短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

隣に座った外人に電話番号を教えてしまった結果……【ゆっくり朗読】6400

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仕事帰りの電車の中で携帯いじってたら、隣に座った外人の男の人がずっとこっちを見てたんです。

睨んでたわけではないのですが凄く見つめられてたので、携帯嫌いなのかな?と思いバッグにしまいました。

手持ち無沙汰になったのでボーっとしてたら、その隣の外人さんに

「ドコノエキデスカ?」

と声をかけられたんです。

私は意外に上手い日本語にびっくりして、ああ、話しかけたかったから見てたのかと思い、

「西日暮里駅ですよ。そちらは?」

と聞くと、外人さんは「ルーマニアデス」と国の名前をいわれました。

意味がわからなかったのかな……?と苦笑してたのですが、その国がちょうど『あいのり』で旅している国だったので、「遠いですね!」と、番組で見た風景を思い出しながら喋っていました。

なんの仕事をしているかとか、趣味はなんだとか、本当に色んな話をしました。

男性は、車のディーラーみたいな事をしていると言っていました。

上司とそりが合わないとか愚痴をこぼしていたので、日本のサラリーマンと変わらないなと微笑ましくなりました。

男性が降りる駅がだんだんと近づき、話もヒートアップしてたのですが、男性が急に

「デンワバンゴウ、オシエテクナサイ」

と言ってきたので、さすがにコレはやばいんじゃないかと感づき、いやですと言おうと思ったのですが、今まで親しげに話してきてたので失礼かなと思い、やんわりと断ろうと思い、

「携帯変えたばかりでぇ番号覚えてなくってぇ……」

と言うと、男性は

「ソレ、ボッダフォンデスヨネ?メヌーオシテ、ゼロオセバ、バンゴウデマス」

と、この場ではいらない程の詳しさを披露。

内心、終わった……と思いながら番号を教えたのでした。

まあしつこかったら着信拒否すればいいし……と、その時は簡単な気持ちだったのです。

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その夜さっそく電話が。

内容は上司の文句。私も心当たりがある内容だったので少し会話をしました。

『マッタ、ソーダンシッテモイーデスカ?』

と言うので、「はい」と言ってその日は終わりました。

次の日は仕事中に電話がかかってきていました。

しかし、仕事で疲れていたので、折り電はしないで寝てしまいました。

それからは毎日のように電話はかかってきていて、仕事中に電話がとれない私はさすがに辟易して、着信拒否をしてしまったのです。

そんなことも過去になりつつある一ヵ月後のこと。

急に自宅に警察が来たのです。

「蒲田さんですか?」

確かに私の名前です。

「ガブリエル・モスコビッチさんを知っていますか?」

その名前はあの外人さんでした。

神妙な顔で言い出した刑事さんの口から意外な出来事が。

「モスコビッチさんは二日前から行方不明になってまして、とある事件の容疑者なんですが……」

話を要約するとこうだった。

二日前、外人男性の上司が殺されたというのだ。

上司の自宅近くに外人男性の車があり、その車の中に携帯があったというのだ。

その携帯のメモには、『蒲田さんがいけない。相談にのってくれるといったのに』と、英語で書かれてたというのだそうだ。

それを聞いて私はゾッとしました。

何回も電話をかけてくれたのに……それを無視したからなのか?

混乱した私に刑事が言いました。

「そして、そのメモにあなたの住所が書かれていたので……」

耳を疑いました。男性に住所まで教えた覚えはありません。

本当に怖くなって、刑事に男性と知り合ってからいままでのことを話しました。

刑事は「とにかく何かあったら連絡するように」と言い残して帰っていきました。

しかし私は、この住所がバレているのと、恨まれているらしい事で恐ろしくなって、男性が逮捕されるまで友人宅に泊めさせてもらいました。

それからすぐに男性は逮捕されたらしいですが、いまだにこの家が誰かに見張られているようで空恐ろしくなります。

もう絶対に気楽に番号を教えない……と心に誓いました。

(※管理人註:名前・国名・駅名は全て仮名です)

2006/01/27(金) 21:22:49 ID:CNmerfKl0

(了)

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