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イケモ様の呼び声 r+5,103
子供の頃、夏休みになると必ず祖母の家に預けられていた。 山奥の寒村に建つ古い木造家屋で、裏手には人を拒むように巨大な山が聳えていた。鬱蒼とした木々に覆われ、どこか湿り気を帯びた匂いが漂い、薄曇りの日に ...
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烏名を呼ぶ声 r+5,032
俺が生まれ育った土地には、他所の人には信じがたいような風習が残っていた。 今はもう市の一部に組み込まれて、ただの山あいの集落に見えるだろうけれど、子供の頃の俺にとっては、そこは常に何かに見張られている ...
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さんりんぼう信仰 r+6,800
さんりんぼう信仰【ゆっくり朗読】 うちの親父は水道技術者なので特に夏場は忙しく、どこにも連れてって貰えない なので、親戚の家に十日位泊るのが小学生の頃の夏休みの恒例だった。 ある時、叔父さんに卵、キュ ...
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神も仏も沈む地 r+5,381
親父が死ぬ直前、病室のベッドで俺と兄貴を呼びつけ、ほとんど息も絶え絶えになりながら言った言葉がある。 「……ムナカタ土建の資材置場の端に、林道があんだろ。……あそこの奥の集落の依頼は、……最優先にしろ ...
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晴海の棺 r+7,609
法事で実家に戻ったのは、たしか、去年の夏だったと思う。 久しぶりの帰省だったから、何となく落ち着かなくて、法要が終わった夜、親戚一同が帰ったあと、私は居間で叔父とふたり、ビールを開けた。 酔いがまわっ ...
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キャッシャ夜番 r+9,849
俺の生まれ育った村には、女の死にだけ反応する奇妙な風習がある。 遺体が家に戻った晩、十人の男を選び、夜通しろうそくと線香を絶やさぬようにして酒を酌み交わす。酔いが回るほどに火は神聖なものに近づく、と誰 ...
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コトリバコ【コンプリート・完全版/語り継がれる定番名作怖い話】#6,405
ナオキマンによる解説 【ゆっくり怪談】コトリバコ【コンプリート・完全版/語り継がれる定番名作怖い話】 この話は、霊感の強い友達の話。 912 小箱 2005/06/06(月) 12:57:48 ID: ...
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骨噛みの継承者 r+5,474
祖母の葬式の日のことだ。 あれから随分経つけれど、あの瞬間の映像は今でも腐らず、頭の中でピクリとも動かず、ずっとそこにある。 私がまだ小学生だったころ。父方の祖母が亡くなって、町の外れにある古びた斎場 ...
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猿喰いの家 r+4,891
正直、今になってもあれが夢だったんじゃないかと思うことがある。 でも、口の奥に残った苦味と、鼻腔を焼くような焦げ臭さだけは、どうしても現実だったと俺に思い出させる。 俺の実家は山の奥、奥というより“中 ...
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北になる~生け贄的なもの r+4,998
あれは、まだ私の歯が乳歯だった頃。 二〇年以上前、父方の実家の島でのこと。島といっても、定期便の船で四〇分もかかるけれど、港の突堤からは肉眼で見える距離にあった。父の実家があるその漁村は、潮と魚と人の ...
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海村の生贄儀式 r+8041
閉鎖的な村のじめっとした因習とか、そんな俺の親父の実家がある村の話。 父親の実家は、周囲を山にぐるっと囲まれた漁村なんだ。(今は合併されて村ではないけど) 元の起源は落ち延びた平家の人間たちが隠れ住ん ...
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土着信仰~ヤマガミ様 r+6958
俺の親の実家には、明治以前の遺骨が墓に入っていない。 その理由は、実家がある山奥の集落に仏教がなかなか定着しなかったからだ。この集落には独自の土着信仰が存在しており、それが仏教文化の浸透を妨げた要因と ...