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短編 洒落にならない怖い話

一家殺人の追憶

更新日:

二十年くらい前に俺が経験した話。

193: 本当にあった怖い名無し 2013/06/24(月) 20:55:39.57 ID:cwH3GkZJ0

小学校に上がりたてだった俺はさっそく出来た友達と毎日のように遊んでた。

その友達の家は学校から見て山の間反対側にあって、小学生の足じゃ一時間ぐらいかかるようなところにあった。

で、その友達の家の周りには田んぼしかなかったんだけど、友達の家の向かい側に一軒だけ家があった。

いかにも昭和初期に出来たようなぼろくさい家で住んでいるのも、腰が曲がった小汚いジイさん一人だった。

でもそのジイさんが結構変な人で、話したことはないんだが俺が友達の家の側に自転車止めるとそのちょっとした音に反応して家の扉開けてじっとこっちを見てんだよ。

俺が友達の家に入るまで、ずっと。

これが毎回続いてたし、友達やその両親が家を出るときも同じようにじっとこっちをガン見してくるらしい。

ある日、俺がいつものように友達の家に遊びに行くと、なぜかそのジイさんは出てこなかった。

俺は不思議に思いながら大声で「マサオくーん!あそびにきたよー!」と友達を呼ぶ。

その当時友達の両親は共働きで家にいなかった。

そして友達が玄関の扉を開けた瞬間、向かい側の家(俺からしてみれば背後)からすごい勢いでジイさんが出てきて

「おまえかぁぁぁ!おまえなのかぁぁぁぁ」

と訳の分からんことを叫び散らしながら俺たちの方に走ってくる。

よく見えなかったが両手に紙切れのようなものを持っていた気がする。

俺たちは急いで家に逃げ込んだ。

居間でガタガタ震えてると玄関をぶち破りそうな勢いでジイさんが扉をバンバン叩いてる。

ずっと、「おまえならゆるさないぃぃぅぁぁぁぁぁ」と叫び散らしていた。

当時の俺たちは携帯なんか持ってないし、それどころか電話の使い方も知らなかったので大人や警察に電話することも出来なかった。

心臓が爆発しそうだった。

ワァワァ泣き叫びながら大人が帰ってくるのを待つことしか出来なかった。

しばらくしてジイさんは帰ったようで、静かになったが俺たちはずっと震えたままだった。

一時間ぐらいたって友達の母親が帰ってきた。

そして「マサオ~?こんなのが玄関に貼ってたんだけど~?イタズラ?気味悪いからやめてー」

といい、二枚の紙切れを俺たちに見せてきた。

一枚は古い家族写真のようで、あのジイさんとその家が写っていた。

ジイさんの隣にはジイさんの奥さんと思われる中年の女性。

その手前には息子(娘かもしれんが)夫婦と思われる若い男女と孫と思われる小さい女の子が写っていた。

そして二枚目の紙切れを見て俺は震え上がった。

それは新聞紙を切り取ったもので一面記事のようでずいぶん大きかったが、そこにはあの家と写真に写っているジイさんを除く家族の顔写真が写っていた。

記事の内容は、ジイさん以外の一家全員が向かいの家に住む三十代の男に包丁で滅多刺しにされて殺されたというものだった。

犯人はすぐに捕まり、死刑となったが犯人が住んでいた家はまだ残されていたみたいで、どうやら今友達が暮らしているこの家が当時犯人が暮らしていた家らしい。

たまたまその母親がそういう系の話信じてくれる人で、次の日ウチの両親も含めて寺に行って相談したんだよ。

そしたら住職さんが、

「その犯人が死刑になっても、殺された家族はその犯人のことを許してない。おそらくそのおじいさんも憑かれてる。だから向かいの家の住人のことを毎日監視していたんでしょう。そしてなにが起点になったのかわかりませんが、なにかそのおじいさんに溜まっていた家族の怨念を爆発させるようなことが起こり、襲われたのでしょう」

と言った。

友達の家族からしたらいい迷惑だろうがとにかくあの家に住み続けるのは危険らしい。

あと、あの写真と新聞もすぐに処理しないとマズいらしい。

そんなわけで、友達家族もすぐに引っ越しできるほど裕福じゃないので実家に帰ってしまい、友達とはそれっきりになってしまった。

それ以来あの家には近づいてないが、まだあそこにあのまま残っているのかはわからない……

(了)

 

瞬殺怪談 [ 平山夢明 ]

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