短編 土着信仰

【土着信仰にまつわる怖い話】イケモ様【ゆっくり朗読】4100

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昔ばあちゃんの家に預けられてた時。後ろの大きな山に《イケモ様》って神様を祭る祠があった。

132 本当にあった怖い名無し 2012/06/01(金) 20:01:59.77 ID:TwSlcpWx0

ばあちゃんの家の周りには、遊ぶ所も無く行く所も無かったからその祠の近くにある池で、よくじいちゃんと釣りをしていた。

ある日じいちゃんとばあちゃんが、軽トラで町に買い物に行くので、俺一人で留守番する事になった。

する事が無かったので一人釣りに行く事にした。

実はその池に行くのには凄く遠回りをするが、二人ともいなかったので抜け道をする事にした。

その抜け道はちょうど、となりのトトロでメイが潜っていった様な所で、人一人抜けられる場所だ。

でもじいちゃんもばあちゃんも絶対通ってはいけないと言ってた。(理由は教えてくれなかった)

入り口を囲む様に石が並べてあったが、子供な俺はそんなのお構いなく入っていった。

今思うと完璧に人工的な並びだった。

そうして歩くこと二十分池に着いた。

一時間程釣りをしていて何気なく遠くの方を見たら、チラッと人影が見え声が聞こえた。

「あきよへほ あきよへほ」みたいな感じに。

普段誰も来ない場所なので少し気になり、見に行くことにしたが誰もいなかった。

まぁ気のせいだと思い釣りを始めようと思っていたら、じいちゃんの軽トラが走ってきた。

俺はじいちゃんが迎えに来てくれたと思い、釣り道具を片付けていたら物凄い勢いでじいちゃんが車で近づいてきた。

問答無用で車に押し込められ、釣竿もお気に入りだった水筒もその場に置きっぱなしになってしまった。

何か白い布を被され絶対出てくるなと言われ、家に帰るまでじいちゃんはずっと何かを唱えていた。

家に着くと俺を包んでいた白い布をじいちゃんが被り新しい布をばあちゃんがかけてくれた。

ふと見ると近所の人たちが集まっていて、家は白い布で覆われていた。

あれほどの大きな布をどうやって調達したのか、今思うにこの時の為に用意してあったのだと思う。

そしてばあちゃんにお風呂に入れられ、少し大きな部屋に連れて行かれた。

しらないお爺さんがいて

『何処を通っていったのか、どのくらいの時間かかったのか』など色々聞かれた。

その後イケモ様の事について聞いた。

イケモ様は池を守る神様だけど、幼いので一人では寂しいからと昔は子供を生贄に捧げていたらしい。

その子供が抜け道を通りイケモ様の所へ行っていたらしい。

しかし生贄とかの時代が終わり、寂しくなったイケモ様は里に下りてきて子供を連れて行くようになり、連れてきた子供が逃げないように足の筋を切りずっと自分の側にいさせていたらしい。

それでイケモ様が外に出ないように石を並べて道を閉じたと言う話だった。

最初は冗談と思って聞いていたが自分の足を見た瞬間凍りついた。

右足のスネの後ろが切れていて血が出ていたから。

でも痛くはなかった。

いきなりお爺さんが叫んで白い布を被った人が俺を囲みばあちゃんが傷を小さいお札みたいなもので止血してくれた。

このままでは危ないと言う事で急遽俺は家に帰されることに。

またしても布を被されじいちゃんの車に乗せられた。

イケモ様は白いものが見えないらしく布を被れと言う事だった

にも係わらず家の中で足を切ったのは完全に家を覆いきれて無かったかららしい。

布を被る前にみたじいちゃんの軽トラは、黒い部分はわら半紙で隠され荷台には大量のお菓子が乗せられていた。すごくかっこ悪かった。

そして何事も無く走る車。

俺はもっと何か起きると思っていたので拍子抜けしてしまった。

ずっと布を被っていたのでつい窓を開けてしまったら外から

「きよへ」と声が聞こえた。

じいちゃんは普通に運転していたので気のせいだと思った。

でも耳元で「きよへ」の声がはっきりと聞こえた。

……ここで意識が無くなった。

目が覚めるとばあちゃんの家だった。

ばあちゃんに話したら全て夢だと言われた。

水筒も無くなってるし釣り道具も無かった。

この話をしても誰も信じてくれないが、右足に本当に傷が残ってて何年経っても最近出来た傷のように見える。

本当の話だけど、何か知ってる人いないですかね?

(了)

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