短編 洒落にならない怖い話

死にゆく人の声【ゆっくり朗読】2700

投稿日:

Sponsord Link

私の家族・親族は、死体に遭遇する率が異様に高い。

207 :本当にあった怖い名無し:2011/09/09(金) 18:45:41.98 ID:yNH+7jFf0

そういう私も幼稚園の頃、祖父山登りをしていて首吊り死体を見つけてからとういもの、二十五歳の今まで二十回くらい事故や自殺などの死体を見ました。

そういう体質的なものは、どうやら父方の家系に多い。

父の実家では昔から地元の神事に関わることが多く、家も鳥居の中にあって、家の裏に神社があり、

そこの管理をまかせられているので、よく神社の掃除をしたり、祝詞の練習をさせられたのを覚えています。

それに比べて母方は霊感体質な人が多いので、私はきっと父方の家系に似ているんだと思います。

親類の中でも私の両親と父方の祖母はその体質が強く、人の死期が漠然とわかる人なんですよね。

「あ、なんか急に○○さんが気になった」

「夢見が悪かったんだけど、○○さんが出てきてね……」

「神社で蝋燭つけてたら逆さまにロウが登って変な形になったんだけど、○○さん元気にしてるのかなぁ」

いつもそんな感じで、誰かの心配をしてたら……ってことが小さいころからよくありました。

病気とかじゃないんですよね。心配する人とか気になる人はいつも元気な人。だから余計に怖いんですよ。

 

Sponsored Link

この体験をしたのは二年くらい前だったと思います。

私の地元はかなり田舎で、実家は携帯の電波の届かないような場所にあり、コンビ二まで車で二十分ほどかかります。

その日はハトコの滉一と私の家で遊んでいました。

深夜になり、滉一がタバコがなくなったと言い出したので、めんどくさいと文句を言いつつ買いに行くことになりました。

家から十分くらい車を走らせたところで、滉一が

「いま煙草屋さんがあったよ。コンビニは遠いからそこで買おう」といいました。

その煙草屋さんは夕方から朝まで開いている煙草屋さんで、珍しい煙草も多く見ているのは楽しいのですが、

店主のおじさんの営業トークがとても長いので私は気乗りしなかったのですが、滉一に押し切られる形でそのお店で買うことに。

「このタバコ新作ですよ」「この煙管は管の部分が長くて……」

そんな話を十五分くらい聞いてうんざりしはじめたころ、

「あ……い……あつ……い……たすけて……たすけて……」

というおばあさんの呻き声が店の奥から聞こえ始めました。

最初は心霊現象かと思ったのですが、霊感なんて全然ないと豪語する滉一にもそれは聞こえているらしく、しきりに店の奥に視線を泳がせていました。

でも店主さんは全然気にしてない様子。

その後も十五分近く色々な煙草を勧めてきて帰るに帰れない。

営業トークにも呻き声から悲鳴に変わった声にも我慢できなくなった頃、

意を決した滉一が「おばあさんの声しませんか?大丈夫なんですか?」と聞きました。

そしたら、「え、なんのことですか?」といって笑った店主さんの顔が今でも忘れられません。

それから追い出されるように店を出てからの帰り道、虐待なのか幽霊なのかさんざん論議したけど、怖くてまたその店に行く勇気もなく、

警察に通報してもなんて説明したらいいかも分からず、家に帰って両親にその話を相談して寝ました。

それで、そのまま次の日には忘れてたんですよ、そのこと。

その一週間後その家が火事になって、店主さんとそのお母さんが焼死体で発見されたって聞くまでは。

どうやら自殺らしいです。痴呆症の母親の介護と貧乏に疲れての。

目撃した人の話によると、店主さんは火傷を負いつつも一度家の外に出てきたのに、

「お袋がまだ中に居るんだ」っていって、また火の中に飛び込んだらしいです。

私と滉一が聴いたのは虐待中の悲鳴だったのか、それとも幻聴だったのか。

未だにそれは謎ですが、両親たちみたいに人の死期がわかる能力なんか欲しくないと思っていた私も、きっと色濃く体質を受け継いでるんだなと思った体験でした。

(了)

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 洒落にならない怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.