短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

■猫の幽霊に愛された女の物語

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心霊体験って、本当にあるんだろうか。

29 :怖いお話ネット:2024/06/15(土) 14:35 ID:bN7lYmQ5

自分がそんな体験をするまでは、正直信じていなかった。でも、あの日の出来事が私の人生を一変させた。

その猫と初めて出会ったのは高校生の頃だった。放課後、自宅に帰る途中の公園で、その猫に出会った。真っ白で美しいオスの野良猫だった。私を見つけると一目散に駆け寄ってきて、まるで待っていたかのようにゴロゴロと喉を鳴らしてくる。

最初は、ただの人懐っこい野良猫だと思っていた。庭に座っていると、膝に飛び乗ってきて、しばらくの間ゴロゴロと喉を鳴らしている。家族はこの猫を可愛がっていたが、祖母だけは「あの猫には近づくな」と警告していた。彼女曰く、その猫の目には人間のような知性が宿っているとのことだった。

ある日、その猫が家の前の道路で車に轢かれて死んでしまった。私はショックを受けたが、そのままにしておくわけにもいかず、裏庭に埋めて線香をあげた。その出来事を機に、猫のことは忘れようとしていたが、その夜、奇妙な出来事が起こった。

仕事の帰り道、見知らぬホームレス風のおばさんに呼び止められ、「肩に猫がいる。真っ白い猫が、アンタのこと好きなんだ。ずっと頬にすりついている」と言われた。驚きと恐怖でその場を離れたが、その後もその猫の存在を感じるようになった。

結局、祖母に電話をして相談することにした。祖母はその猫が「猫ではなく、人間に近い何か」だと言い、放っておくと将来の子供に影響が出ると警告された。怖くなった私は、祖母の知り合いの霊媒師に相談することにした。

霊媒師の話によれば、その猫は悪霊ではなく、むしろ私を守ってくれている存在だった。しかし、猫は私に対して強い執着を持ち、そのために私の恋愛運が低下しているという。霊媒師は「猫を祓うかどうか決めてください」と言ったが、私は猫に愛されていることが嬉しく、そのままにしておくことにした。

それ以来、私は猫の存在を感じながらも、その猫が私を守ってくれていると信じて生きている。恋愛運がどうであれ、私にはこの猫との絆が大切なのだ。今も、猫の気配を感じると安心感が湧き、心が温かくなる。

もしかしたら、私が感じているのは単なる気のせいかもしれない。でも、この猫の存在が私の心を支えてくれていることに変わりはない。これが、私にとって唯一の心霊体験であり、唯一の恋愛体験でもある。

人間と動物の間には、見えない絆が存在することを、私はこの猫を通じて学んだ。皆さんも、身近な動物との絆を大切にしてほしい。もしかすると、それは人間以上に深いものかもしれない。

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