短編 奇妙な話・不思議な話・怪異譚

飢饉【ゆっくり朗読】

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石じじいの話です。

377 :本当にあった怖い名無し:2018/12/12(水) 12:31:35.17 ID:D2PxnEm00.net

これは一部の人々の口に伝わっているもので、町史などには触れられていない話です。
「飢饉」ということをご存知でしょう。大規模な自然災害です。
江戸時代の四大飢饉などは有名で、多くの餓死者、難民をだしたました。
じじいが住んでいた一帯でも例外ではありませんでした。
特に、亨保十七年の「亨保の大飢饉」(1732)は、大きな被害をもたらしました。
西日本を襲った大規模な飢饉です。当然、江戸で暴動が起きました。
前兆は、すでに四年前の亨保十三年からありました。
大雨が降り続き農耕地に甚大な被害がでます。
この天候不順は、十四年、十五年、十六年と続きます。
そして、十七年がやってきます。
暴風雨に加えて大量のイナゴが襲来します。
これは中国地方で発生したものが移動してきたものと考えられています。
イナゴの群によって空は暗くなり、地上には青いものは皆無になったと。
この被害で藩の収入の91%が失われ、その後の一年はまったくの無収入となりました。
しかも、幕府から多額の援助金を借りることになったのです。
その藩からは餓死者が一人も出なかったことになっているのですが、疑わしい。

ここから怖い話です。

生活に窮した人の中には、寺にあった「即身仏」を食べた人があったそうです。
空腹に耐えきれず、仏様も許してくれるだろう、と考えました。
仏前でお経を唱えて、その許しを乞い、即身仏を取り出して解体しました。
それを煮て食ったそうです。
そのような処理された?ミイラを食べることができたのか?(栄養があったのか?)は甚だ疑問ですが。
即身仏があった寺の住職は、どうしたのか?これも疑問です。
これを承諾したのか?
その後、関係者に仏罰が下るということもなかったようです。
しかし、その寺は、後に裏山が崩れて崩壊し、その残骸の上に新しい寺を建てることになったそうです。
大雨でがけ崩れ(地すべり)が起きることを、その地方では、「つえがぬけた」と言います。
まあ、即身仏食事件とは関係ないのでしょうけど。
そのため、古い寺の資料は大半が失われており、残った文書にも当然そのような記録はありません。
ただ、近年、寺の畑を開墾した時に地中から瓶が出てきて、その中から「極秘文書」が見つかりました。
そこに、おそらく当時の住職が書きつけたであろう、食事件の顛末が残されていたそうです。
その文書には、即身仏を食して死を免れた人々は年老いてから「XX」した、と書かれていたそうです。
実際に「XX」と書かれていて、それが何を意味するのかは不明だったと。
その後どうなったか?は伝わっていないようです。

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