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短編 r+ 都市伝説

紅いバレリーナ r+1247

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関東地方で実際に起こったという話がある。

クラシックバレエに青春を捧げていた少女、絵美。次回の発表会で主役として踊ることが決まっていた。厳しい練習を重ねて掴んだ栄光の座だった。

だが、絵美を快く思わないライバルの響子がいた。二人は主役の座を最後まで争ったが、最終的に絵美が選ばれた。この結果に響子は不満を抱えながらも、次第にその思いを押し殺していた。ところが、発表会の直前に絵美は突然、命を落とす悲劇に見舞われる。

練習帰りのある日、絵美は交通事故に遭い、命を失った。彼女の身に起きた出来事は非常に痛ましいもので、その後の発表会は絵美の死にもかかわらず予定通り開催されることとなった。そして、主役には響子が選ばれた。

響子は絵美の死を悲しむことなく、むしろその座を手に入れたことで安堵していた。発表会も無事に終了し、全てが終わった夜、響子は自室で眠りにつこうとした。しかしその夜、彼女の耳には発表会で使われた音楽が突然流れてきた。不思議に思った響子は体を起こそうとするが、金縛りに遭い動けない。薄暗い部屋の中、彼女は枕元で何かが動く気配を感じ、恐る恐る目を凝らした。そこには、血に染まった衣装をまとった絵美の姿があった。

絵美は発表会の踊りをそのまま踊り続けていたが、音楽が止まると同時に彼女も動きを止めた。そして無音のまま響子にゆっくりと近づいてきた。「ねぇ…」と囁き、絵美は体を響子のほうに向けた。その姿を見た響子は息を呑む。絵美の体はどこか不自然で、まるで事故の傷跡を思わせるかのように一部が欠けているように見えた。彼女は「ねぇ、あなたの右目、右手、右足、ちょうだい」と繰り返し囁いた。

恐怖のあまり、響子は心の中で「分かった、あげるから消えて」と念じた。すると、突然右半身に激しい痛みが走り、響子は悲鳴を上げて気を失った。その叫び声を聞いた両親が駆けつけたとき、響子は右半身が血まみれになって倒れていた。すぐに救急車を呼び、病院に搬送されたものの、響子は右眼球を失い、右腕と右足も重傷を負うことになった。その原因は医学的にも解明されず、医師たちは困惑を隠せなかった。

数ヶ月が経ち、響子はようやく話せるようになった。しかし、彼女は家族や友人にその夜の出来事を話そうとはせず、心を閉ざしたままだった。そんな中、同じバレエ教室に通っていた友人の春奈が見舞いに訪れた。春奈は絵美と親しく、響子とも交流があったため、二人の関係をよく知る存在だった。

春奈は、絵美の話をすることで響子の心を開かせようとした。最初は響子も反応を見せなかったが、春奈が絵美との楽しかった思い出を語るうち、響子は涙を流し始め、ついにその夜の出来事を語り始めた。絵美が現れたこと、そして右半身を求められたこと。響子が全てを話し終えると、春奈と響子の母親は現実離れした内容に驚きを隠せなかったが、右半身を失った響子の姿を見て言葉を失った。

その後、春奈自身も奇妙な体験をすることになる。ある夜、寝ていると突然体が動かなくなり、響子が話していた音楽が聞こえてきた。目を凝らすと、部屋の中に絵美の姿が見える。彼女は響子の時と同じように「右目、右手、右足、ちょうだい」と求めてきた。

だが、春奈は冷静に「じゃあ、左目、左手、左足ならあげられる」と念じた。すると、絵美は一瞬驚いたように表情を変え、悲しげに「そっちはあるからいらない」と呟き、その場から姿を消した。

翌朝、春奈は響子の母に相談しようと彼女の家を訪ねた。しかし、家からの応答はなく、不安に駆られた春奈は庭の奥にある部屋の窓を覗いた。そこには血まみれで倒れている響子の母の姿があった。すぐに救急車を呼んだものの、彼女は既に息絶えていた。

その後、この話は春奈と響子の家族の間で封印されることとなった。しかし、奇妙な噂が広まり始める。「この話を聞いた者のもとには、赤い衣装を着たバレリーナが現れる」というものだった。

(了)

[出典:68 : あなたのうしろに名無しさんが: 投稿日:2003/05/22 00:44:00]

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