短編 集落・田舎の怖い話

廃屋の気狂い婆【ゆっくり朗読】4000

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当時リアル消防だった私達は、学校の裏手が一面の山でした

88 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/02/22 06:55

廃屋と化した誰も近づかないような物置小屋、東屋を見つけてきては「秘密基地」と勝手に決めて、自分達の遊び場として使用していました。

私達の遊びのグループは、みんなが既存の「基地」の場所を把握しており、共通の集合場所のような感じで仲良く溜まっていた記憶があります。

幸いにも、ホームレスのような不審者や大人たちが近づくような場所では無かったので、占拠していても誰にも咎められる事はありませんでした。

最後の基地を見つけるまでは。

その日、ヨウちゃんとイトウが新しい基地を見つけたと言うので私(ハマ)、ゴリポン、モリケンの三人は、放課後彼らに案内され、直で行ってみました。

そこはまさに「あばら屋」という名に相応しいぼろぼろの小屋で、トタンに汚いサビが浮き出て、触るのも何かイヤな感じのするオンボロ小屋でした。

「昨日、ヨウちゃんと虫取りに来てる時見つけた。鍵あったけど簡単に壊れた」

と、イトウが入り口の薄いドアをリズミカルに蹴りながら言いました。

早速私達三人も中に入ってみると、カビ臭いムッとした匂いと、何か油の様な匂いが鼻をつきました。

「くせーしきたねーよ。ココ、まじ基地にすんの?」

と、モリケンが嫌そうな顔をして外へ出て行きました。

中には、変色した新聞紙の切れ端や、木屑、ヘドロの固まったような物が床にこびりついてて、モリケンでなくとも、その場に留まりたいと思うような場所ではありませんでした。

「とりあえず、何かお宝ないか探してみようぜー!」

ムードメーカーのゴリポンの提案で、あばら屋でのお宝探索ゴッコが始まりました。

小一時間もしないうちに「ねぇねぇ!ちょっと来てみー、コレコレ」とゴリポンが何かを持ってきました。

それは人の「歯」でした。

「うわっ、ゴリポン、何持ってるんだよ!?」

モリケンが神経質な悲鳴をあげます。

反対にイトウは平然とゴリポンに歩み寄り、彼の手から「歯」を奪いました。

「これ入れ歯だ。年寄りがいたんだなここ」

「ゴリポンこれどこにあった?」

「流しにあったんやけど」

そう言うゴリポンに、イトウはちょっと考えるような顔つきになりました。

「昨日はこんなものなかったよな」

そうヨウちゃんに問うと

「うん。こんな変なもの絶対無かったよ」

そうヨウちゃんもきっぱりと言います。

「年寄りが来とるんやったら、見つかったらめっさ怒られるで!」

ゴリポン大慌て。

「俺帰る!」

「俺も!いちぬけたー!」

「にーぬけた!」

ゴリポン、モリケンに賛同するように、私も名乗りを挙げて、年寄りに会う前にそこを出て行こうとしました。

ヨウちゃんが何か言いかけて、私達三人が入り口のドアを開けた瞬間です。

手に山刀と、何か狩って来たと思われる小動物を携えた、気味の悪い婆がいました。

あまりに唐突な遭遇とその婆の凄いインパクトに、私達は声をあげて叫ぶことも、その場から動くことすらできませんでした。

私達が何も出来ず、馬鹿みたいに突っ立ってただ婆を見つめているだけの状態が数秒続き、婆の唇がゆっくりと動きました。

「クソガキども」

「ぶち殺すよ」

「クソガキども」「ぶち殺すよ」婆はそう呟くやいなや、手にしていた山刀を、一番近くにいたゴリポンに振り下ろしました。

ゴリポンのタンクトップからのぞいていた剥き出しの肩口に、ぱぁっと赤い筋が走りました。

そして次の瞬間、たぷっ、とぷっ、と凄い勢いで血が流れ出しました。

「う、うわぁぁぁ!」

痛みより恐怖の方が大きかったのか、ゴリポンは傷口を押さえて一目散にダッシュ。

私も何が何やら分からないままに一目散に走って逃げました。

(何なんだ、何なんだよ!?)心の中で自問自答する余裕が出来た時には、基地からずいぶんと離れた所に一緒にいました。

「ゴリポン大丈夫なんか!」

モリケンと一緒にゴリポンに駆け寄ります。

「う、うん。痛いけど大丈夫やー」

少ししてイトウがやって来て、草をゴリポンに渡しました。

「ヨモギ。これで傷口押さえとくといい」

そして私達の顔ぶれを見てイトウが一言「ヨウちゃんどうした?」ヨウちゃんだけ、基地から逃げ遅れていたのです……。

次で最後ですが、ヨウちゃんから聞いた後日談という形になります。またマターリしてる時に。

私達が一斉に逃げ出した後、一人逃げ遅れたヨウちゃん。

彼の身に一体何が起こったのか?

結論から言うと、婆に性的な手ほどきを「最後まで」されちゃったそうです。

筆下ろしです。

「あのお婆さん狂ってるよ、狂ってるよ……」

うわ言のように繰り返すヨウちゃんに、私達もそれ以上の事を聞く気にはなれませんでした。

消防にして童貞喪失、しかも相手はとっくに干上がった上にどこかおかしい婆。

ゴリポンの件と合わせて警察のご厄介確実なんですが、「誰にも言わないで!」というヨウちゃんたっての希望により、この一件は無かった事になりました。

それで煮え切らないのは、婆に切りつけられたゴリポン。

縫うほどの怪我では無かったものの、大きな傷の残った腹いせに婆の基地に放火しました。

不幸中の幸いか、放火当時基地にいなかった婆は、ちゃっかり別の基地に居つきましたとさ。

(了)

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