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短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

賞味危険!中年男が売るメロンはヤクザな味【ゆっくり朗読】5638-0101

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今から五年くらい前、俺は学生アルバイトでテレビゲーム屋の店員してた。

125 名前:あなたのうしろに名無しさんが…… 投稿日:03/02/09 21:33

その時店内には、店長ともう一人のバイトの人間がいた。

その日は休日だったが客の入りは良くなかった。

しばらく店内の雑用をこなしていたら、ツナギを来た中年のおっさんが入ってきた。

「いらっしゃいませ」

店長がそう言いきる間もなく、その男はカウンターレジにやってきた。

男「あ、あの……」

店長「はい、何か?」

男「メロン買いませんか?」

俺たち『はぁ!?』

話によると男は東北の方からやってきた業者だという。

メロンを安く売るから買わないか?とのことだった。

店長は最初はそんなの結構ですと断っていたんだが、そのうち男は

「じゃあ試食だけでもしてくれ。美味しかったら買ってくれ。そうじゃなかったら買ってくれなくていいから」

そんなことを言い出した。

「じゃあ試食だけだったら……」

店長が折れるのを確認すると、その男はちょっと待っていてくれ、と一旦外へ出てメロンを取りに言った。

俺は何がなんだかわからず、ポカンとしていた。

正直メロンが好きじゃなかったからどうでも良かったんだが……

ただ、その男の様子がどこかぎこちないところだけは気になった。

数分後男が戻ってきた。

メロン一箱とまな板、そして大きな包丁を引っさげて。

さすがに刃物を見た店長の顔も固まる。

バイト君だった俺も、背中に冷たい汗が走った。

そんな俺たちをよそに男は箱の中からメロンを一個取り出すと、おぼつかない手付きで、その場で切りはじめた。

その手付きはどこかぎこちない。

ただメロンにすぅーと入っていくその包丁の切れ味は確かなものだと分かった。

その切っ先を見ていると、なんか俺は嫌な予感がしたんだ。

「さぁ食べてみてくれ」

一口サイズに切られたメロンを口にする店長とバイト君。

メロン苦手な俺も場の雰囲気に逆らえず、しぶしぶ口にすることになった。

メロン嫌いの俺が言うのもなんだが、それはお世辞にも美味しいとはいえないメロンなんだろうな。

口に中に入れた瞬間にピリピリとしびれてくる感じがした。

俺だけがそんな感じかと思ったら、他の二人にとってもいまいちだった様で、結局買わないってことになったんだ。

「美味しかったら買ってくれるって話だったよな?」

そう言う男の手にはずっと包丁が握られている。

目がだんだんとすわってきていた。

店長「いえ、ちょっと口に合わなかったものですから……」

男「一個3,000円でいいんだ。一人1,000円ずつ出せば買えるだろうに」

店長「だから口に合わなかったんですってば」

店長はほとほと困り果てた顔をしていた。

そんな店長の顔色とは対照的に、包丁を持った男の顔はだんだんと昂揚して赤くなってきていた。

俺も隣のバイトも恐怖でかちこちになっていた。

男の様子からキレられると言うことが余裕に想像できたからだ。

しかし意外にも「分かった」と、ものわかり良く男はそう言ったので、俺たちは内心ホッと胸をなでおろしていたんだがその後、男は意味不明な事を口にした。

「俺は帰る。その代わりメロンの箱を外まで持ってきてくれないか」

男はそんなことを言った。

持ってくる時は全部自分一人で持ってこれたやん?帰りも一人で持っていけばいいのに???その場にいた三人ともそう思っていた。

俺たちは動かなかった。

男もまた、俺たちが動くまで動かなかった。

そのまましばらくすると店の中にお客さんが入ってきた。

小さい子供だ。

変なことになると大変なので、「店長、俺が持っていきますよ」

そう言って早くこの男に帰ってもらうことに。

俺がメロンの箱をかかえて歩き出すのを確認すると、男は後ろから付いてきた。

心配になった店長がその後に続く。

店の前にはよく見かける、ありふれたバンが止まっていた。

これが男の営業車らしい。

「車に積んでくれ」

男が後ろのハッチを空けると、中にはメロンの箱の山が詰まれている……

かと思いきや、中はもぬけの殻で、代わりに同じくツナギを来た男がいた。

目つきの悪い男だった。

「ここに置いておくよ」

なるべくその男の顔を見ないように車の中に置くと、逃げるように車を離れた。

俺の背中でハッチドアを閉める音がする。

その直前に車の中にスタンバっていた男の「チッ!」という舌打ちする音が確かに聞こえた。

彼らはそのまま素直にバンに乗り込むと車を急発進させ、町の中に消えていったのだった。

(了)

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