短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

ハラボラグ【ゆっくり朗読】

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石じじいの話です。

46 :本当にあった怖い名無し:2018/09/16(日) 17:25:47.50 ID:uuJUKjPG0.net

朝鮮に住んでいたころ、じじいは何度か満州国へ旅したことがあると言っていました。
両国とも日本の支配下にあったので、交通は容易だったといいます。
その旅での話もいろいろと話してくれましたが、あまり覚えていませんし、メモ書きも多くありません。
海外の話をこどもの私が理解できなかったからでしょうが。まあ、今もそうですが(笑)。
少ない話のなかから、ひとつお話しましょう。

蒙古(モンゴル)の話です。
モンゴルは当時、北半分はモンゴル人民共和国としてソ連との同盟国として独立、南半分は、清朝から続いて中華民国に属していました。
満州国にも多くの蒙古人が住み、有力者や分限者もいたそうです。
じじいは、馬に乗って現地満州人(中国語しか喋らなかったと)と一緒に蒙古人たちの居住する草原を旅したそうです。
『もうこじんの家によったら、ちちからつくったお酒をようけのましてくれるんよ。
いちどに五合もついでくれるんで、おおきな唐津に。おかしげな味でおうじょうしたい』
蒙古人たちは、いろいろな家畜をたくさん飼っていて、それらの肉、革、毛、乳を使って生活していたそうです。
遊牧民である蒙古人は、草原に広く広がった羊とヤギの群れを、ぱっとひと目で、「235頭いる」などと正確に数えることができ、さらに、一頭一頭を識別できたといいます。
ものすごく暇な生活だったそうで、そのためよそ者には興味津々で、いろいろなことを尋ねてきたそうです。
じじいも彼らからいろいろな話を聞きました。
彼らが、以下のような話をしてくれたそうです。
ここから馬ですこしいったところにハラボラグという谷があって、そこに泉がある。
その一帯では、何十年かごとに不思議なことが起きる。
その谷に入った家畜たちが皆例外なく死んでしまうのである。
水場なので、放牧している家畜が勝手に行ってしまうので目が話せない。
その現象は、数ヶ月ほど続くのだ。
と。
それは、その泉の水に有毒物質が含まれているのでは?とじじいは尋ねましたが、水は関係ないと蒙古人は答えたそうです。
それ以外の年には、家畜をそこに連れて行って、水を飲ませても草を食べさせても死なない。土にも問題ないようだ。
死ぬのは家畜だけで人は死なない。
この現象は昔から言い伝えられているが、そのあたりに住む遊牧民でも一生に一度遭遇するかどうかなので原因がよくわからないと。
そういう現象はどうやって収束するのか?とじじいは尋ねました。

「知らない間におさまる」と答えたそうです。
また、周りに住んでいる遊牧民の家族で幼い子供が死ぬと、その現象がおさまるとも。
そのことが起きた年には、かならず子供が何人か死んだそうです。
(医療レベルの低い当時は、子供が病気などで死ぬことは別に稀ではなかったでしょうから、偶然だと思うのですが)
じじいがその谷に行ってみたいと言うと、案内してくれたそうです。
そこは青々とした草の生えた場所で、泉からは水がよく湧き出ていました。
周りには黒い岩が露出していたそうです。
それは、丸い穴がたくさんあいたスポンジのような石で、とても硬かったそうです。
その当時、じじいは石には詳しくはなかったのですが、おそらく火山から噴出した溶岩らしかったと。
近くに火山など無いのに、不思議なことだと思ったそうです。

「じじい箱」をあさっていたら、この話に対応するであろう『その黒い石』らしきものを見つけました。
写真を添付します。触っていたら割れてしまいました。
明日あたり死んでしまうかもしれません。

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