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北になる~生け贄的なもの【ゆっくり朗読】3800

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四半世紀近く前の島にまつわる話。

513 :本当にあった怖い名無し:2016/05/23(月) 11:26:44.63 ID:S6iJwnEX0.net

はじめに書いておくと、私はいわゆる美人ではありません。

取り柄も別になく、なんの霊感もないし、唯一それっぽいのは異常にトイレをきれいにしたがるところくらい。

そんな不美人で零感な私が小さい頃、なぜか海の神様の子供に気に入られて、生け贄的なものにされそうになったことがありました。

父の実家の漁村での話です。

父の実家の漁村の沖には、海の神様がいる島(江ノ島くらいの大きさで当時は人も住んでいました)があって、私はそこで二度迷子になったそうです。

一度目には海神を祀る海蝕洞で見つかり、「お兄ちゃんに遊んでもらった」と言ったとか。

二度目には見知らぬ若夫婦が私を家まで送ってきて、祖母が私を家に入れてからお礼をしようと外に出たら、若夫婦はいなくなっていたそうです。

その若夫婦の奥さんの方が、数十年前に村で行方不明になった女の子に似ていたらしく、生きていれば古稀近いはずで、年齢が合わないですが、あの世の人になると年をとりにくくなるみたいな理屈でしょうか?

若夫婦の旦那さんは海の神様、奥さんは行方不明の女の子、そして海蝕洞で私と遊んでいた「お兄ちゃん」は海の神様の子供ではないか、という話になったとのこと。

その島にいる海の神様は亀の神様だそうで、昔いろいろあったみたいですが、詳しくは知りません。

とにかく人間の娘を嫁だか生贄だかに捧げることで、船の安全とか、豊漁とかのご利益をくださるらしいです。

神様に娘を捧げることを「北になる」とか「北にする」とかいいます。

私の考えでは、北枕、つまり死んでしまうんだと思うんですが、前に北になった娘さんは、ある日ふらりと「海に行く」と言って出かけたまま行方不明になったそうです。

でも誰かが北になるとご利益が期待できるらしくて、網元さんが祖父母に、「はなゑちゃん(私のこと)はいずれ北になるだろうから、そのためにもこの家(祖父母の家)に引き取れないか」みたいなことを頼みにきたんだとか。

「はなゑちゃんも北になれば不自由ない生活ができる」と言われて、父が「不自由させてるつもりもさせるつもりもない」と追い返したそうです。

母に当時の話を聞いたら、なんと網元さんは「結納と思って」と500万円を提示してきたらしく、「いくら積まれても娘を渡したりしないけど、それにしてもたった500万円で娘を寄越せなんてお笑いだ」と母は言っていました。

祖父母の勧めもあって、それ以来父の実家へは行っていません。

でも、ときどき思うんですが、網元さんに義理立てしないといけない関係の家だったり、娘さんに不自由させてしまう生活の家だったり、何かの事情でどうしても現金が必要だったり、そういう家だったら娘を捧げちゃうこともあったんですかね。

追申

他にうまい表現が思いつかなくて生け贄と書いてしまったのですが、あの村にいても、さすがに殺されて捧げられたりはしなかったと思います。

前に北になった娘さんは、自主的に家を出て行方が分からず、遺体も見つからず、生死は不明です。

漁師だったお父さんの網に三三九度に使うようなさかずきがかかったそうで、それで北になったと言われているらしいです。

生け贄として殺すという話ではなかったようです。

でも自主的にいなくなるにせよ、生きたままでは神様のところに行けないだろうから、結局は死んでしまうのだと思うので、一緒かな……

(了)

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1462242375/]

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