数年前の夏に友人たちとBBQに行った。
915 :本当にあった怖い名無し:2015/07/12(日) 22:17:22.21 ID:kRyLSBpX0.net
一週間後その友人の一人大滝から、面白いものが出来たから見に来い、と家に呼び出されたんだ。
大滝はその頃写真に凝っててパソコンで合成して遊んでた。
大滝はBBQの時に撮った写真で心霊写真を作ったらしい。
見せてもらうと諏訪の左足が消えかかって、よくある心霊写真になってる。
諏訪はプロレスラーみたいな外見のくせに妙にビビりで、驚かすと面白い。
次に集まる時に見せて、ビックリさせてやろうということになった。
それから一週間後、飲み屋に集まった。
タイミングを見計らって大滝が 「この間の写真出来たよ」と皆に写真を回す。
全部で二十枚ほどあり一枚だけが例のいたずら写真。
最初に気づいたのは三宅だった。
「おい、これ心霊写真じゃね?」
皆飲んでるせいもあって、怖がるより本物すげーって感じで盛り上がった。
大滝はというとビビってた、というより完全に青ざめてガチで怯えていた
そこまで怖がるとは思わず予想外だった。
諏訪は「やっぱあの女俺を殺す気だ」「雰囲気が変だった」「あれは霊だ」と言う。
何の事かさっぱり分からないから聞いてみると、最近奇妙な夢を見ているんだと。
諏訪は夢の中で布団に入って寝ている。
誰かが左足を触っているので見ると、見知らぬ三十代くらいの女がうつむきながら自分の足をさすっている。
女は子供に話しかけるように
「まさのぶちゃん(諏訪の名前ではない)大丈夫、大丈夫。きっと治るからね。歩けるから。頑張ろうね」
いつもそこで目が覚めるらしい。
「あの女は突然豹変して俺を殺す気がする」
いたずらで作った心霊写真と諏訪の夢が偶然一致してしまった。
本当は暫く黙ってネタ晴らしするつもりだったが、あまりに諏訪が本気で怖がってたため大滝とネタバラシした。
諏訪には余程その夢が怖いのか、心霊写真が作り物なのを信じてもらえなかった。
俺たちが気をつかってると思ってしまったようだ。
翌日大滝から電話があった。
元の写真を見せて、諏訪に作り物だと証明しようと大滝はカメラの写真を確認した。
だがカメラの中の写真も、諏訪の左足が消えている。
カメラにはパソコンにコピーする前の写真しか入ってない。
パソコンにも弄る前の写真があったがそれも何故か足が消失。
さすがに気味が悪くなった俺たちは、お祓いしに行くことにした。
市内でも一番大きい神社だ。
神主に事情を話し作り物の心霊写真も一緒にお祓いして預かってもらうことにした。
ただ神主は、霊とかそういうのは見えない人間のようで半信半疑な感じだった。
帰りにはお守りを買って、とりあえず俺も大滝もほっとした。
諏訪だけはまだ怯えていた 「明日もあの女は来る」と言う。
俺も怖くなったがお祓いもしたし そもそもあの写真は大滝の作り物。
諏訪が神経質すぎて少しイラついた。
「どうせ夢なんだからその内見なくなるよ。ストレス で不気味な夢見てるだけだろ!」
諏訪は不満そうにぶつぶつ言ってたが無視した。
大滝も呆れていた。
一ヶ月くらい経った頃だった。
特に何事もなく俺も大滝も写真の事は忘れていた。
諏訪から電話が来た。
「まさのぶちゃんは優しい子だから助けたい。俺はまさのぶちゃんのためなら犠牲になってもいい。まさのぶちゃんが元気になれば俺も自由になれる」
そう言って一方的に切れてしまった。
他の友人にも同じように電話があったがこちらの話は聞かず言うだけ言って切れたらしい。
それ以降諏訪からは連絡が取れなくなった。
ある時バイトに行ったきり戻らなくなった。
元々何らかの理由で家出したくてあの心霊写真を使ったのか。
それにしても怯え方がリアルすぎた。
それとも、本当に夢に出て来た女に憑かれたのか、俺には分からない……
(了)
[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1433425141]