短編 洒落にならない怖い話

境界線【ゆっくり朗読】2100

投稿日:

Sponsord Link

知り合いから言われた事をもとにしているからどこまで本当かわからないけど。

748 :本当にあった怖い名無し:2020/07/13(月) 17:02:12.82 ID:KmfkXDdr0.net

世の中には境界線があるらしい。

この世とあの世を隔てる非物理の白線みたいなものらしい。

あちら側に傾倒しすぎた人間は「引きずり込まれる」らしいし、こちら側に傾倒した人間はあちら側を一切関知できない。

その代わりあちら側からの被害も届かないらしいけど。

じゃあ世の中で言うところの霊能力者ってなんじゃって聞いたら、「境界線の真上にバランスよく立ってる人」らしい。

そのバランスがあちら側に傾く、というより引っ張られて倒れたらもう助からないから、そんなのを職業にしているのは命知らずか恐れ知らずだけらしい。

偽物の話をしたら、遅かれ早かれ境界線の向こう側に引きずり込まれる恐れ知らずだそうだ。

いわゆる「見える人」の大半は、こちら側に全身を置いて顔半分をあちら側に置いているらしい。

その話を信じるなら、俺は毛先だけあちら側にあるような中途半端な位置らしい。

中途半端と言ってもこの程度はかなり多いらしく、日本みたいな「神様が身近」な国では珍しくないとか。

要するに「見えないけれどいるのはわかる」程度。

俺の場合はそういうのを感じたときは、背筋を逆なでられるような感じで鳥肌が立つ。

へその対になる背中から首にぞわぞわと上がってくる感じで。

前置きが長くなったけど、この感覚はよくあるんだけど過去に一度だけ全身で「やばい」と感じるほどの感覚が来たことがあった。

こう、瑕疵物件てのあるだろ?

当時住んでいた家の近所とは言わないけれど、同じ学区内くらいのところにそういうのがあった。

子供たちの間では肝試しに行こうとして怒られるまでがセットの場所だったし、実際普通に不動産会社が管理してたから、子供とはいえ忍び込んだら警察の厄介になりかねないから。

その家は近づくだけでゾワッとするから通勤路も変えていたくらいだったんだけど、ある時壮絶な不快感とぞわぞわした感じになった。

聞けばその家にある家族が引っ越してきたらしいんだけど、それ以来街のどこを歩いても鳥肌が収まらなくなった。

病院にはもちろん行ったけど異常なし。

これってまさかなーと思って、その友人に連絡してみたら面白そうだから遊びに行くわと言われた。

で、約束の当日。友達からメールが届いた。

その内容は今でもはっきり覚えてるけど、「ごめん、行けない。つーか行きたくない」だった。

どういうことかと聞こうと思って「じゃあ俺が行くわ」って返事をして、車で30分くらいのとこにあるファミレスで話をしたんだが、曰く、「町全体が幽霊屋敷みたいになっている」って言われた。

町のいたるところに厄介な部類の、境界線の向こう側に引っ張り込むタイプの奴らがうようよいるとかなんとか。

最初は普通に怖がってたんだけど、まさかそんなことないだろって思ってた。

けど近所の子供たちが「おばけを見た」と言い出したり、大人たちが「神社の御神体である鏡が割れた」だとか言っているのを聞いているうちにマジで怖くなって、引っ越しを視野に入れはじめた。

結局ひと月くらいかかったけど、町を離れる事が出来たから俺は何にもなかったけど、今でもその町に住んでる友人の話を聞くと色々怪談話が出てくる。そいつは「気が滅入る」と言ってた。

