これは、10年前に地元の花火大会が終わった後、友人から聞いた話だ。話の内容は、今でも心に引っかかる不可解な体験だという。
その日、深夜2時を過ぎても彼らは小高い丘の広場で遊んでいた。人気のない静かな広場には、彼らの他に小学生くらいの子供2人とその親らしき大人2人の親子連れがいたという。
時刻としては異常とも言える時間帯だが、家族団欒で楽しそうに花火をしている様子に、彼らは特に深く気に留めることもなく過ごしていた。
夜も明けかけた4時頃、解散しようと友人たちが車に乗り込む。その車内で何気なく「あの親子いつ帰った?」と口にしたところ、友人たちの答えが妙に食い違っていた。
一人は「あれはカップルだった」と言い、別の一人は「いや、じいさんとばあさんの二人組だった」と主張する。誰も親子連れを見たとは言わない。誰かが冗談を言っているのかと思ったが、それにしては妙な一致のない答え方だった。
その場では特に結論も出ず、「なんだそれ?」と笑い流したまま解散となった。しかし、その話は彼らの中で忘れられたわけではなかった。
10年後、久しぶりに同窓会で集まった際、当時の話題が再び持ち上がった。友人の一人がぽつりと語り出す。あの夜、車のドラレコに何か映っていないかと気になり、後日確認したのだという。そして、そこには奇妙な映像が記録されていた。
彼らのすぐ近くに、大人2人と子供2人が立っていた。ただし、花火を楽しむでもなく、ただ真っ直ぐ彼らの方を見つめたまま、微動だにせず立っていたというのだ。誰もその姿に気づかなかったはずなのに、カメラは確かにそれを捉えていた。
さらに別の友人が重い口を開いた。「もしかしてだけど、あの4人って白いシャツに青いストライプの服着てなかった?」と。車の友人も「白いシャツは間違いない」と答えたが、どうも話はそこで終わらなかった。
そのストライプ模様の話に引き寄せられるように、事故を経験した友人が語り出した。「3年前、明け方の薄暗い時間帯に親子4人を見た。道路脇に並んで立っていたんだ。
ただの一本道で何をしているのか気になって見たんだけど、そいつらの顔が…白くて、歪んでた気がする。そのせいで脇見運転になって、俺はガードレールに突っ込んだ」。
その場の空気は急に冷え込んだように感じられたという。言葉にし難い不気味さが場を包み込み、皆が思わず黙り込む。
話はそれで終わりかと思われたが、聞き手の一人が小さな記憶を付け加えた。花火大会のあった年、母親から「家の前に人が立っているけど、知り合いか?」と尋ねられたことがあったという。そして確かに、その時見たのは白いシャツを着た親子4人だった。顔の記憶は薄いが、不自然にじっと家の前に立っていたその姿が印象に残っている、と。
その親子が何者だったのか。何の目的で現れ、なぜ誰も共通の姿を認識できなかったのか。真相は分からない。ただ、その4人がどこかで再び現れるのか、それとももう二度と会うことはないのか。それすらも、誰にも分からないままだ。
[出典:250 :本当にあった怖い名無し:2022/12/16(金) 06:31:10.79 ID:FpikKBfj0.net]