短編 ほんとにあった怖い話

偽家族【ゆっくり朗読】1700

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歳をとると認知症になることがあります。

431 :本当にあった怖い名無し:2019/01/04(金) 13:05:35.86 ID:PMOhVxQ30.net

それを介護する家族の人々の苦労はたいへんなものです。
アルツハイマー病などは高齢者に特有のものではなく、若年性のものもあります。
若い人でも、事故などで脳障害を起こし脳血管性の痴呆になったりします。
その場合は肢体の不自由を伴うことが多いので、さらに困ったことに。

ある老人男性がおかしくなりました。
彼によると、家族が全員偽物だというのです。
どうしてそう思うのか?
石が教えてくれるのだと。(出ましたねw)
石を手の上に載せて差し出すとわかるのだそうです。
その石は、神社の境内で感応して拾ったのだと。
以前お話した「真実を教えてくれる石」に似ています。

そうしている中、ある日、その男性が「石が無くなった。眠っている間に盗られた。偽家族の仕業だ」と言い始めました。
その後、数日して死んだそうです。
死因は、子供のじじいには教えてもらわなかったそうですが、「狂死」ということでしょう。

生前の男性が言うには、
家族はだんだん偽物に置き換わっていった。
最初に孫の女の子が、それから父親(自分の息子)、連れ合い(おばあさん)、と別人に置き換わって、
最後まで嫁が残っていたが、それも最近偽物に置き換わった、と。
それなので、その男性は孫娘を含めて、むしろ彼女に対しては特に、家族に厳しくあたっていました。

周りの人達は、「とうとうボケが始まった。家族の人たちも苦労する。ああはなりたくないものだ」と思いました。
その最初に偽物になったという孫、女の子は、普段じじいがよく遊んでいる子供で、まったく変わりがありませんでした。
偽物と指弾されていた家族の人たちも変わらず、偽物とは思えなかったと。

狂死した男性の葬式が終わり、四十九日が終わったあと家族はいなくなりました。
その朝は皆いたのに夕方には全員が失踪していたのです。
夜逃げではなく昼逃げです。
田舎なので、昼間にひと目に触れずに行動することは不可能なのに、
金目のものを含めて家財道具も、お金(現金、貯金)も手付かずで残されていて、家や田畑も売却されてはいなかったらしいのです。

ただ、位牌とお骨も残されていました。
そのときから、現在(じじいが子供の私に話してくれたとき)に至るまで、その家族の消息はようとして知れない、と。
家族の人たちにとっては、老人がボケることはよくあることだし、
それを特に世間様への恥と考えるようなことは無く、恥じて姿をくらませる必要もないのです。

失踪する前兆もなかったし、理由も思い浮かびませんでした。
家業の農業もうまくいっていたし、旦那さんは町の役場に努めていたので生活は安定していました。
「もしかしたら、その死んだ男性が言っていたことは本当だったのではないか?」と、子供のじじいは思ったこともあったそうです。

家族を含めて周りの人々が知らない間に「別のモノ」によって置き換わっていく、というのはSF小説や映画でたびたび出てくるモチーフです。
何度も映画化されている「ボディスナッチャー」は有名ですね。
ドナルド・サザーランドの絶叫が怖いラストシーンが印象的です。
一度、皆さんもまわりを確認してみてください。

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