短編 洒落にならない怖い話

人身事故の多い駅で

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僕は東京で異常によく人身事故が起こるJRの某T線という路線のAという駅を最寄りの駅にしています。

932 名前:あなたのうしろに名無しさんが…… 投稿日:02/08/17 22:43

もう、十四年も前になりますが、僕はその駅の快速が止まる方のホームに立っていました。
ちょうど、お昼になるかならないかの時間で朝はごったがえすホームも人影はまばらといったところでした。

中間テストシーズンだったのか、近くにある女子校の生徒が隣のホームで騒いでいるのをボケ~っと眺めていました。

僕の右に、ちょうど3mぐらい離れたところにいた同じ学校の生徒が隣のホームの子達に何かを叫んで手を振っていました。

その時、構内アナウンスで『まもなく、三番線を電車が通過します。白線より下がって……』と、放送が掛かりました。

相変わらず女の子は大きな声で笑いながら話していました。

やがて、左の方から特急がくるのが見えました。

ここからは今でもスローモーションの様に思い出されます。

今度は右を見ようとすると隣のホームにいた女の子達が何か指さしています。

その指の先を追いかけると、さっき、隣にいた同じ学校の女の子のさらに2m程先に、さっきまでベンチに座っていた中年のその時は、性別が解らなかった男性が突然、立ち上がって線路に飛び込もうとしていました。

右にいた、女の子はあっけに取られているだけで身動き一つしません。僕も全く同じでした。

そして、その男は線路に飛び降りて行きました。

結構、勢いよく飛び込んだはずなのですが、記憶としてはふわ~~っと落ちていく、感じでした。

特急は、もの凄い、警笛を鳴らしはじめ、キ~~~~ッ!!っという、ブレーキを掛けて急停車しようとしていましたが僕の前を勢いよく通過して行きました。

グシャッ!!っという音が一瞬、聞こえたような気がしました。

本当に聞こえたのかはよく解りません。

そして、その瞬間、その隣にいた女の子の顔と白いブラウスに赤い斑点が無数に出来て、足下にはなんだか解らない、肉の塊の様な物が転がりました。

その子は一瞬(時間は解りませんが1秒も経っていないかも……)ぎょっとした目をした後、両手を顔に当てて、もの凄い悲鳴を上げました。

そして、その後、ふら~っと後ろに二、三歩、後ずさりをして、そのまま後ろ向きに倒れそうになりました。

その時、やっと僕は動くことができ、その子がベンチにぶつかる瞬間に抱きとめました。

その子は失神していました。

僕は何をどうして良いかも解らずに、その子に必死で呼びかけていると、すぐに駅員がやってきました。

警察もすぐにやって来ました。

その直後に来た救急隊員に担架に乗せられて、その子は運ばれて行きました。

最初は駅員や警察官や救急隊員も僕に親切に対応してくれていましたがそのうち、一人の警察官に「ちょっといいですか」と言われ、待っていたパトカーに乗せられて警察署に連れて行かれました。

前のホームにいた女の子達が、僕が押したと言ったみたいです。

結局、夜になって隣にいた女の子の意識が戻り、勝手に飛び込んだと証言してくれました。

警察官が後日、謝りに来ましたが今でも、そのホームに行くと、そのベンチにその男が座っているような錯覚にとらわれます。

(了)

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