短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

もののけ猿#1109

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十二年前に岡山県に住んでいて、当時小学校の三年生の時の怖い記憶。

911 :本当にあった怖い名無し:2016/09/15(木) 14:08:27.65 ID:YbJKPvgt0.net

その怖い出来事の直後に気分が悪くて給食を食べられなかったので、四時限目にあった社会の授業だったと思う。

科目が社会だったと確信があるのは、その日は授業参観があって授業の内容が、席が近くの四~五人からなるグループに分かれて、岡山県の特産品を新聞形式で発表するという内容だったから。

こんな感じで、何かを新聞形式で発表するという授業はやけに多くて、国語や理科の授業でも似たような事は何度もやらされてたんだけど、いつもはパソコン室に入ってグループで必要な情報を調べるって流れなんだよね。

でもその日は、後ろに大勢の保護者がいるので、どんな特産品の種類があるのかは保護者達に自分達から聞き出すって特例になった。

パソコン室って、小学生からしたらワクワクする空間だったもので(関係ない事調べたりね)「え~」ってみんななげいてた。

子供達がそんな感じで、保護者の笑いを誘う展開ってやつかな?「あははは」とか「残念でした~」とか微笑ましい声が後ろから聞こえてくる。

場の空気が一気に和んだ教室で、今まで緊張したまま黒板側を向いていた俺たちは少しずつ親の顔を確かめるように後ろを振り向いた。

その段階では何も変な事はなかったんだ。

グループで机を向かい合わせにくっつけて、先生が保護者に聞き込みに立ち歩きを許可した後に、みんなが教室の後ろにいる家族のもとにいっせいに歩み寄るんだけど、保護者に紛れて、なんかデカいニホンザルみたいな奴がいた。

俺はギョッとして辺りを見渡したんだけど、ほとんどの生徒がその存在に気づいていない。

しかし、一人だけ小田切君って男の子だけが俺と同じように驚いて硬直しているのを確認できた。

ニホンザルみたいな奴って書いたんだけど、顔は完全にニホンザルだった。フサフサした毛とか、あの真っ赤な顔や黄色い目とかね。

身体の形はサルってより毛むくじゃらの人間だったな、服は着てなかったよ。

そいつは、目が本当に怖い。

真顔のニホンザルをさらに無表情にしたって感じ、この時点で相当不気味。

当然ヤバい奴って速攻で理解した俺は、授業参観に来てくれた母親を連れて逃げようと考えたんだけど、母親はサルの事が見えてないみたいだった。

それどころか俺の事も見えてないみたいで、すぐそばで自分の息子が泣きそうな顔をして「母さん、母さん」って訴えてるのに、母親はキョロキョロと多分俺を探してる。

ここからの流れが本当に怖すぎた。

俺が他の子供の親に助けを求めようとするより早くに

「アェェェ!!イェェェ!!」

みたいなクッソ高い声が聞こえてきた。

サルが鳴いたと思ったら、硬直した小田切君が上を向いて口をめっちゃ大きく開けて、泣きながら叫んでいた。

なぜか小田切君は他の人に見えてるみたいで、すぐさま周りの子供大人が駆けつけた。

「大丈夫?大丈夫?」

「どうしたの?どうしたの?」

みたいな超あわてっぷり。

俺の母親も小田切君のもとに駆けつけたみたいで、気が狂いそうな俺が泣きながら声をかけても、もはや誰にも聞こえてないみたいだった。

ポカポカ叩いても誰も反応してくれないし、見えてないってか、完全に無視されてるイメージ。

今思うと本当に馬鹿な話なんだけど、不気味なサルの事を、一瞬完全に忘れてたんだよ、視界に入れてすらなかった。

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思い出したようにサルがいた方に振り返るとサルが第二形態みたいのになってた。

閉じていた口が開いていて、歯は二本の前歯だけだった。

それもサルの首の位置達するほど長かった。

ポケモンのコラッタの歯が三倍くらい伸びた感じかな。

とにかく異常で、もっとヤバいのが、サルのあそこが屹立してた。めっちゃ赤かったのを覚えてる。

サルは変わらず無表情なままずっと斜め上を見てる、本当に気味が悪い。

サルがずっと見てる方向を見ると、黒板の少し上に設置された四角い放送スピーカーがあって、その上に普通のニホンザルがいた。頭とかかいてた気がする。

なんかもう、意味が分からな過ぎて頭の中がふにゃふにゃになってた。

すると、でかいサルが急に四つん這いになって教室のドアから飛び跳ねるように走り去っていった。

それに続くようにいつの間にか床に移動していた普通のサルも同じように逃げていった。

気絶しそうだっけど、なんとか意識は保っていた。

その後は小田切君が先生に保健室に連れられて行き、保護者が心配の声をあげ、母親に「あんたどこにおったんか!」と唐突に怒られた。

その日は学校を早退して、後方にサルがいないかビクビクしながら一人で家まで帰った。

早退の理由は母親に先生から連絡済みだが、授業参観で途中からいなくなった事については追及された。

「変な猿が…」と説明しても、自分以外に見えてないらしい二匹のサルのことは信じてもらえなくて。

その後は病院に連れていかれそうになったので、この話は仲のいい友達にしか話したことなかった。

小田切君は無事だったけど授業参観のこと自体を覚えてないみたいでした。

(了)

 

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