フリーターだった頃の話をしようと思う。
590 ：本当にあった怖い名無し＠＼(^o^)／：2016/11/23(水) 09:58:00.45 ID:bjX/6tTk0
当時住んでいた安アパートの隣に、20代前半の女性と3歳くらいの男の子が引っ越してきたんだ。引越しの挨拶も特になかったが、外に出るタイミングが同じで、彼女の方から声をかけてきた。
「隣に引っ越してきた宮坂です。この子はスグルと言います。ちょっと騒がしくしてご迷惑をお掛けするかもしれません」
少しぽっちゃりしていて、ミニスカートにヒールを履いた、いかにも夜の仕事をしている感じの女性だった。でも話してみると意外とまともで、俺も安心した。「いえいえ、気にしないでください。スグル君、よろしくね」と返したんだ。スグル君はとても人懐っこくて、俺が外に出るとすぐに足にしがみついてくるし、抱っこをねだってくる。俺の家に来る彼女や友達にもすぐに懐いていた。
スグル君の母親によると、俺がバイトに行っている間も、部屋の前で「お兄ちゃんまだかな」とソワソワしているらしい。可愛いなと思う反面、実は一つ悩みがあった。
スグル君の母親は週に何度か仕事に出かけていて、そんな時は、おばあちゃん？が家に来ていた。このおばあちゃんがまた、50くらいで、派手な化粧をしている女性で、いかにも水商売をしている感じだった。このおばあちゃんがスグル君を怒る声が本当に煩くて。まるで叫び声のようなヒステリックな感じで怒るんだ。
「スグル！何やってんだ！」と。スグル君も泣き叫び、それに対し、おばあちゃんの声がキンキンと耳に響く。壁が薄いから全部聞こえてしまって、本当にイライラした。たまにバシッと叩く音も聞こえてきて、ビクッとすることもあった。
そんな日々が続く中、バイト先の本屋にスグル君の母親がやってきた。
「（俺）さんのお宅にインコいません？」
「ああ、はい、飼ってますよ」
「この間、スグルが鳥の鳴き声が聞こえるって言ってて」
「あ、煩かったですか？」
「いえ、鳥がスグルって呼んでいると言っていたので気になって」
「ああ…」
「声、そんなに聞こえるんですね」
「え？」
「はっきりとは聞き取れないけど、スグル！何とかかんとか！って言ってるって、すごく気になってるみたいで」
「あ、すいません！壁際に鳥籠が置いてあるから覚えちゃったみたいで…」
「そうですか…」
そのやり取りがあった数日後、昼間、部屋でゲームをしているとアパートのドアが叩かれた。出てみると、スグル君親子だった。
「実は引っ越すことになりました。スグルがお兄ちゃんに最後に会いたいと言うので。色々ご迷惑お掛けしました」
「え、急ですね」
「実は…スグルを見てくれてた母が現金や通帳を盗んで、スグルにも…。
なので、もし母親がこのアパートに来ても知らないふりしてくれませんか？」
「わかりました…」
それから何日か経った夕方頃、友達と部屋で話していると外からドンドンドンドンドンと玄関のドアを叩く音がした。
「おら！いねえのか！出てこいよ！」
どうやら、おばあちゃんが隣の部屋のドアを叩いて叫んでるらしい。俺たちはビクビクしながら「こええええ」と小声で話していた。しばらくおばあちゃんは騒いだ後、カンカンカンと階段を降りていったようだった。
友達と「警察呼んだ方が良かったかな」「いや、もう来ないだろ」と話している時、インコが突然、
「スグル！コロスヨ！スグル！コロスヨ！スグル！コロスヨ！」
そんな言葉を今まで聞いたことが無かったので、かなりゾッとした。俺が知らない間にあのおばあちゃんはこんな事を言ってたのかと。
もう何年も前の話だけど、ニュースで子供が殺された話を聞くとこの事を思い出す。
