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闇バイトの代償

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10年ほど前の話になる。

ちょっと危ないアルバイトの話を聞いたことがあるかい?
俺は当時、西新宿のとある事務所で働いていた。そこはグレーゾーンの仕事場で、出入りしていたのはちょっとヤバい系の人たちだった。そんな中、一人の男と仲良くなった。彼はある日、日給10万でタコ部屋があった場所の片付けをして欲しいと言ってきた。場所は秘密、でもその分、報酬は高い。聞けば、すでに片付けたはずなのに、バカな下っ端がゴミの中に見られちゃマズい物を残したかもしれないらしい。だから、素人を何人か連れてって掃除させるのが俺の仕事だった。

金曜の夜に集合、日曜に解散、バイト代は口止め料も含めて30万。かなりのいい話だった。同僚二人とドライバー兼監視役一人、計四人で出発。途中、無意味に30分も止まったりして、時間で場所を推測されないようにしていた。俺たちは途中で寝て、目が覚めると山奥だった。砂利道を進むと、そこには産業廃棄物の山があった。

仕事自体は簡単だった。まとめられたゴミを回収し、現地で燃やす。昼前には終わった。その頃には監視役とも仲良くなり、タコ部屋の掃除だと聞かされた。この場所で色々な物を埋めるという話も聞いたが、それはまた別の機会に書くことにしよう。

昼飯を食べ終わったが、帰る気配がない。場所バレたらまずいから、暗くなるまで動けないと言われた。「夜までは自由時間だ」と言われても、何もない山の中だ。仕方なく、周囲を探索することにした。産廃の山の匂いが酷く、雑木林の中を散歩することにした。すると、獣道の先に建物の跡があり、開けた場所があった。何十年も放置されたお寺の跡のようだった。そこは涼しく静かで、産廃の山の空気に疲れた自分には、一息つける場所だった。

携帯の電波は入らず、時間を潰していたが、突然異変を感じた。うるさい。とても騒がしい。辺りからたくさんの気配と、オーン……オーンという鳴き声が聞こえてきた。野犬かと思ったが、同僚が青い顔でやってきた。「ここヤバくね?」と。

オーン……オーンという鳴き声はますます大きくなる。同僚に野犬か熊かと話しかけると、「お前、この声、地面の下から聞こえてるの分かんない?」と。そう言うと同僚は木の棒を使って地面を掘り始めた。狂ったように地面を掘る同僚を見ていると、彼がブツブツと何かをつぶやいているのに気付いた。「許さねぇ……絶対許さねぇ……」彼は憤怒の表情をした仏像の頭を掘り出していた。それを次々と掘り出し、積み上げていく。俺は腰が抜けて動けなかった。

同僚はそのまま山の中に消えていった。

俺の目の前には、この世のものとは思えない表情をした仏像の頭がある。鳴き声はその首から出ていた。ふと気づくと、日が傾きかけている。動けと自分に言い聞かせ、走り出す。鳴き声が聞こえなくなった頃、産廃の匂いがしてきた。人間の業の匂いだが、安心して涙が出た。

車に飛び乗ると、監視役と同僚二人がやってきた。「お前、6時間もどこ行ってた?」穴を掘った同僚の話をしたが、三人ともずっとここにいたという。

幻覚だったのか、夢だったのか分からない。場所も分からない山奥の産廃場の近く。今もあの頭たちはあの場所にあるのだろうか。

帰りにあちらさんの事務所で報告した時に、口約束した奴からもらえと言われた。笑いながらもらえるもんならもらえば良いと言われたが、結局もらえなかった。結局、バイト代はご飯を奢ってもらっただけだった。上司にその話をすると1万くれて、「これで終わりにした方が良いよ」と言われた。

あの場所で見たことが現実だったのか、未だに分からない。でも、あの怨念がそこにあることは確かだ。

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