短編 ほんのり怖い話

オカンと2人で介護していた【ゆっくり朗読】1900

投稿日:

Sponsord Link

12年前の話だけど

50 :2019/07/30(火) 22:11:33.26 ID:49t6ASWf0.net

当時俺はオカンと2人で父方の祖父母を介護していた。

もともと祖父が事故で身体障害になり寝たきり、その後介護していた祖母が認知症になり、長男である父が引きとったものの、本人は介護する気なし。

姉は既に結婚していて、弟はその話がでた直後に遠方の専門学校に入学を決めて逃亡。

仕方なく、母と当時大学生だった俺と2人で介護することになった。

介護は想像以上にきつく、俺もオカンも交代で精神科に通いながらの介護で、夜は眠剤つかって寝ていた。

お互いギリギリのなか、俺も介護だけじゃなく家事も手伝うようになっていた。

その日、夕方に大きいほうをもらした祖母のパジャマとシーツを洗ったものを干すタイミングを失って、夜10時過ぎに2階のベランダで干していた。

ふと気づくと、俺と同じ高さで、うちのベランダと隣の家の隙間を、ゆっくりと歩く女の人がいた。

2階と同じ高さで歩くなんて明らかにおかしいんだが、何故か恐怖感がわかず、「ああ。俺本格的に頭おかしくなったんだなあ」と思ってぼんやり見ていた。

その人はそのままゆっくり横を通り過ぎて、隣の家の裏手のほうに曲がっていった。

彼女が消えてからも「今のは幻覚か?幽霊か?まあ、どっちでもかわらんか……」と妙に冷静に思って、洗濯物を全部干して、部屋に戻った。

その後、夜、ベランダで洗濯物を干していると時々その女性が通るのを見た。

精神科の医者に伝えたところ

「時間も時間だから、半分寝てたんじゃないですか?(笑)」といわれて、そうですね、と答えた。

しばらくして、祖父母ともに相次いで死に、俺とオカンは介護から解放された。

正直、祖父母が死んだ時、俺はほっとした。やっと死んでくれた。もう夜中にトイレにつれていけと喚く人はいなくなったんだ。

その癖、わざと目のまでうんこもらして、お前のせいだと、さっさと処理しろと喚く人は消えたんだ、と嬉しくて泣いてしまった。

後ろめたさから、その後俺はオカンは祖父母のことについて話を一切しなかった。

オカンも同じような感じだったから、きっと同じように思っていたんだろう。

俺は逃げるように実家から出て、一人暮らしをはじめた。

一周忌・三回忌・七回忌、すべて理由をつけて拒否した。

死んだことを喜ぶ人間が法事にでちゃいけない気がしたからだ。

先日、祖父母の十三回忌が行われた。

嫁さんが一度くらい顔だしてあげなよ、というのではじめて法事に出席した。

その時初めてオカンと2人で祖父母について語り合った。

お互いつらかったね、でも頑張ったね、と、泣きながら語り合った。

そんな中、母が「あまりにもつらすぎて、頭おかしくなって、夜、ベランダで洗濯物干してたら、隣を女の人が通る幻覚までみてたわよ、私。2階なのにね。

しかもしょっちゅう見えたのよね、その人。ホント頭おかしかったわあの頃は」と。

ソレを聞いて俺は当然驚いた。

俺もオカンに同じものを見ていたことを言うと、オカンも「じゃあ、あれは幻覚じゃなかったの??」と驚いた顔をしていた。

オカンも同じように、あの人が通っても何故か違和感なく、恐怖感もなく、ただそれを見ていただけだったらしい。

不思議なことに2人とも、女の人だった、という事実は覚えていても服も髪型も覚えてない。

そして、毎回同じように隣の裏手に曲がっていく。

オチなしでスマンが、未だにその人が何なのかわからない。

2人とも頭おかしくなってた可能性もゼロじゃないけど、一体何だったんだろう、アレ。

そんな異常な光景をみて恐怖を感じないのも、何故なのかもまったくわからん。

もしかしたら、今もその人同じところを毎晩のように歩き続けてるんだろうか?

Sponsored Link

Sponsored Link

-短編, ほんのり怖い話

Copyright© 怖いお話.net【厳選まとめ】 , 2024 All Rights Reserved.