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学校の裏山【ゆっくり朗読】640

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小2の頃、仲の良かったタケシと一緒に、虫取りに学校の裏山へ行った。

481 :本当にあった怖い名無し:2006/04/30(日) 21:42:22 ID:1bS51n6Q0

その山は俺達の遊び場で、隅から隅まで知っている。まぁ、山ってより、中規模の雑木林みたいな感じ。

突然タケシが、「赤い蝶がいた!」って言って走り出した。俺もすぐにその後を追う。
夢中で走って、息が切れた頃にタケシが立ち止まった。
「タケちゃん。どうした?逃げられちゃった?」
「ああ、逃げられた。すごいデカイ蝶だったぜ!」
その後も赤い蝶を探して歩いたが、とうとう見つからなかった。

日も暮れ始め、そろそろ帰ろうかということになり、帰り道を歩き始めた。
その山では『夕日に向かって歩く』という掟がある。
夕日向かって歩けば道路に出られるからだ。
もし、迷子になっても、夕日に向かって歩けば絶対に道路に出るという地形になっていた。
しかし、その時の俺達にはそんな掟は不要だった。
この山は知り尽くしている。だから、迷子になって夕日を頼りにすることなんてあり得ない。
俺達はゲームの話しをしながら歩いていた。
「あれ?なにこれ?」
どういう訳か、通行止めの標識が立っている。道路なんて無い山の中にだ。
その時は道路標識がどういう物か知らない。今まではこんな物は絶対になかった。
「なんだろ?道間違ったかな?」
「そんなわけ無いよ」
「でも、こんな道知らないぜ」
「・・・。確かに見たこと無いね。迷子?」
「ちょっと、戻ってみよう」

危機感のかけらも無く、後戻りしてみる。
しかし、戻れど戻れど知らない風景。こんなことはあり得ない。
「え~!ここどこ?」
タケシが泣きそうになってた。俺もこんな所は来た事がない。
とりあえず、夕日の方向に歩き始めた。それがここの掟だ。
段々と日が暮れてきた。

夕日に向かって歩くと、すぐに道路に出た。
そのままタケシと別れて、
俺の家まであと500mくらいの場所で、後ろからタケシがものすごい勢いで走ってきた。
話を聞くと、タケシの家で葬式が行われているらしい。
驚いて、家に帰れず俺を追いかけて来たと言う。

タケシにせがまれて俺も一緒にタケシの家に行った。
本当葬式が行われていた。
亡くなったのはタケシのお兄さんだった。

しかし、タケシの家の前には誰もいない。鍵もかかっていて、家に入れない。
泣きじゃくるタケシを連れて、とりあえず俺の家に連れてきた。
「ただいまぁ」と家のドアを開けるなりオヤジが飛んできた。
キョトンとしている俺を見るなり、平手打ちが飛んできた。
そのまま、家の中に連れて行かれ散々に怒られた。

どうやら俺とタケシは、2日間行方不明になっていたらしい。
事情を話しても信じてもらえなかった。タケシの家で葬式なんて無かったと言われた。
それから1ヶ月は外に遊びに行けなかった。
ようやく謹慎処分が解けた後、タケシと山に行ったが、あの道路標識なんて無かった。

タケシのお兄さんは、今でも元気だと思います。
確か東京の大学に行って、横浜で就職したと聞きました。
タケシも一人暮らししてますが、結構近所なんでたまに飲みに行きます。
そうすると、決まってこの話で盛り上がります。

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