去年の夏に体験した話。
原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「匿名さん」2012/02/19 01:58
最初に言っておくけど、実話だから短いしつまらないかもしれない。
ただ、この体験は、今までずっと幽霊は居ないと思っていたのに居てもいいかな?って思うようになったきっかけです。
今は就職のため実家を離れてるが、正月と盆の長期連休で帰郷する。
帰郷すると幼馴染達と遊ぶのが習慣だ。
地元に残ってる幼馴染達は、普段ほとんど遊んだり連絡を取り合ったりしない。
夜に到着の連絡をすると、すぐに河原でBBQする事になった。
ワゴン車にAとビデオカメラ片手のBの2人が乗り迎えに来て、残りの連中は1人ずつ拾っていこうといつも通りのノリ。
翌日仕事が休みのC、Dも合流し、連絡が取れなかったEのところへは押しかける事になった。
ー・-・ー・-・
Aはオレ達より4つ年上で面倒見も良く、昔から皆の兄ちゃん的存在。
オレ達が中学の頃から車の免許を取り、彼方此方連れていってくれる。
特に野心や我が強いわけでも無く、存在感も薄め。
Bはお調子者だが、誰よりも幼馴染を大事にしてる。
幼少期から空手と少林寺拳法をやり、切り込み隊長的存在だが、ビデオカメラを購入してから後ろで撮影するようになった。
集まる時にビデオカメラを回すようになったのは就職してからだ。
曰く「幼馴染で集まる時は、オレにとって最も大切な思い出だから」
だそうだ。
Cは小学校までオレ家の隣に住んでた女。引っ越してからもずっと家族ぐるみで仲が良い。
小6までは男勝りで一番活発だったが、その後髪を伸ばしたり女ぽくするようになった。
親どうしはオレとCが結婚すると本気で思ってる。
就職してからは、顔を合わせるたびに「式はいつ?」
と聞かれる。
小さい頃を知っているので女として見ていないが、周りからの人気は凄く高い。
Dは常にフラフラしてる自由人。
18才になってすぐ、英語も喋れないのに持ち物全て売って「ベガスで人生の勝負かけてくる」っとアメリカへ。
全て負け、アメリカで1人浮浪者になりかけたツワモノ。
帰国後一言目が「航空券を往復で買ってなかったらヤバかった」
Eは文武両道。とにかく頭がキレ、行動力、判断力共にずば抜けてる。
例えるなら、漫画に出るような完璧人間。
欠点は、昔からズバズバ言うので小さい衝突が多々ある。
Aとは対照的に野心も我も強い。
ー・-・ー・-・
車内で、オレ「Aは相変わらず皆のアッシーだなw」
A「古!ってかアッシー言うな!迎えに来ないと、オレの家にバイクや車停めてくだろ」
A「そういえばE仕事辞めたらしいよ」
オレ「マジで?プログラムの仕事面白いって言ってたのに。今は何やってんだ?学年1の出世頭が勿体無い」
B「あ~、オレも聞いた。ぷーらしいよw」
オレ「まぁEの事だから、起業とか何か考えがあって辞めたんだろ。それか何かあったんだろ」
B「中、高と生徒会長までやって、大学も主席卒業するヤツだ、理由があるんだろ」
A「この歳でマンションをキャッシュで買っちゃうヤツだしなwオレなんかまだ実家だぜ」
D「なぁ○○(オレ)棒茄子って旨いの?」
C「○○ちゃんの匂いは変らないね♪なんか安心する」
オレ「C暑いからくっ付くなよ」
などと他愛も無い話をしてるうちに、Eの家に近づいた。
マンション前にEの姿が見えたので窓から呼んだが、聞こえなかったのか、Eは安全確認のためにこちらを軽く見ただけで、マンションに入っていった。
その顔は少し痩せたようだが、間違いなくEだった。
マンション前に車を停め、オレ、B、C、Dの4人でEを呼んで来る事に。
部屋番号を押そうとすると、Bが「Eはまだ部屋に着いて無いだろ。エントランスの扉って、管理用のコードで開くんだよ」っと、簡単にエントランスの扉を開けた。(何故知ってるんだ?)
