてや、遺影として加工出来るもんではありませんでした。

ホラー映画に出てくるゾンビとかなんて可愛いものです。

『あの写真は実は、あれは、スプラッタ用の特殊マスクなんだよ』

って云われたら、信じられるかもしれません。

故人様には、誠に申し訳ないですが、TVでは、きっと放送コードとかに触れて、放映出来ないでしょう。

結局、お取引先には事情を説明して、社長直々にお断りいたしました。

『やっぱり、無理だよね~。自分も撮影する時、背筋が寒かったもの……』

そう、写真は生前のものではありませんでした。

普通遺影は生前撮られたスナップとか肖像写真から作りますよね。

でもこれは死後撮影したものだったのです。

それも、俗に云う孤独死と云うもので、死後一週間発見されなかったとか……

孤独死なのに遺族が見つかったというのも奇跡ですが、生前の写真が見つからないとのことで遺族の希望で、デスマスクから生前の顔を復元出来ないか、との依頼だった様です。

警視庁の複顔の様なすごいテクニックがあれば出来るのでしょうが、一民間企業には無理です。

ましてや一枚のポラロイドからなど……

会社のスタッフ皆見ましたが、3秒と見れませんでした。

うちの会社は業務時間が長くて、二交代制で夜五時~九時まではスタッフ一人で待機するのですが、このデータが来てから二週間程、遅番待機の男性ですら

「一人待機は、かんべんしてください!」

との事で、三人位で終業時まで待機してました。

大袈裟のように思えるかもしれませんが、見た者しか解らない恐怖だと思います。

もう、三年前の話ですが、故人様のご冥福を切にお祈りします。

又、ご葬儀関係会社の方、ご遺族の皆様にくれぐれも、ご遺影用のお写真は『生前』撮影されたものをご用意下さい。

と云っても、半年に一回位有るんだよね~デスマスクのが~……

今でも社内では、何かあると「そーいえば、あの写真さぁ~」っと、フッと話題に上るインパクトのある写真でした。

(了)

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, ほんとにあった怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.