短編 都市伝説

紅いバレリーナ#965

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 関東地方で本当にあった話しです。

68 : あなたのうしろに名無しさんが: 投稿日:2003/05/22 00:44:00

クラッシックバレエに青春を注ぐ一人の少女がいました。

名前は、絵美。彼女は、次の発表会で、いわゆる「主役」メインで踊ることが、決まっていました。

辛く厳しい練習に耐えやっとつかんだメインの座でした。

当然、そんな彼女を妬み快く思わない輩もいました。ライバルの響子です。

絵美と響子は、最後までメインの座を争そいましたが、僅かな差で絵美がメインに選ばれました。

そんな絵美が、亡くなったのは、バレエの発表会の直前でした。

その日も激しい練習を終え、自宅に帰る途中、トラックにはねられ即死でした。

トラックの後輪に体を巻き込まれたらしく、体の右側半分が、ぐちゃぐちゃに引き裂かれなんとも痛ましい姿でした。

そんな彼女の死体の傍らには、その日練習で着ていた白いレオタードが、彼女の流した血に染まり真っ赤になって落ちていたそうです。

何とも痛ましく悲惨な事故でしたが、結局、発表会は、ライバルの響子がメインとして踊ることになりました。

響子にとっては、この絵美の死は、棚ボタの願ってもない幸運だったのです。

もともと、嫌っていた絵美が死に、しかも、狙っていたメインの座も手に入れ響子は、内心笑いが止まりませんでした。

絵美の死を悲しむ事などまったく無かったのです。

そして、発表会も無事に終わったある日。

響子が、いつものように布団に入り眠っていると、突然、どこからともなく、妙に聞き慣れた音楽が聞こえてきました。

そう、あの発表会で踊ったあの曲でした。

どこから聞こえるのだろうと想い、起きあがろうとしましたが、体が動きません。

金縛りです。

響子が、恐怖に怯え苦しんでいると、今度は薄暗い自分の部屋の枕元で、誰かが忙しなく動いているような気配に気付きました。

何だろうと暗闇に目をこらしよく見てみると、更なる恐怖がこみ上げました。

なんと、あの死んだはずの絵美が真っ赤なレオタードを身にまとい、発表会の踊りを踊っていたのです。

響子が、声にならない悲鳴をあげ恐怖に、竦みあがると、聞こえていた音楽がピタリと止み、それに合わせ絵美も踊りを止めました。

するとなぜか横向きのまま、音も無くスーッと彼女が近づいて来ました。

響子は、金縛りが解けず、どうする事も出来ないでいると。

「ねぇ……」絵美が話し掛けてきました。

すると、今まで不自然に横向きだった彼女がクルッとこちらを向きました。

響子は、息を飲みました。

なんと絵美の体は、左半分しか無く、右半分は、ぐちゃぐちゃで、肉や骨が飛び出して血がしたたり落ちていました。

そして、「ねぇ、あなたの右目右手、右足、ちょうだい」と、言ってくるのです。

響子は恐ろしさのあまり、声も出ず、返事が出来ません。

すると何度も何度も繰り返したずねてくるのです。

いい加減恐怖に耐えられなくなった響子は、遂に心の中で「もう、解ったから、あげるから、消えてちょうだい」と念じました。

すると、「ありがとう……」と声が聞こえた瞬間、体の右半分に激痛が走り、そのまま悲鳴をあげ、気絶してしまいました。

隣りの部屋に寝ていた両親が、響子の悲鳴に気付き駆けつけると右半身血だらけの響子を発見し、すぐ病院に運びました。

幸い発見が早かったため、響子は、一命をとりとめました。

しかし、右眼球破裂による失明、右上腕部、及び右大腿部轢断の重体でした

しかも、全ての外傷、損傷が原因不明で本人の意識が回復しだい事情を聞く事になりました。

数ヶ月後。

やっとなんとか喋れるくらいにまで、回復した響子でしたが、両親や友人、周りの人が何を聞いても心を開かず、あの夜の事は、聞けませんでした。

そんなある日、母親が付き添う病室に、同じバレエ教室に通う友人の春奈が、お見舞いに来ました。