すぐ部屋に到着した。
相変わらずエアコンの温度設定は18℃のようだ。玄関の扉が結露している。
インターホンを押すと同時にドアを開け、4人で「E出かけるぞー!」
っと叫ぶが反応が無い。
先ほどマンションに入っていくのを見てる。電気はついていて、エアコンもついてる。
階段を上っててエレベーターで抜かしたのかもしれないと、少し待つ事に。
数分経ってもEの姿が見えないので、中に居るのか?と上がることにした。
Eが愛用のココナッツ臭がする廊下を進む。
リビングの扉の前に来ると、Eの寝ている頭だけが見える。
オレが「居る居る」
っと言いながら勢い良く入ると、Eはこちらに背を向けて横になってる。
一緒に入った3人も「オイ何しかとしてんだよ」
などと言いながら、カメラのレンズを向けている。
騒々しいオレ達に反し、ピクリともしないE。
不穏に思い近づくと、Eは死んでた。
死後時間が経っていたのか、肌の色が変り腐乱しかけている感じだ。
形式的に冷たい首に手を添え、脈と呼吸を確認するも生体反応は見られない。
腑に落ちない。
オレ達はEを追いかけてこの部屋に来たのに、明らかに死んでから時間が経ったEの姿。
オレは死亡を確認後、警察と消防、Eの自宅に連絡。
オレの「死んでる」
って言葉を聴いて、Bはカメラを持ったまま膝をガクガクと震わせてる。
Cはスカートの端を握り締めたまま崩れ落ち、イヤイヤしながらポロポロと涙を流してる。
Dは「何でだよ!さっき普通に歩いてただろ!」
と叫んでる。
下で待ってるAに電話すると、『はぁ?何バカなこと言ってんの?さっきE居ただろ』っと信じる気配も無い。
信じないAに「今から警察と消防が来るから」
とだけ伝えた。
程なく警察と消防が到着し、状況説明。
皆が口を揃えて「Eを追いかけて部屋に来た」
と言うので、警察も???という状態だった。
Bが「オレ全部撮ってました」
と、録画した映像を見せる。
そこにはヘッドライトに照らされたEの姿が映っている。
ショック状態のオレ達。
現場での聴取も終わり鑑識も到着。
オレ達はビデオカメラごと映像が入ったSDカードを押収され、後日連絡するとの事で開放された。
まだ落ち着きを取り戻して無いので、一先ずファミレスへ。
日が昇る頃に解散し、それぞれ帰宅。
Cはまだ1人になりたくないとの事で、オレと一緒にいる事になった。
後日、警察より事情聴取の連絡があったため出頭。
発見当時の状況や関係を話し、すぐに開放されたが、死因は不明で、病死と殺人の両面で調べているが、不審な点が多いとの事。
思い当たる事は無いかと見せられた写真には、真っ赤に塗られ大量にお札を貼られた寝室など気味の悪い物もあった。
盆の連休も終わり、オレ達はEのショックも抜けないまま日常に戻った。
9月に入った頃、Eは病死として処理されたと連絡を受けた。
発見は死後1週間だったが、エアコンのお陰で腐乱していなかったそうだ。
その時オレは、これで終わると思っていた。
10月に入り、突如Bから電話が入った。
年末年始の長期連休も遠い時期に電話が来るのは初めてだ。
B『押収されたカメラが戻ってきたから、中を確認したんだけど……』
なにやら言い辛そうにしている。
オレ「Eのアレだろ?どうした?」
B『あの日警察と一緒に見たよな。あの時と映像が少し変ってるんだよ』
オレ「???電話だけだと分からないから、CDに焼いて送ってくれ。
あと、オリジナルデータが入ってるSDカードは、Eの最後の記録だから、そのまま保存してくれ」
B『ああ、SDカードを消す気無いよ。それよりCに言うなよ。まだ気にしてるはずだから』
(中学の頃からBがCを好きなのを知ってる)
届いたCDを見ると、Bの言う通り確かにあの日見た時と違う気がする。
Eは安全確認のためにチラっとこっちを見ただけだったのが、CDでは数秒間こちらをジっと見ている。
Bに「編集した?」と聞くも、未編集との事。
拡大したり、何度か見直しても新しい発見が無いので、そのままにしていた。
11月、またBからCDが届いた。
中の手紙に、『またEの映像が変ってる。PCにコピーした方はこの間と変ってないが、SDカードの映像だけ変化してる』と記されていた。
確認すると、Eがこちらを向いて何かを喋ってるようだ。
声は無く何を言ってるのか分からないが、口が動いてる。
年末帰郷すると、幼馴染達が8人集まり、例年のようにお帰り会&忘年会&新年会を開いてくれた。
違うのはEがいない事だけ。
1月1日の昼ごろ、12月31日から続いた宴も終わり解散。
オレは一度実家に帰るとBの家へ。
Bの家で例の映像を確認するとまた変ってる。
聞き取れないが、少しEの唸り声のようなのが入ってる。
Eはオレ達に何かを伝えたいのかもしれない。
このままEの伝えたい事が分かるまで待つことにした。
今月(2月)届いた映像では、少し聞き取れるようになっていた。
E「皆…あ…がと……遊べ……ごめ……県……に…近づく……な……」
現状ではまだココまでしか聞き取れない。
声が飛び飛びだから、最初お礼のように聞こえるのも聞き間違いかもしれない。
後半は死して尚オレ達を守ろうとしてくれているのか?
Eのメッセージは現在進行形で変化を続けてる。
もし霊がいて会話が出来るなら、Eに会いたい。
何を伝えたかったのか。何があったのか。
オレも伝えたい。
「ありがとう」と。