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短編 r+ ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

壁の向こうにいるのは、私だった r+6,641

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先日、エレベーターに乗ろうとしたときの話なんだけど、ちょっと変な男がいたんだ。

その男、なぜかエレベーターの中で後ろを向いたまま立ってた。人が乗ってること自体は珍しくないけど、ああいう立ち方の人は初めて見たから、不意を突かれて少し動揺した。

一瞬、乗るのをためらった。でも、もしかして掲示板を見てるだけかも?とか、いらぬ気をまわしてそのまま中へ。

ところが、なにやらボソボソと独り言をつぶやいてる。それを聞いてからは、なんとなく背を向けたくなくて、壁に背中をくっつけるようにして警戒しながら立ってたんだ。

ちらりと横目で様子を伺うと、そいつは直立したまま、顔を壁ギリギリ10センチの距離まで近づけてて、表情はまさに鬼。怒りの塊みたいな顔って、ああいうのを言うんだなって思った。

とにかく無事に一階に着くようにと「南無三……」と念じながら、早く終わってくれと祈ってた。八階から降りるには、妙に長く感じる距離だった。

その間も男は、「だーかーらー、貴様が言うか!ボケェ!」とか、「お、お、おれのせいか!?あ!?」とか、もはや独り言を超えて怒鳴り散らしてるレベル。

「まだ六階かよ……」って汗だくだった。精神的にね。

やっとの思いで一階に着いて、急いでエレベーターから離れた。けど、振り返ると男は降りてこなかった。まるでそこが定位置みたいに。

数週間後、またそいつを見かけた。今度は地下通路で、壁に向かってなにか話しかけてた。それからというもの、頻繁に遭遇するようになり、ついには自宅近くでも目撃。

正直、「え、これ……ヤバいやつに狙われてる?」ってガクブル状態。

ある日、友人と一緒に歩いてるとき、またそいつを見かけたから「ほら、あいつまたいる」って言ったんだけど、「誰のこと?」って言われて。

「そこ、壁と話してるやつだよ」って指差しても、「いや、誰もいないけど?」と返された瞬間、ピンときた。

あれ、この世のモノじゃなかったんだ……!

よく思い返すと、最初にエレベーターで会ったのも、深夜一時を回った頃だったし。不思議と腑に落ちた。

でも幽霊なら、刃物で刺されることもないだろうって、逆に安心してしまった。

ところが、事態はさらに進展。ついにそいつ、家のドアの前でドアとしゃべってやがる。開けるに開けられず、近所のコンビニへ避難。戻ったら姿はなかった。

でも次の日、今度は家の中にいた。冷蔵庫と会話中。さすがに恐怖を覚えて、キッチンから塩持ち出して振りかけたけど、無反応。効果ゼロ。

仕方なく寝ようとしたけど、そいつの怒鳴り声で全然眠れない。寝不足が続いて、イライラも限界に。

ブチ切れて「うるせえんだよてめえ!消え失せろ!」と怒鳴り返した。

すると次の日、今度は寝てる自分の顔のすぐ前に現れて、またしてもブツブツブツブツ……。

その頃にはもう、かなり精神的に参ってたと思う。とうとう「なんなんだよお前!あたしが何したっていうんだよ、ふざけんなよ!」って、顔を合わせるたびに怒鳴り合う始末。

そしてある日、そんなやりとりを友人に見られてしまった。

「お前さ……さっき、壁と話してたよ」って言われた瞬間、すべてがつながった。

そうか、自分だったんだ……って。

すぐに病院へ行った。自分で「精神病だ」と思ったんだ。

検査の結果、なんと脳の血管が詰まってて、危うく命に関わるところだったらしい。緊急でバイパス手術をして、一命をとりとめた。

結局、あの男が幽霊だったのか、それとも幻覚だったのか……いまだに分からない。

でも、今でもときどき、冷蔵庫の前が気になって仕方ない。

[出典:839 :本当にあった怖い名無し:2015/06/29(月) 01:27:03.03 ID:ggI/nIIS0.net]

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