短編 ちょっといい話♪ 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

時空を超えた善き知らせ

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去年の話になるが、激務が続いてほぼ徹夜に近い仕事が三日ほど続いていた夜に中央道で仕事先の岐阜から埼玉まで帰る道中のこと。

656 :本当にあった怖い名無し:2013/08/19(月) NY:AN:NY.AN ID:gEOy+IM40

小仏トンネルで事故通行止めで相模湖ICで降ろされるわけだったが、二十号の渋滞を嫌ったのと、若い頃走り屋してたので妙に夜の峠を走りたくなって、上野原で降りて、陣間街道の和田峠を目指すことにした。

夜な夜な峠の頂きあたりで缶コーヒーでも飲んで、峠かっ飛ばして八王子西から圏央道に乗ろうという目論見だった。

が、道中、徹夜の蓄積かどうにも眠気を抑えられず、神社付近で車を停めて仮眠をとることにした。

二十三時頃であっただろうか……

五月半ばで車で寝るにはちょうど良い気候であるにもかかわらず、寒くてすぐに目が覚めた。

俺的には数十分寝た感覚だったが、車の時計を見ると既に1:30。

ヤバい、次の日もやることがたくさんあるので急いで、峠を抜けることに。

結構なスピードで峠を昇るが、一向に上りきる気配もなく、ジュースの自販機もちょっとした駐車場もなく、不安になりながらも走り続けた。

走っても走っても同じ峠を繰り返しているような気がして、いったん停めて閉じてたカーナビを開いてみた。

すると、何故か仮眠していた神社の前あたりを指している。

GPS異常だろう(たまに起こる)と思って、ナビを見ながらさらに車を進めた。

が、しかし、一向にナビが反応しない……

完全に壊れたと判断し、ナビをあてにすることをやめた。

更に走り続けるとようやく景色が変わってきて、トンネルに差し掛かった。

トンネルに入ると、今まで対向車と全然すれ違っていなかったのに(←ここで気づいた)、数十台の車やトラックとすれ違う。

何故かすれ違う車が全てレトロカーばかり……

トンネルを抜けると、やっと駐車できるちょっとしたパーキングスペースを見つけて停めた。

車を降りるとうっすら空が明るくなったのが分かったが、同時に濃霧が立ち込めた。

自販機がようやく見つかり、待望の缶コーヒーを買った。

コーヒーを飲んでいると、もう一台車が入って来たのが分かった。

マフラーの音が何故か、大太鼓を一定のリズムで刻むような音がしていた。

すると中から若い男女が下りてきて何かはしゃいでる。

こちらには気づいてないようだ。

何を騒いでるか分からないが、最後に男女揃って「おめでとう!」と叫んでいるのが分かった。

結婚したばかりなのだろう、若くていいことだと思いつつ、若者の車の方に目を向けると、もうその車はない。

その現象に不思議と怖さはなかったものの、煙草を吸って自分の車に戻り、小休憩をとった。

そこでまた私は寝てしまったようだ……

気が付いて目が覚めると、濃霧も晴れて空はきれいな五月晴れですがすがしい朝。

しかし、そこはまだ前の日に止めてたはずの神社前。

なんだ、夢だったかと峠を進み八王子西ICを目指した。

が、車のホルダーに目をやってびっくり!

夢の中であるはずの缶コーヒーの空缶が刺さってる!!!

そんな不思議な体験の二週間後、七年間不妊で悩んでた我が家に待望のご懐妊ニュース!

今年の一月に元気な男の子が生まれたのです!

神社の神様の知らせなのか分からないが、本当に神様ってのがいるんだなと確信した!

今思えば、その男女は私が幼少の時に事故で他界した両親だったかもしれない。

なんていうか、マジでありがとう!

(了)

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