高知の室戸に行ったときの話。
259 :本当にあった怖い名無し:2008/05/14(水) 09:47:46 ID:71XhypL80
室戸には御厨人窟(みくろど)という空海が悟りを開いたといわれる洞窟があります。
折角来たのだからとお参りして行こうと思い薄暗いその洞窟に入りました。
一番奥の祭壇までだいたい十メートル弱くらいの距離だったかと思います。
その半分くらいまで歩いた時、奥の祭壇の上の方に大きな目のようなものに睨みつけられるような感覚がしました。
足が竦み、身体は震えて恐怖と嫌悪のような気持ちで、それ以上先に進むことが出来ず慌てて外へ引き返しました。
外にでて深呼吸をして、今のはなんだったんだ?と思いながら何気なくあたりを見渡すともうひとつ小さな神明窟(神明神社)という洞窟が目に入りました。
とりあえずこちらだけでもと気を取り直してそちらへの参拝を先にしました。
こちらへの参拝は恐怖も嫌悪も感じず無事に参拝することが出来たので、やっぱり折角だからともう一回御厨人窟へと足を向けてみたのです。
洞窟入り口で大きく深呼吸してから入ってみました。
再び薄暗い洞窟内で、先程の恐怖がよみがえりながらも大丈夫、大丈夫と言い聞かせながら先へと進みました。
そして先程逃げ出したあたりに差し掛かり、また睨まれているかな?と顔をあげるとそこには普通の洞窟の最終地点である祭壇と数人の観光客だけ。
ホッとすると同時に気が抜けて、自分の錯覚だったんだな~と思いつつ続き祭壇へと足を進めました。
無事に祭壇へと到着して、お参りしようと祭壇で手を合わせた時です。
今まで何も思ってなかったのに
「やっとここに帰ってこれた、許して下さってありがとうございます」
と頭の中というか心の中というか、スーッとそう思ったんです。
そう思ったとたんに涙が溢れて号泣。
一緒に行った連れも自分のその様子に慌てて外へ出るように促し、自分もそれに従い外へと出ました。
出てからも暫くは号泣してて、でも嫌な涙ではなく何と言うかスッキリしたというか、心が安らいだというか不思議な感覚。
落ち着いた頃ポッと口をついて出た言葉が「これでやっと終わったな」でした。
そして帰途の中、走馬灯のようにというと語弊がありますが、何となくそんな感覚で_
自分は仏門関係で修行をしてたけど、キリストに傾倒して船で逃げ出したんだ。
でも、その船は難破して自分はどっちつかずのまま死んだんだ。
帰りたいけど逃げ出した自分は帰れないし帰る場所などないとずっと思ってたけどやっと今帰る許しをもらったんだ。
_とそんな風に思いました。
実際どうなのかは自分でもわかりません。
基本的に無宗教です。
ただ小さい頃からキリストに興味があって、聖書を読んだりしてたんですがどうしても最後まで読めず勿論洗礼を受けるということも出来ませんでした。
そして、九州(特に長崎や熊本など)にずっと興味を持ちつづけて、旅行だけでなくいつかは移住したいとまでおもっていた程でした。
それからずっと年月が経って、四国へと向かってそんな状況になったわけです。
でも、この御厨人窟に参拝してからというものスッキリしてしまったのか、なんなのか全く九州への思慕のようなものはなくなりました。
(了)