これは一族根絶やし系の話です。
私の友人、佐野は貰い子です。
彼がその事実を知ったのは中学の頃なのですが、親に聞いてみると、更に妙な事が分かったそうです。
まず、佐野の父親は四人兄弟です。
それぞれが家庭を持ち、各地に散らばって住んでいるのですが、なんと佐野の父親の兄弟は、誰一人として子宝に恵まれていないそうです。
佐野自身、話を聞いた時は「まさか」と思ったそうですが、今居る親戚の子供は全員、佐野同様に貰い子である事実を他の人からも聞かされ、納得せざるを得なかったそうです。
佐野は、遺伝子レベルで何かあるのではないか、と考えたりしたそうです。
つまり、子供が出来ない遺伝子があるとか、そういう感じに。
しかし、この遺伝子説もアッサリ崩壊してしまいます。
何故なら、佐野の祖父及び兄弟達も貰い子だったからです。
早い話、佐野の家系は貰い子を繰り返して、佐野家を存続させていたらしいのです。
そして、その誰もが子宝に恵まれず、貰い子を繰り返す……
これが、いつの時代から始まったのか、何か理由があるのか……
佐野自身は、調べる気は無いそうです。
「自分が何処の誰であろうが、俺は今の両親の子供だ。佐野家自体に何があろうと、この事実は変わらない」
これが、彼の考えです。
実に立派だと思います。
(了)