春奈は、あの絵美とも、仲がよく 犬猿の響子と絵美の関係を取り持つ位置にいました。

そんな春奈がなんとなく、絵美との思い出話をはじめた時、突然響子が泣き出しポツリ、ポツリとあの夜の出来事を話し出しました。

響子は、信じてもらえないと思っていた事や、あまりの恐ろしさに言葉にできなかったと、涙ながらに、全てあの夜の出来事を、母と春奈に聞かせました。

全て話し終えると、疲れたのか響子は安心した様に、眠りにつきました。

母親も春奈も、とても信じられない内容に愕きましたが、事実、屋内でしかも、自分の部屋の布団の中で手足を引き千切られた本人を前に、異様なものを感じずには、いられませんでした。

母親は、春奈を帰り際に廊下で呼び止め、この話しは誰にも話さない様にと固く口止めをしました。

春奈も頭の良い子なのでその意味をすぐ理解しました。

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それからしばらくたった夜の事。

春奈も、響子の話しは、気になっていましたが、深くは考えない様にしてました。

そしてベッドに入り眠りにつくか、つかないかの意識の中で、突然、金縛りに襲われたのです。

そして響子の話しに出てたあの音楽が聞こえてきました。

するとやはり響子の話しどうり、血染めの真っ赤なチュチュ(レオタード改め)を着た絵美が踊りながら現れました。

そして春奈が絵美の存在に気付くとやはり音も止まり絵美が、左半分の悲しげな表情で近づいてきた。

春奈は、その時あまり恐怖は、感じず絵美の痛々しい姿と、

「ねぇ……あなたの右目、右手、右足ちょうだい」

と言う恨めしそうな声に深い悲しみに似た感情が湧いてきました。

事前に響子から、聞いてたせいかもしれないがそう感じました。

しかし、絵美からの要求は、止まず、耳元で「ちょうだい」を繰り返します。

なにか答えなきゃと考え、ついつい「あげるから」と言ってしまいそうになりましたが、響子の姿が頭に浮かびます。

心の中で「私は、あげられない」と何度も叫んでみましたが、絵美は、一向に帰ってくれません。

もうどれくらい経ったでしょうか。

なんとなく春奈は、生前の絵美との事を思い出していました。

あの頃は、二人でよく冗談なんか言い合ってたなと思った時、ふと頭をよぎった言葉を念じてみました。

それは、かなり危険な賭けでもありました。

しかし脳裏に浮かんだ時には心では、念じていました。

「じゃぁ、左目、左手、左足ならあげられる」

そう念じた瞬間、絵美の表情がさらに悲しく歪み、「そっちは、あるから、いらない……」と声が聞こえ金縛りが、解けたのです。

どうやらそのまま寝てしまったらしく、目を覚ますと、外は明るく小鳥の囀りが聞こえていました。

春奈は、昨夜の出来事を響子の母に相談してみようと思い、響子の病院へ向かいました。

すると、病室には響子の母の姿は無く代わりに響子の父親が付き添っていました。

どうやら昨日から看病を交代して、母親は、家に戻っているようです。

響子に確認した所、父には、あの話しは、してないようです。

なにやら嫌な予感がした春奈は、何度か遊びに行ったことのある、響子の家を訪れました。

しかし、呼び鈴を押しても返事が無く、留守かと思い玄関前から見える庭の奥の部屋の窓がみえました。

何か気になった春奈は、その窓越しにカーテンの隙間から見えた光景に驚愕しました。

鮮血で血の海の様に染まった布団の上で右目、右手、右足から血を流し倒れている響子の母を発見してしまったのです。

直ぐに救急車を呼んだのですが発見が遅かった為、出血多量による失血死で死亡いていました……

この話が春奈から漏れたかは定かではありません。

しかしこの話しを聞いた人の処へ赤いバレリーナが、訪れることがあるようです。

(了)

[出典:http://bubble.2ch.net/test/read.cgi/occult/1053528497/]

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