それから、問題の瑕疵物件については、「その家を買った家族はまだ住んでいる」とだけ聞いた。

町全体が幽霊屋敷みたいになるような何かがあったのか、気になっているけど友人は町に近づきたがらないからわからない。

引っ張られる、っていう表現が俺にもよくわからないんだ。

こちら側にいると言っても死ぬときはあっさり死ぬし、あちら側に半身突っ込んでいようとも天寿を全うする事もあるらしい。

友人曰く「綱引きに近い」とか言ってた。

俺が感じる背筋逆なでの鳥肌は「危険察知」に近いらしい。

大なり小なり持っている第六感の一つらしいんだけど、それが必ずしも危険なものではないとも言われた。

目の前を虫が通ったら無害だろうが有害だろうが一瞬視線を奪われるのと同じらしい。

754 :本当にあった怖い名無し:2020/07/13(月) 17:55:34.23 ID:Yy4+XGor0.net
>>751
不安の種っていう映画見たばかりだけど、そんな感じなのかな

756 :本当にあった怖い名無し:2020/07/13(月) 18:20:39.45 ID:KmfkXDdr0.net
>>754
映画は詳しくないからググってあらすじ見てきたけど、これは「縁」っぽい。

酒の肴によく友人から境界線の話を聞いていたけれど、酔っぱらいながらだから穴あきになるのは許してくれ。

こちら側の俺達が同じこちら側にいる奴と縁を結ぶのはたやすいのはわかると思うんだ。
例えば「職場で会って意気投合しました」とか。

でもあちら側と縁を結ぶのは難しいらしくて、生前に深い縁があったとかじゃないと普通は無理らしい。

そこであちら側の話になるけれど、俺達が境界線の近くにいる奴もいれば境界線とは無縁の奴もいるように、あちら側にもそういうのがあるらしい。

ヤバいのは境界線をまたいだところにいる奴で、こういうやつがポルターガイストとか起こせるらしい。

そこまでくると幽霊というよりも妖怪とかそういうのになってくるって言ってた。

でも大半は俺みたいに毛先が境界線上にあるくらいで、人が無防備になる瞬間に気づいてもらおうとちょっかいをかけるくらいしかできないとか。

そうした気付きからできた小さな縁をしっかりさせる事で、当人の身に影響を与えるようになれば立派な悪霊だって聞いた。

とはいえ大半はその縁を守りながら、何をするでもなくというのが普通なんだと。

話を戻すと、生前の縁は善悪問わずこちら側にもあちら側にも多少の影響を及ぼすことがあるらしい。

その度合いはともかく、俺が住んでたところは積極的に縁を結ぼうとしているのが見えたから、友人は「行きたくなかった」そうだ。

772 :本当にあった怖い名無し:2020/07/14(火) 16:08:06.85 ID:0Df3SyBN0.net
ちょっとその友人から話を聞いてみたら、積極的に縁を結ぼうとするのはだいたいが悪霊の部類らしい。

街中で肩ぶつけてくるようなチンピラみたいなものと言ってた。

縁はそれこそ「双方が完全に忘れるくらいじゃないと切れない」らしい。

普通の幽霊は「自分の存在を忘れてほしくない」という意志から縁を結ぼうとするけれど、悪霊はそれが行き過ぎていたり目的と手段が入れ替わってたりするそうだ。

例外としては口裂け女みたいな、悪意を持って行動するように語られた噂話の土台になった幽霊とか、あるいは誰かが人為的に作り出した噂話。

つまりあちら側がこちら側にちょっかいをかけて精神のバランス崩すように、こちら側の縁があちら側の在り方をゆがめたりする。

厄介なのは人為的に作り出された噂話で、そういうのは「呪詛」という名の妖怪だそうだ。

この場合、呪詛=都市伝説として見てもらえればいい。

つまるところ、ネット上で日々呪詛と妖怪が量産されているわけだ。

だからネタだろうが釣りだろうが「この話を読んだ者は例外なく~」というたぐいの話は、多かれ少なかれあちら側にいるヤバい物との縁を作ることになるらしい。

結局そこで重要になってくるのは境界線の近くにいるか遠くにいるか、本人がどれだけ気にするからしいけどな。

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, 洒落にならない怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.