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短編 山にまつわる怖い話

山から来る。【ゆっくり朗読】

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実家の山のお話です。

828:山から来る。1:2006/05/10(水)22:10:06ID:trDY+HT70

うちの実家はものすごい山の奥で、家から出て20Mも歩いたら山の入り口なんです。

小さい頃から危ないから山には入るなって言われてたけど、気になる。やっぱり気になる。

それも、笹がアーチみたいに入り口形作ってるし、もうそれ見るだけで冒険の始まり。

でもめっちゃヘタレなんで、爺ちゃんとか婆ちゃんが一緒じゃないと山には入らないようにしてました。

マムシとかも出てたしね。

これは山の中であったことじゃないんだけど、山から下りてきただろう何かのはなし。

小学校五年生ぐらいかなぁ。多分夏休み中。

夕ゴハン食べて、扇風機しかなかった食卓から離れて自室で窓開けて外見てたんだ。

ちょーど、薄暗くなるぐらいの時間。7時とか多分そのくらい。

夕凪が吹いてきてて、結構涼しい。クーラーとか全然必要ないみたいな。

だから窓開けてゆっくり藍色に変わっていく景色眺めてたんだ。

そしたら。

山から何か下りてきた。人の形してた。でもなんか違う。

人間って、肌色してるでしょ。色の白い人でも髪の黒と肌の白ぐらいわかるでしょ。

頭から腰まで真っ白なん。それがゆーーっくり、歩いてるの。

それもなんか、歩いてるんじゃない。滑ってるの。エスカレーター乗ってるみたいに。

人間?人間にしては白いなぁ。隣のおっちゃんかなぁ。とか思ってた。

あれ?歩いてるのに、なんで体揺れないんだろ、って疑問に思いながらずーっとそれ見てた。

ゆーっくりゆーっくり、下りてくるの。それが丁度、うちの庭に埋められてる樹の陰にすっぽり隠れる形になる。

ふと、思った。あそこから出てきたら人間だなぁ。って。

よし、あいつが出てくるまで見ててやろうって勝手に根競べ。

じーっと見る。樹の陰にも目を凝らしてみる。あれ?白いもの無いな。

どうしてだろうな。

そんなこと考えながら、多分5分ぐらい眺めてた。

出てこない。出てくる気配が無い。

あ、本物やんって思った瞬間、ぶわっと全身に冷や汗が沸いて、家族の居る座敷に逃げ出した。

暫く、自分の部屋には、戻りたくなかった。

でも、結局寝るときには自分の部屋。

あいつが居座ってる状況とか、めっさ想像しながら部屋に入ってみた。

さっきと一緒。なんにもない。

多分、あれは別のとこいったんだと思って、どうにかこうにか布団にもぐりこんだ。

んで夜。田舎の人は解るだろうけど、田舎の便所は外なのです。

ちょっと離れに在るのです。それこそもう夜の便所はちょっとした肝試しです。

夜中に催して、起き上がって、流石に小学校高学年だったんで、爺さんばあさん起こすわけにもいかないんで
独りで便所に向かったのです。

夏といえども田舎の夜はちょっと寒くてね。すごい月が綺麗だった。

電灯無くても歩けるくらい。

で、便所。

便所の小さな小窓から外が覗けるようになってるんだけど、ぼーっと其処みながら排泄中。

そしたら、なんか聞こえるんだ。何行ってるんだかわからないけどなんか聞こえる。

ぼそぼそぼそ、ぼそぼそぼそって。

なんだろ、って外見たら、真っ白いのが居る。

何あれ?月明かりに反射してるには、ちょっと白すぎる。

暗闇の中で、なんだか真っ白いものが蠢いてる。それも四足。

きつね?たぬき?いや、それにしては大きすぎる。犬?大型犬?みたいな。

結構遠くだったんで、じっと目を凝らしてたんだ。

しっぽ?あれしっぽ?長いものが見え隠れする。でもなんか、頭の方が可笑しい。

ぼそぼそは多分、あれだ。なんだ?何言ってんだ?
恐怖心もわすれて、観察してたら。

胴が切れました。その白い奴の。

ええ? って感じでもう一回見る。するとくっつく。

ぼそぼそぼそぼそぼそ、胴が切れる。くっつく。

草かとおもったんだけど、しっかり刈り取られてたんでそんなはずは無い。

新種?とか、宇宙人?とか思いつつ観察してたんだけど、どうやらそいつは私には気がつかずに、ゆっくりと山の方に歩き出した。

一瞬だけ、こっちを見たんだ。人間の顔だった。それも目が真っ赤。表情はない。

それ見たときに、恐怖心はなくて、ああ、私これ見ちゃいけないもんだったんだな、って思った。

その日は、なんとも思わずに寝ちゃったんだけど、目が覚めて恐怖に震えた。

やっべ、なんか変なもんみたなって感じだった。

爺ちゃんはそういうの完全否定派なんで、「馬鹿んじょーいいよる!」って怒られた。

でも、爺ちゃんは、こんな話もしてくれた。

「あん山にはのう、昔ここ一帯の氏神が祭られちょったんじゃ」

今更だけど、あの白い何かは、山から下りてきた何かだと思う。

多分、そんな気持ちの悪いものじゃなく、「よう!いっつもいるから心配スンナ!」みたいなノリ。

山の神様にしては、気持ち悪いし、でも悪いものにしては、愛嬌がありすぎる。

実家から離れて数年たつけど、あの山でみた何かより都会で見た何かの方が、自分にはずっと怖かったです。

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