短編 怪談・実話系

コールセンター【ゆっくり朗読】3250-0102

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私が昔、体験した話です。

当時、某ビルに入っていたコールセンターで社員として働いていました。

そのコールセンターは結構夜遅くまでやっていたので、シフト体制で夜勤勤務もこなさないといけませんでした。

ただ、人件費削減のためか、夜勤は正社員一人とパートさん複数人という構成でした。

どうしても対処できないような事が起きたら、上司の携帯に電話してね、としか対処方を教えてもらえず、新入社員だった私は泣きたい気持ちになったのを今でも覚えています。

夜勤勤務にもある程度慣れて、数ヶ月経ったある日の夜勤日。その日も何とか無事に業務終了時間を迎え「お疲れ様でした」とパートさん達を見送った後、一人で後片付けをしていました。

日頃ガヤガヤと騒がしいコールセンターが、しん…と静まり返っている違和感。

電気だって一部を除いて全部消してあるので、とても薄暗いです。

本当に一人ぼっち。

お客様からの受電の為、たくさん設置してある机の影から何か出てきそうで怖くて、いつも急いで片付けをしていました。

ようやく全てを片付け終えたのは業務終了から約一時間後。

午後一〇時くらいだったと思います。

ドアのロックキーを入力し終えたので、後は退社するだけだとほっと安心した時、ザァー…と水を流す音が後ろから聞こえてきたんです。

え、と思って後ろを振り向くとそこにはその階唯一のトイレ。

音は、明らかに洗面台の水道とかじゃなくて、トイレの水を流す音だったので、一瞬パートさんの誰かかな?とも思いましたが全員を見送ったのは1時間前。

コールセンターの外はくつろげるような場所はありません。

しかも時間もかなり遅いですし。

その階はコールセンターのみ使用している階だったので、じゃあ他の階に入ってる別企業の人?とも思いましたがすぐに自分で否定しました。

ザァー…ザァー…と水を流す音がするトイレは、全く電気がついてなく、真っ暗でしたから。

もうその段階で、トイレから目を逸らさずにじりじりと後ずさりしていたんですが、更に余計な事を思い出したんです。

その階のトイレって水を流す時、機械に手をかざさないといけないセンサー式だったんですね。

つまりあの真っ暗なトイレの中に、間違いなく今、誰かいる。

気がついたらビルの階段を猛スピードで駆け下りてました。

それから後、私が過労で体を壊して退職する事になった時、お別れ会の席で先輩から聞いた話ですが案の定、やはり出ると噂があったみたいです。

コールセンター内で夜に白い服の女を見た、とか。

…ビルの建っていた場所も古い歴史がある場所でしたし、きっと何かいたんでしょうね。

(了)

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